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HDD(ハードディスクドライブ)の「物理障害」とは何か?

①物理障害とは

HDD(ハードディスクドライブ)など記憶装置が物理破損することで生じるデータ障害のことを指しています。

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主な原因としては下記の4つがあげられます。

1. 物理的衝撃

HDDに強い衝撃や振動を与えると「磁気ヘッド」がディスクに接触し、物理障害が発生する原因となります。

「磁気ヘッド」とは、HDDのデータを読み書きする「レコード針」のような装置です。「磁気ヘッド」は「ディスク」上を浮遊してデータの読み書きを行っており、この2つの隙間は、わずか2~20nm(ウイルスと同じ大きさ)しかありません。

このようにHDDは超精密機器であるため、もし稼働中のHDDに強い衝撃を与えると「磁気ヘッド」がディスクに接触する恐れがあります。稼働中のHDDには衝撃や振動を絶対に与えてはいけません。

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(HDDは一見システマティックなイメージを持ちますが、データが保存される原理そのものは非常に「物理的」なものといえます)

2. 直射日光、高温多湿、熱暴走(モータの発熱)

HDDは構造上ほぼ密封状態であるため「直射日光」「高温多湿」「熱暴走(モーター発熱)」など過酷な環境に晒されると、内部の温度が上昇し、磁気ヘッドが不具合を起こしてディスクに接触するリスクが高くなります。

3. 経年劣化

HDDはSSDと違って磁気ヘッドやモーターなど物理的な駆動装置が搭載されています。そのため長期間の使用で経年劣化が発生し、正常にデータを読み込まなくなります。最悪の場合、ディスクに傷がつく「スクラッチ」といった「重度物理障害」が発生する恐れもあります。

4. 停電や強制終了などによるシステム異常

停電などで機器が突然切断されると、システムを正常終了できず、正常に動作できなくなることがあります。

上記の事柄からHDDが破損すると、次に紹介する障害例を引き起こします。

②障害事例

以下の事例がHDDの「物理障害」に該当します。

1. 磁気ヘッド障害ヘッドクラッシュ

「物理障害」において過半数を占める障害事例が「磁気ヘッド障害」です。

「磁気ヘッド」は強い衝撃などを受けると不具合を起こし、上手く動作しなくなり、延々と同じ場所を往復し続ける誤作動を起こしたり、最悪の場合ディスクに接触して引っかき傷(スクラッチ)をつけてしまいます。

2. スクラッチ障害

「スクラッチ障害」とは上記の「磁気ヘッド障害」や「物理的衝撃」などが原因で磁気ヘッドがディスクに接触して引っかき傷がつく状態を指します。

これは「重度物理障害」と呼ばれ「物理障害」において最も重い障害とされています。また、この状態で何度も通電を試すことでディスク上の傷が深くなり、最悪の場合、データの取り出しが不可能となってしまいます(傷がついた部分は「不良セクタ」と呼ばれ、原則この部分からデータを読み込むことは出来ません)。

3. スピンドルモーター障害

スピンドルモーターとは「磁気ディスクを高速回転させる装置」のことです。ここに強い衝撃が加わったり、あるいは異常終了などが原因でデータを正常にディスクから読み込みなくることを「スピンドルモーター障害」といいます。

4. ファームウェア障害

ファームウェアとは「ハードウェアの全般的な制御を行うHDDなどに搭載されたプログラム」のことです。

単刀直入にいうと「ファームウェア障害」で開封作業は行わずに復旧作業を行うことができます。しかし、ファームウェアは「メーカー」「型番」「ディスク数」「ヘッド数」など1台1台で性質が異なってくるほか、ファームウェアの解析自体があまり進んでいないため、専門的な知識・技術・経験が要求されることになります。

また、この障害が発生すると磁気ヘッド障害のように「カチカチ」と異音がすることも多く、動作プログラムの異常と特定することは難しいといわれています。

たとえば、ファームウェア障害が起きた機器の復旧を他社に依頼をしたところ、誤診断で部品交換など不正確な作業が行われた結果、HDDの状態が悪化し、データ復旧が不可能になったケースもあります。

つまるところ「ファームウェア障害」は、正確な診断と手順を行わなければ安全に復旧することが出来ません。

③物理障害の代表的な症状

・通電時に「カチカチ」「ジージー」といった異音がする

・BIOSでHDDが認識されない

エラーメッセージ(たとえば「ハードディスクに問題が検出されました」「巡回冗長検査(CRC)エラー」など)が表示される

・著しくアクセス速度が低下するか、データにアクセスできない

などがあります。

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④個人で復旧対応できない理由

「物理障害」の発生したHDDは原則個人で復旧することは出来ません。

なぜなら「物理障害」のデータ復旧には「クリーンルーム」などの専門設備でHDDを分解する必要があり、さらにメーカー・型番・製造年に沿って、適切な部品交換を行うなど、きわめて専門的な作業が伴うからです。

また「ファームウェア障害」の復旧作業には、解体作業こそは行わないものの、特殊なツールを用いた解析が必要なため、復旧難易度が高くなります。

いずれにせよ「物理障害」が発生したHDDを個人で復旧を行うことは、ほぼ不可能です。また「物理障害」が発生したHDDは、通電するだけで、磁気ディスクへの損傷が拡大してしまう恐れがあるため、自己流の対応は避け、復旧サービス業者にご相談しましょう。

⑤ 対処法と注意点

① 通電しない

HDDから「カチカチ」「カタカタ」と異音がしている場合、絶対に通電を続けてはいけません。なぜなら「磁気ヘッド障害」「スクラッチ障害」といった、データ復旧の難易度が高い障害に発展する恐れがあるからです。

また「磁気ヘッド」が誤作動で同じ箇所を何度も往復すれば「磁気ヘッド」の劣化が進み、最悪の場合、データの記録面に引っかき傷が付く「スクラッチ」という重度物理障害につながってしまいます。

むやみに機器を触らず、すぐに復旧サービス業者にご相談して下さい。

② 専門のデータ復旧業者に相談する

データのバックアップがとれない場合、深刻な障害が発生している可能性が高くなります。また障害が発生したHDDを個人で修復するのは非常にハードルが高く、障害を悪化させてしまうリスクも伴います。このような場合だとデータが完全に失われてしまうこともありえるため、重要なデータであれば、いち早くデータ復旧業者へご相談ください。

⑥ データ復旧会社を選ぶポイント

私たちは年間で18,000台ものハードディスクをお預かりしていますが、そのうち約4割はHDD本体にトラブルがある「物理障害」を起こしています。

しかし「物理復旧」には、高度な技術と専門設備が要求されるため、これを満足に行える復旧サービス業者は自然と限られてきます。

もし「物理障害」を起こしたら、どの業者に託すと高確率で復旧してもらえるのでしょうか? 業者選びのポイントとしては、以下の2つがあります。

① ひとつは「設備」です。

HDDは非常に精密な機器であり、空気中の微小な塵や埃が付着するだけで破損してしまいます。つまり、業者選びには「設備」が必須条件となります。

そのため、当社では初期診断を通して「物理障害」と判明した場合、特殊な作業服を着用した専門の技術員が国内では2、3社しか保有していないクラス100の「クリーンルーム」にて部品交換などの復旧作業を行っています。

また、部品交換においては、幅広い機器や障害に対応できるよう、当社には300を超える復旧設備を取り揃えております。

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② もうひとつは「技術力」です。

物理障害の発生したHDDの復旧は一発勝負といっても過言ではありません。誤った処置により、状態を悪化させ復旧率を著しく下げてしまう危険性があるからです。つまり、業者選びには「技術力」が必須条件となります。

当社では国内外から最新設備を導入しており、トップエンジニアが専門ツールを用いて、同じフロアで「部品交換」から「ファームウェア解析」「クローンの作成」までを行うことで高い復旧率を誇っています。

また、ファイルシステム上に「不良セクタ」が発生していた場合、当社ではファイルシステム自体を解析・修復するほか、他社では復旧できない特殊なファイルシステムも直すことが出来ます。

これ以外にも当社では重度物理障害である「スクラッチ」の研究開発などにも取り組んでおり、スクラッチ障害からの復旧技術は「経営革新計画にかかる承認」として、東京都庁からも認められています。業者選択の際にはこのように技術力がしっかりと担保された業者かを見極める必要があります。

物理障害の発生したHDDの場合、復旧業者を選択する際は特に「設備」「技術力」に着目するようにしましょう。

⑦まとめ

いかがだったでしょうか?

夏場は気温が高まり、機器に負荷がかかりやすいため「物理障害」の発生するリスクも高まります。

当社では、他社が復旧不可とするような物理障害の発生した機器であっても「1秒でも早く、1つでも多くのデータを最も安全に復旧する」使命のもと、データの復旧を行っております。

ご相談・診断は無料になっておりますので、お困りの方はまずはお電話にてご相談ください。

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