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【所感】L'Arc~en~Ciel ARENA TOUR MMXX @2020/01/09 大阪城ホール

※この記事では、2020年2月現在開催中の『L'Arc~en~Ciel ARENA TOUR MMXX』の演出やセットリスト等に言及しています。


ある日曜日の朝に投稿された「告知の告知」。
ここから始まったのが、L'Arc~en~Cielの約8年ぶりのライブツアー【ARENA TOUR MMXX】。

近年のラルクの活動ペースといえば、
2日間の単発ライブが年に1度開催されるかどうか、程度だったため、
もしかするともう二度とないかもとすら思っていたツアーの発表に、
自分も周囲も大いに沸き立った。
当然チケットは全公演争奪戦の様相を呈したが、
ツアー開始間際に追加された立見チケットが当選、
幸運にもツアー初日の1/9大阪城ホール公演に参加することができた。

ここ数年ライブやイベントの感想は、
終わってすぐの興奮を叩きつけるかのごとく、Twitterにばーっと並べて終わり、ということがほとんどだけど、
このライブを見たときの気持ちはちゃんと残しておきたくて、
キーボードを叩いている次第です。

ということでnoteを書く練習も兼ねて、
思いついたものからぽんぽん書いていきます。


【『外』からも見えるツアー】

8年ぶりのライブツアーなので、過去との単純比較はできないとはいえ、
ライブに来られない人でも会場内の空気の片鱗を味わえるような施策がいくつも公式が行っているのが、
ラルク史上ではすごく新鮮。

たとえば、

今回の開場時BGMが各公演メンバー1名による選曲であることが、
ツアー初日開場時刻間際に発表され、
その一覧は各公演終了後すぐにSpotifyにプレイリストとしてアップされている。
ちなみにこれがツアー初日のyukihiro選曲プレイリスト。

ラルクは一人一人音楽のルーツや趣味嗜好がバラバラだから、
その一端をプレイリストという形で見比べられるのは面白い。
雰囲気も全く違う。
この公演に参加していない人はもちろん、
参加していても開場時刻から全曲聞けている人は少ないので、
全員が全容を知ることができるというのはとてもありがたい。

MMXXツアーを控えた2019年12月に、
L'Arc~en~Cielの全楽曲がサブスクリプション音楽配信サービスに解禁された。
現時点でメンバー選曲リストにはラルクの曲は1曲も含まれていないけれど(ソロ名義での曲が入っているプレイリストはいくつかあり)、
自分たちの曲がサブスクに加わって公式アカウントができたからこそ
リアルタイムでの発信が可能になったので、
こういう使い方もあるんだなと感心した。

サブスクといえば、
現行ツアーの内容とは関係ないものの連動モノとして、

という企画も進行しているので、公演がない週末も楽しいし、
きっと千秋楽後は今回のツアーのセットリストもここに加わるのでは?と期待もしている。

(note上でSpotifyのプレイリストを再生すると、無料プランでも広告なし&順番通りで再生されるって本当なのかな
⇒広告なし&順番通りだったけど、サビ周辺30秒ずつだった。
これはこれで全体がつかめてよかった)


もうひとつの大きな公式施策が、
2公演に1本のペースでドキュメンタリー動画が配信されていること。

1本の動画自体は短いけれど、
物販で沸き立つファンの様子から始まって、
私服やヘアセット前の髪でリハーサルをするメンバー(三つ編み姿の公開を許諾したyukihiroさんに感謝の土下座が止まらない)、
そして本番のステージまでぎゅっと詰まっている。

参加した人がその日を振り返ることも当然できるけど、
それ以上にこの先の公演に参加する人の興奮や期待を煽る意味が強いような印象を受けた。

YouTubeのL'Arc~en~Ciel公式チャンネルも、
先述のサブスク解禁と同じタイミングで開設されたものなので、
これもこういうリアルタイム的な活用をしてくれて嬉しい。


さらに公式ファンクラブサイトにはこの動画の完全版がアップされていて、
再生時間はYouTube版より1分長い程度だけど、
FC限定公開のシーンはヲタク大歓喜のバックステージのメンバーの表情が的確に押さえてあって、
流石としか言いようがない。


【圧倒的至近距離・圧倒的攻撃性】

公式リリースの初日公演のレポートを貼りつつ、
実際ライブ会場内で感じたことの話を。

MMXXツアーの最大かつ最重要な要素が、センターステージ構成であること。
オープニングのVTRに合わせたhydeの生鳴きと思しきナレーションで、
『ここにいる全員に圧倒的至近距離を約束しよう』
という趣旨のフレーズがあったけど、その言葉に嘘はなかった。
センターステージのライブは他のアーティストでも何度か参加したことがあるし、
今回と同じ大阪城ホールでも経験があったけど、ここまでの近さと迫力を感じたことはなかった。
立見席の名の元、スタンド最上段の通路に立っていた自分でさえ、
幕が上がってすぐに「近い!近い!」って口に出して叫んでしまったくらい。
花道の突端はスタンド間際まで伸びていて、
ライブ中hydeが歌いながらスタンド1列目のお客さんが持っていたバッグにひょいっと手を伸ばして掴み取り、
しばらくそれを振り回していたくらい(その後ちゃんと自分で返した)。
1会場あたりのキャパシティが小さくてなかなかチケットが取れず、歯がゆい思いもしているけど、
ドームや野外ではないアリーナ会場のスケールだからこそ可能な演出に、
アリーナツアーへの喜びがさらに膨れ上がった。

全体のセットは、アリーナ中央に円形のステージがあって、中央から四方に伸びた花道、
それと上下に動いて紗幕の役目も果たす、ステージをぐるっと囲む数枚のLEDスクリーン。
銀テープや火柱の特効もあるけど、大きな建物はそれくらい。
十分大がかりではあるけれど、5万人相手の東京ドームや、
広大な空き地に2日間限りの特設ステージ(300mの花道つき)を建築したL'ArCASINOに比べれば、
シンプルなセット。
そしてスクリーンが上がってしまえば、ステージに隠れる場所はなし。出入り口や控えの楽器のラックも丸見え。
けれど360°剥き出しで誤魔化しの効かないステージから繰り出される攻撃は圧倒的で、
たとえ自分の方を向いていなくても一切気を抜けない、
一瞬でも見逃したら置いていかれるような鋭い緊張感と迫力があった。

オープニング演出も最近のライブの中では稀にみるスピーディーさ。
拡声器のようなエフェクトがかけられた声でのhydeの生ナレーションは
メンバー紹介も兼ねていて(そして各々に付けられた英語のキャッチフレーズが超的確でカッコいい)、
まるでジェットコースターが上り坂を駆け上がって加速していくような凄まじい勢いで、
1曲目の導火線に火を点けて、一気に爆発した。

どれだけド派手なステージ演出や世界観の設定がされても、
肝心の演奏は一切それに負けずに追い風にして、
演出たらしめられるのがL'Arc~en~Cielのライブのすごいところで、
エンターテインメントと呼ぶにふさわしいと思っていた。
けれど今回は近年で一番、
4人の演奏力や曲そのものが持つ力がステージ同様剥き出しになっていて、
まさしく『ライブ』だって感じた。
あの生々しさはライブでしか味わえない。

【叶えられた『見てみたかった』】

コアファン向けのライブは、少なくとも数年見られないんだろうな。
MMXXツアーが始まる前、私はそう思っていた。

それは、『LIVE 2018 L'ArChristmas』が完璧にfor ラルヲタライブだったから。
MCでもコアに向けて組んだことが公言されたように、
クリスマスや冬というコンセプトのもと、ライブの定番曲は抑えつつも、
ファン人気が高かったり演奏されることが非常にレアだったりする曲が散りばめられたセットリストだった。
そこで得られた満足度があまりにも高かったからこそ、もう多くは望みませんという気分になっていた。

けれど、MMXXのセットリストはそんな思い込みに平手打ちを食らわせてきた。

(セトリがよすぎて帰りの新幹線で即プレイリスト組んだ)

序盤からRound and RoundだったりLOVE FLIESといったレア曲を挟みながら、
基本的には長らくの定番曲たちが主軸になっていると思わせておいての、READY STEADY GOの後、
長い暗転を挟んでからのラスト5曲のとんでもなさよ。
MCでも25th L'Anniversary Live時に取った人気曲投票を参考にしたと言っていたけれど、
まさかここで聴けるとは思っていなかった曲ばかり。

個人的に特筆したいものが2曲ある。

まず1つが、風に消えないで。
シングル表題曲なのにライブでは干されているという認識しかないほどで、
kenさんがイントロのギターリフを焦らすように2,3度繰り返した時、
いやいやこれはフェイントで別の曲を始めるんでしょうと、
失望しないための予防線を無意識に張っていた。
そうしたらそのまま虹色に輝く素敵な時が始まって、腰が抜けた。
未だに新参意識が抜けない私がこんなにレアな曲を聞いてしまっていいのかとがくがく震えた。
白色強めのMVの映像がほぼ全てだった、この曲のビジュアルイメージが、
一気に最新の音と色で塗り替えられていった。


そしてもう1曲が、ALL YEAR AROUND FALLING IN LOVE。
この曲が収録されたアルバム『REAL』を冠した一連のライブでしか演奏されていないことも知っていたので、
それ以降にファンになった自分はもうライブで聴けることはないのだろうと半ば諦めていた。

正直、曲中のステージの様子がどうだったかは、悔しいくらい覚えていない。
ずっとCDでしか知らなかった音が、
それよりもずっと穏やかで雄大な生演奏で聴けていることへの驚きで、
頭が真っ白になっていた。

REALがリリースされた頃というのは、バンドの雰囲気は良くない意味で張り詰めていて、
後にhydeも自著において、
限界だった、メンバーに辞めたいと伝えた、
と記したほどの時期。
この頃を後追いでしか知らない自分は、その章を読んですっと背筋が冷たくなった。
あの時、その意思が尊重されていたら、
私は生きているL'Arc~en~Cielに出会えていなかった。
だからその時期を越えて、今でもバンドの形を保ち続けていることには、言い表せないほどの感謝を持っている。
けれど同時に、その緊張感の象徴であるREALの曲を追体験することはできない、
という残念さが心の中に小さく蟠ってもいた。

だからこそ、ALL YEAR AROUND FALLING IN LOVEが聴けた感動は一入だった。
決してあの時の追体験ではない、
20年近い年月の中で色々な変化をして、
結成30年目を間近に控えた今も現役のラルクの演奏でこの曲を聴けたことへの感動。
それをツアー初日に間近で感じることができて本当によかった。

ちゃんとステージを見ていた人の感想で、

何処へでも行けるさ 君といたなら

というフレーズに合わせて、
hydeさんは1番はメンバー達、2番は客席の方へ大きく腕を広げていた、
と目にして、それも今だからできる表現だとさらに感動が深まった。


見たかった光景が見られた、でもう一つ。
それはお互いの地声が届くほどの距離で談笑するメンバー4人の姿。
単発ライブでも長めのMCがなかったわけではないけれど、
hydeさんとkenさんを中心に、絶対この人たちネタ打ちとかしてないんだろうなという
行き当たりばったりの会話をする様子も、
10公演以上あるツアーならではの光景だと思う。
あれだけの天才が4人いても、誰一人
『○○とかけて、××ととく、そのこころは△△』というなぞかけのルールが分かっていないところとか、
上手いことが思いつかないからって2本のハンドマイクを
フロント3人でパスしあっておたおたするところは、
ひどくゆるくて感動も忘れるほどげらげら笑ったし、
相変わらず言葉を発しないyukihiroさんが外野にならないように、
さりげなくリアクションを促す無意識のチームワークも、
ただただ幸せだった。
孤高のカリスマ性とゆるさを併せ持っているところがやっぱラルクだなーーーって叫んだ。


予定時刻より20分ほど押しで始まって、トータルの公演時間は2時間40分程度。
当初は立見で体力が不安だったものの、結局一度もしゃがんだりすることはなく、
最後のtetsuyaさんのバナナ投げタイムも絶対届くはずがないのにマサイの如くジャンプしてしまった。

オープニングの「約束」に嘘はなかった。
正真正銘最後方の立見の自分たちにも、鋭いレーザービームのようなMMXXの攻撃は完全に突き刺さった。


L'Arc~en~Cielは最新が最強。だから私はラルクが好き。

ARENA TOUR MMXXの間も、L'Arc~en~Cielはずっと最強であり続ける。
そう確信のできる素晴らしいツアー初日だった。

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