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ひょんなことからチベット語

ネパールにチベット仏教の元お坊さんだった友達がいる。
ときどき僧院にいた時の話などを教えてもらうのだけれど、僧院での共通語はチベット語だ。チベット仏教だから経典もチベット語。それを分からないと話にならんというわけで、小さい頃からチベット語の教育を受けるそう。

ネパールというのは多民族多言語国家、ということで、ネパール語が共通語だけれど、民族別の言葉も持っている。

なので、地方出身でネパール語が苦手なネパール人、というのも存在する。

友達もそのひとりで、首都カトマンズから飛行機とバスを乗り継ぎ、さらに徒歩数日でやっと実家、というものすごい山奥から出て来ていて、ずっと彼の部族の言葉を使って育ってきた。カトマンズの僧院に入ったばかりの頃はネパール語がイマイチ分からなかったらしい。

僧院では、そんなネパール語が苦手なネパール人だけでなく、ブータンなど周辺諸国から来た人も、みっちり教え込まれたチベット語を使ってお互いがコミュニケーションをとっている。

チベット仏教に興味があった私は「チベット語が分かればお坊さんや尼僧さんたちと話ができる!偉いラマさんのお説教も分かるかも!」と軽い気持ちでチベット語を習うことにした。

いや、これを軽い気持ちと呼んでいいのかわからないけれど、とにかく急に興味がむくむく沸いて来たわけです。

私がほぼ毎年冬の休暇を過ごしているネパールには、外国人にチベット語を教えている学校や僧院もたくさんあるのだけれど、いきなり長期滞在をするわけにはいかないので、とりあえず自宅の近くに学校があるかどうか探してみると、あるではないですか。

お寺ではないのだけれど、チベット仏教徒や、またそれに興味がある人があつまる仏教センターのようなところがチベット語教室を主催しているのを発見。

さっそく問い合わせてみると「どこで見つけたんですか?それ何年か前の古い講座です」との返事(苦笑)。でも親切に、当時講師をしていた方を紹介してくれた。そしてさらに親切なことに、その講師の方がプライベートレッスンをしてくれることに。ああ、優しいスウェーデン人。

実際、チベット語の講師をされていたのはチベット人の旦那さんとその通訳もしているスウェーデン人の奥さんのご夫婦で、今回チベット人の旦那さんの方が時間があると言うので引き受けてくださることになった。

料金も学生時代バイトした家庭教師ばりの低価格で(無料で良いと言われたが、それはあんまりなのでお支払いすることになった)、ものすごく恐縮しつつ始めたのが3月。今まで続いている。

もともとチベット自体に興味があったわけではなかったので前知識もなく、教科書に出てくるチベット人の話などを読むとすごく新鮮だ。
やはりチベット仏教が生活に溶け込んでいるので、教科書の内容もお説教みたいな寓話だったり、そうかと思えば「変なおじさん」が主人公の突拍子もない笑い話がでてきたり。物事をあるがままに受け止めて、細かいことにくよくよせず豪快に生きている民族なのかな、という印象。なかなか味のある人たちのようだ。

今まで行ってみたいとも思わなかった(失礼)のだけど、いつか一度は行ってみたいなと思うようになってきた。

肝心の語学の方は、スローペースで、そんなに上達したとは言えないけれど、先生も「焦らなくても良いです」とおっしゃっているので、のんびり楽しんでいこうと思っている。

ちなみに文法が日本語と似ているところがあって親しみがわきます。語順も主語ー目的語ー動詞。意味は分からずともアルファベットが取りあえず読めるのが嬉しい。




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