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第三者割当増資とは?Part2

第三者割当増資とはどんな時に利用するのか?その手続きの方法などは?といった疑問を解決し、正しく安全な第三者割当増資を行えるように準備を実施することは重要です。

今回は、第三者割当増資と他の増資方法の違いやメリットデメリットについてご紹介致します。
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第三者割当増資と他の増資方法の違い

第三者割当増資と他の増資方法との違いが良く分からないという方も少なくありません。ここで、その違いについて詳しくお伝えいたします。どの方法が最適かよく検討してみましょう。ここで紹介するのは、代表的な増資方法の内の二つです。それぞれの内容を見ていきましょう。

株主割当増資は、仮に金銭的理由などから権利を辞退するといった場合であっても、持株への影響というものはありません。割当増資の権利を失うだけです。

公募増資は広く一般の投資家に対しての増資方法になります。近年では、クラウドファンディングにより、上場していない企業が行うということも増えてきました。

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第三者割当増資のメリット

  • 事業拡大が可能

  • 返済義務がない

  • 引受先との関係性安定

  • 資金調達が可能

  • 税金の発生がない

  • 株式を付与する相手を選ぶことが出来る

  • 手続きが煩わしくない

それぞれ詳しく見ていきましょう。活用する事で生じるメリットは、上記の通りとなります。このメリットを最大限活かすためにも、事前に内容を把握しておくことが重要と言えるでしょう。

【事業拡大が可能】
資金調達と同じくらいの大きなメリットとして挙げられるのが、会社へ資金の投入が直接出来るという点です。手続きも少なくスピーディな資金調達が行えるため、事業の拡大をスムーズに行うことが出来ます。

【返済義務がない】
第三者割当増資によって獲得した資金に関しては、返済義務というものが発生しません。株主に対しての配当や還元はもちろん必要ではありますが、借入金などのように返済スケジュールがある訳ではなく、社債などと比較すると柔軟な資金調達を行うことが出来ます。

【引受先との関係性安定】
企業同士の繋がりや関係を今まで以上により強固なものとします。お互いの立場をハッキリと明確化させることにもなり、さらに規模拡大のモチベーションが働くことによって、取引の増加も見込めるでしょう。

【資金調達が可能】
本記事冒頭でもお伝えしたように、会社への資金調達が可能となります。様々な事情から資金繰りに苦戦しているといった企業や、逆に新しい事業の立ち上げに資金が必要といったポジティブな場合においても、大きなメリットとなります。

【税金の発生がない】
第三者割当増資は株式譲渡をするわけではないため、税金の発生はありません。こうした課税などに対する対策や考慮などが必要ないことも、大きなメリットの一つと言えるでしょう。

【株式を付与する相手を選ぶことが出来る】
引受先を決めてから実施することが可能という、大きな特徴をもつのが第三者割当増資です。そのため、予想しなかった相手先に当たるということもなく、安心して行うことが出来るでしょう。

【手続きが煩わしくない】
取締役会決議などで株式を発行することが出来ます。そのため、面倒な手続きの必要もなく、短期間での実施を行うことが出来るでしょう。有利な発行価額で行いたいといった際には、取締役会決議ではなく株主総会での特別決議が必要となりますが、基本的には取締役会決議での発行が主となるため、煩わしい手続きの必要はありません。

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第三者割当増資のデメリット

  • 株式希薄化

  • 議決権100%の獲得は出来ない

  • 発行価格

  • 増税になる場合がある

上記4つが主なデメリットの内容となります。デメリットをしっかりと事前に把握しておくことで、余計な手間やいらぬトラブルを回避する事にも繋がります。メリットももちろん大切ですが、失敗しないためにはデメリットの内容をよく理解しておくことが重要となります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

【株式希薄化】
「株価への影響」でもご説明した通り、株式の希薄化という大きなデメリットが発生します。例えば、自社の全株100株を1人が保有している場合、その保有率は100%となります。しかし、そこで100株を新たに発行し第三者に買い取ってもらいます。そうなると、単純計算でも既存株主の保有率は半分の50%に下がります。この現象を希薄化と言い、これにより既存株主が離れてしまう事にも繋がります。

議決権100%の獲得は出来ない
第三者割当増資を行った場合、100%議決権を獲得することは不可能となります。100%獲得するためには、既存株主から買い取る以外の方法はありません。従って、第三者割当増資のみでは、100%の議決権を得ることは出来ません。

発行価格
新たに発行する株式の発行価格が、発行済株式の価値よりも高いという場合は特に問題はありません。しかし、低い場合は注意が必要となります。発行価格が低いという場合は、既存の株主が損をしてしまうため、保護する必要が出てきます。

増税になる場合がある
メリットの部分で税金の発生はないというお話をしましたが、増資によって資本金が1,000万円以上もしくは1億円以上となる場合、増税となる可能性があります。資本金1,000万円以上の場合は消費税、1億円以上の場合は法人税が対象となります。また、中小法人で適用となっていた税制処置も対象外となることもあるでしょう。

--------------------------------------------------------------------------------------次回は、第三者割当増資の具体的な手続きの流れについてお伝えします。