【毎日広告賞 優秀賞】日本公園緑地協会「公園の未来」
毎日広告賞で優秀賞を受賞した広告。
何を言い得ているのか
公園は遊ぶだけでなく、遊びを通して感情を育て、人と人との関係性が変化していく場所でもある。このグラフィックは、そんな関係性や成長を「言語によって可視化」することで、公園で起こる群像劇を想像させ、人の営みを感じ取ることができるところに面白さがある。
ジャングルジムや滑り台などの遊具に「張り紙」を装って「ここで何が起こったのか」がテキストで示され、可視化する方法も公園らしさを感じる作りになっている。
評価されているポイントは?
「公園の価値とは何か」を端的に表現している点が評価されていると考えられる。前述の通り、公園は「遊ぶ場所」ではあるが、その本質的な価値は、特に成人になる前の幼児期や思春期の子供の「第二の居場所」として機能し、人と人の関係を構築する場であり、また人を成長させる場である。この価値をグラフィックで伝えるためには「人」を主役に描き、コピーとして「何が起こっているのか?」を描くことがベタな表現だが、このビジュアルはあえてそれをせず、「ペンキ塗り立て」のような公園にある注意喚起の張り紙という体裁で、「そこで起こった出来事」を表現している点に面白さ、公園という主題に対する一貫性、アイデアを感じさせる。
また、カラーを主に3色のみで構成するシンプルさは、公園の遊具が唯一無二の形であり多くの人が認知できる形だからこそできる表現でもあり、「張り紙」だけが白いことで余計な情報が入らず、自然と目がいく構造になっている点は、最低限のデザインでメッセージが端的に伝わり、そこも評価されていると考えられる。
どういったロジックでこの表現に至ったのか?
※あくまでも想像です。
公園の本質をどうビジュアル化するかを考える際に、人を描かずに、何が起こったかを伝える方法は何か?と考え、「コピーのみで可視化する」という発想になり、コピーをどう配置するか?という考えから、「公園」=「張り紙」という考えに至ったのではないかと考える。