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【連載中】十河信二物語【Web版】

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かつて小学館「ラピタ」で連載した国鉄総裁・十河信二の物語に加筆修正を加え、Web版としてリスタートしました。隔週更新していきます。
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記事一覧

第二十九話 「忠臣蔵騒動」

 もはや、官吏には戻れない。戻らない  収監されたときから覚悟の上である。  商人になって…

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第二十六話 種田・十河時代の閉幕と太田圓三の自死

 大正十五年の一月二十六日、事件が、起こる。  そして、「種田・十河時代」は、突如、閉幕…

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第二十八話 十河信二応援団

 控訴審が開かれたのは、一審有罪判決から一年半後の昭和四年二月である。  この頃になると…

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第二十七話 復興局疑獄事件

 「友」。  あるいは「友情」という美意識が、「人生の行動原理」として芽生えたのは、いっ…

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第二十五話 西洋覇道か、東洋王道か

 鶴見祐輔の孫文インタビューが発表されてまもなく、中国国民党が大政策転換を発表し、世界を…

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第二十四話 “種田・十河時代”に、孫文が最後の来日

 復興局で暴発寸前の十河信二を、鉄道省に呼び戻したのは、仙石貢である。仙石は、大正十三年…

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第二十三話 帝都復興を揺るがした「3つの事件」

 野猪は、なおも突進する。  今度は政友会崩しに狙いを定めて、森恪を訪ねた。  森はこのとき、まだペイペイの一年生議員である。しかも、チョンケチョンにくたびれ果てていた。すでに触れたように、満鉄事件という疑獄騒動に連座させられて、党籍はく奪寸前まで追い込まれている。九月一日の帝都大震災のとき、政治家としては、死に体同然だったといっていい。  しかし、満鉄事件の一審裁判は、大震災の翌月、帝都が大混乱に喘いでいるときに結審する。  元満鉄副総裁の中西清一が背任罪で懲役十か月、山田

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第二十二話 幻の帝都大改造計画

 後藤新平は、無類のアイデアマンであったと伝えられる。そのいかにも鋭利そうでカッコのよい…

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第二十一話 関東大震災

 大正十二年、八月九日。待ちに待った辞令が十河信二に下った。  「支那ヘ出張ヲ命ズ」  出…

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第二十話 それぞれの信念

 十河信二の会計課長時代に、予讃線が郷里の伊予西条まで延びている。  予讃線のルーツは、…

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第十九話 横紙破りの男たち

 帰国した十河信二がまっ先に訪ねたのは、東京海上ビルの森恪事務所である。  森は、うれし…

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第十八話 十河信二のアメリカ生活を追う

  二〇〇一年の春に「ラピタ」誌連載でアメリカ取材に出かけたとき、十河信二を知る何人かの…

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第十七話 十河信二と世界の「大転換」

 十河信二自身の備忘録によれば、対米中にこの男の心を占領していたテーマは、「国家」と「神…

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第十五話 十河信二のアメリカ視察

 十河信二は、太平洋の上をアメリカに向かっている。  二等船室でぼんやりと海ばかり眺めていた。  アメリカと、どう戦うか。  どう戦えば、負けないのか。  サンフランシスコまでの十三日間、この男は、そのことばかり考えていた。    当時、日米関係は、決して芳しいものではなかった。双方の国民感情は、ささくれだっている。「ジャップ」「米公」などと互いに罵声を浴びせながら、太平洋越しに睨み合っていた。  最大の火種は、移民問題である。  明治政府は、国策として、積極的に海外移住を奨

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