いまさらわかる新世紀エヴァンゲリオン⑩第八話『アスカ、来日』

 第八話、「アスカ、来日」。今回で「いわ新」も二桁になりました。というところで、いよいよあのキャラが登場します。
 惣流・アスカ・ラングレー。エヴァの中盤、いわゆる「明るいエヴァンゲリオン」を支える立役者ですが、性格は複雑怪奇、その過去はわりと悲惨。末路も悲惨というなかなか困難なキャラクターです。

 ……あと、筆者はもともとガチガチのLAS派(古語)なので、なるべく気を付けますが考察にバイアスが生じている可能性があることを予めお断りしておきます。

 さて、本編。ゲンドウが輸送の心配をしていますが、これは多分エヴァ弐号機ではなく同時に運んでいるアダムの方でしょう。前回の予告と合わせると、ドイツのヴィルヘルムズハーフェンから佐世保に寄港、その後新横須賀へ、ということのようです。
 佐世保や横須賀、最近は艦隊をこれくしょんするゲームのイベント等で中々栄えているようですが、エヴァの登場人物も軍艦由来が多いです。「綾波」もそうですし、今回登場のアスカなんて「惣流(蒼龍)」、「アスカ(あすか)」、「ラングレー」と、全身が船で出来ています。なので、船でやってくるのも当然と言えば当然。

 輸送ヘリ。機種は架空ですが、モデルはいわゆる「スカイクレーン」という輸送ヘリと思われます。ケンスケとトウジもなぜか一緒。
 行先は国連軍太平洋艦隊。国連軍は要するに各国の軍備の寄せ集めでできているので、アメリカ製の空母にソ連製の艦載機が載っていたりします。
 運んでいるのは、エヴァ用の電源ソケット。要はアンビリカルケーブルですね。ドイツからここまでで航路の大半を消化しているので、今更ソケットを運んでくる、というのも違和感がありますが……?
 この謎については、後ほど。

 そして、アスカ登場。
 完全に余談ですが、アスカのスカートが捲れるシーン。エヴァ放送時はブラン管が主流ということもあり、テレビだと調整の具合で画面が端で切れるため、パンツが見えるの見えないのでひと悶着あったとかなかったとか。
 閑話休題。
 いきなりビンタを食らい、対抗して脱ぐトウジ。再びビンタ。
 シンジに「冴えないわね」と言い放つアスカ。加持さん曰く、シンジは既に業界では有名人。アスカも噂は聞いていたようなので、実物とのギャップもあるのでしょう。それに対してムッとするシンジ。いつもなら反射的に「ごめん」と言いそうなもので、割と珍しい反応な気もします。

 ネルフのID、年齢身長体重は置いておくとして、なんでBWHの記入欄あるの? ゲンドウの趣味?
艦長「この海の上であの人形を動かす要請なんぞ、聞いちゃおらん」
 ということのようです。

 加持さん登場。アスカは黄色い声を上げています。加持さんもアスカ同様、「明るいエヴァンゲリオン」の立役者です。ミサトとの関係について等はそのうち。

 ミサトさんと密着して顔を赤らめるシンジくん。今回の話は珍しい反応が多いです。

 加持さんにジト目を向けるアスカ。ミサトに寂しげな目を向けるトウジとケンスケ。寝相の悪さの話で揃ってギャグポーズに。
 さっきも書きましたが、シンジくんは有名人です。「偶然も運命の一部さ」とのことですが、チルドレンが度々「運命を仕組まれた子供達」という呼び方をされることと無関係ではないでしょう。
 ちなみに加持さんはチルドレンの選出組織、マルドゥック機関の謎を追っています。

 アスカと加持さんの会話。シンクロ率の基準はよくわかりませんが、10あたりが起動指数、という感じの様子。じわじわ時間をかけてエヴァに慣れ、シンクロ率を上げていく……というのがセオリーの模様。なお、シンジくんのシンクロ率もまだ成長途上ですが、それが後々波乱を呼び起こします。

 アスカのお誘いからの、シンジにエヴァを見せびらかすアスカ。シンジについての話を聞いて対抗心が首をもたげてきたのでしょう。
 弐号機が「世界初の本物のエヴァンゲリオン」……アスカは間違いなく真相は知らないんですが、これ、実は真実をついています。
 エヴァンゲリオンは南極で発見されたアダムのコピー……ということになっていますが、初号機は箱根で発見されたリリスのコピーなのです(零号機も多分そう)。なので、アダムベースのエヴァンゲリオンは弐号機が初。

 使徒、襲来。ガギエルくんですが……人類にリセットをかけられるリリスではなく、始祖のアダムを狙いに来た健気な使徒です。でもこれ、仮にアダムが空輸されてたら詰んでたんですよね。後にゼーレからも「シナリオから少し離れた事件」と言われています。
 ……というか、第三新東京市を目指してきたものの、海から陸に上がれず近海をウロウロしてたのでは……?
 
 ガギエル襲来は基本的にアダムが原因と目されますが、今更エヴァ起動用のソケットを運んできたこと、艦隊が何故か佐世保に寄港していることから、「アダムを積み込んだのは佐世保」という可能性もありますね。

 「チャーンス」と悪い顔のアスカ。彼女は独断専行でエヴァ弐号機での出撃を決意。覚えておきましょう。

 いきなり着替えを覗きはじめるシンジ。「ちょっと待ってて」としか言われてないから……。シンジくんも、綾波の時とは打って変わってしょぼくれ顔。反応がわかりやすい。

 余談ですが、アスカはエヴァに乗ることに命かけてるからか、ヘッドセットは常時身に付けています。シンジくんも学生服+ヘッドセットで搭乗するシーンが何度かあるので、「いつでもエヴァに乗れるように」ということなのでしょうか。今風に言うと常在戦場。

 後々出てきますが、アスカの原動力は、エヴァに乗って活躍し、自分の存在を証明し続けること。「エヴァに乗る」ではなく「エヴァに乗って活躍する」なのがミソ。

 成り行きで女物のプラグスーツを着せられるシンジ。嫌そうな顔はするけどアスカに押し負けます。自分のプラグスーツないの? という辺りをちょっと覚えておきましょう。

ミサト「変ね、何かを探してるみたい」
 ガギエルはアダムを探している様子。この後起動したエヴァ弐号機に突撃するシーンもあるので、弐号機狙いの可能性もありますが……。

 ゲンドウと加持さんの会話。ゲンドウ、「予備のパイロットも追加してある」と言いつつ、シンジ用のプラグスーツはナシ。そもそも、後で明らかになりますがシンジは弐号機には乗れません。完全にエヴァに乗せる気は無い。あと、ここで言う「予備のパイロット」、トウジとケンスケも含む可能性があります。後に出てきますが、シンジくんのクラスは、みんなエヴァのパイロット候補なのです。
ゲンドウ「最悪の場合、君だけでも脱出したまえ」
 とのことで、アダムのサンプルさえ手に入ればいい様子。要は、明確に「シンジはここで死んでもいい」ということですね。
 水中戦を考慮していない仕様の弐号機。使徒をホイホイするサンプル。そもそも乗せる気の無い予備パイロット。もはや謀殺の気配すらします。
 一方、加持さんも真実追及マンなので、それを受諾。いざとなれば、ミサトさんもアスカも切り捨てます。フリだけならまだしも、ホントに逃げ出しますからね……。

 しかし、そうは問屋とアスカが許さない。
 まさかの二人乗り。この辺、綾波のエントリープラグには自分から突っ込むシンジ、シンジをエントリープラグに連れ込むアスカと、対照的な構図。しかもこっちはペアルック。

ミサト「試せる……か」
 ミサトさん一体何を試す気なんです!?
 そういえば、ケンスケとトウジと3人乗りした時はノイズが混じっていました。が、今回は支障はない模様。プラグスーツを着ているからか、それともアスカの心情によるものか。エヴァのシンクロは心の持ちようで結構変わるようなので。

 弐号機の八艘飛び。アスカの弐号機、自身満々なだけあって、運動性能は滅茶苦茶いいんですよね。正直、過去数話の比じゃないくらい、エヴァンゲリオンが飛んだり跳ねたりします。近接戦闘も強い。

ミサト「アスカ! B型装備じゃ水中戦闘は無理よ!」
アスカ「そんなの、やってみなくちゃわかんないでしょ?」
 初陣のエヴァパイロット、みんな慢心してるな……

ミサト「なんとかなります」
 なんとかするのは、いつだってシンジくんです。
 アスカが動き回ってると、考察すること少なくて筆者は楽です。

 ホントに一人で脱出する加持さん。一瞬、ちょっと嬉しそうだったミサトさんが悲しい。

アスカ「ヘンなこと考えないでよ」
シンジ「何が」
 ということで、この時点だとシンジからアスカへの反応は概ねろくでもないです。アスカの方からイベント起こしまくってるんですが。次話以降に期待。

 シンクロ率上昇、というより暴走に似たエフェクトで使徒の口が開き、無事殲滅。ちょっと国連軍太平洋艦隊が半分ぐらい犠牲になりましたけど。流石にこの被害には、後にゼーレも苦言を呈します。

 クルーズ終着点の新横須賀は現在の小田原あたり。余談ですが、先程使徒と戦っていたのが、現在の横浜の上あたりです(戦艦を配置するシーンの地図に地名があります)。セカンドインパクトで海岸線が大きく変わっていることがわかります。
ミサト「水中戦闘を考慮すべきだったわー」
 エヴァの水中戦装備は後に10話で登場します、が……アレが初陣だとメチャクチャしまらなかったよな……。
 エヴァの電源プラグを運んできたあたり、海上戦闘は考慮していたようですが、いまいちヌケてるミサトさん。

 シンジとアスカ、二人でシンクロ率の記録更新。なんかの伏線っぽいですが、旧世紀版では特に生かされず終わります。新劇場版だとダブルエントリーがありますが、そっちだとこのイベントはナシ。
 二人で乗った本当に効果があったのか、アスカがやる気になったのか、それとも男をコクピットに連れ込んで弐号機がキレたのか。真相は闇の中。

 さて、先に逃げた加持さん。加持さんの人間力の高さとして、今回のトンズラが次話以降話題にすら上らない点があるでしょう。
加持「やはり、これのせいですか?」
 ガギエルくんが襲ってきたのは、このサンプル……復元されたアダム狙いの可能性大。この台詞の後、不自然な間。
ゲンドウ「最初の人間、アダムだよ」
 えーと、まずこの台詞なんですが。『不思議の海のナディア』のセルフパロです。
 で、アダムって何なの? というお話をしますと、原始地球に墜落した生命起源となる存在の一つです。原始地球には諸事情あって、アダムとリリスの二体が墜落。そして、アダムが後に使徒と呼ばれる生命体を、リリスが現在の有機生命体、ひいては人間を生み出すこととなります。つまり、人間とは別系統の生命の祖です。セカンドインパクトの時にちょっと弾け飛んだのを、エヴァとは別にオリジナルとして再生が行われていました。
 ん……? そうなると、アダムと人間、いっこも関係ありません。どこが最初の人間なんだよ!!!! 大人(※ゲンドウ)はいっつも嘘ばっかり言う……
 ……それ行くと、アダムから作ったエヴァを「人造人間」って呼ぶのもどうか、という話ではあるんですが。

 ということで、アスカ転校が今回のオチ。
 次回も、シンジとアスカがペアルックです。

 レイと違ってアスカは世界の秘密となんの関係も無いので、記事が短くなっていいですね……!

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