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4/4 子猫を見つけたらどうする?

猫の出産シーズンがやってきました。この時期は子猫の保護依頼が多く、団体さんや個人ボラさんはてんやわんやしていると思います。今回は普段全くいきものに縁がなかったり、いきものは好きだけど飼育の経験がない方に向けて、子猫を見つけたときに取るべき行動について書いていきたいと思います。

1.子猫の状態を確認しましょう。
明らかに弱っていたり、ケガを負っていたり、あるいは段ボールに入った状態で捨てられているという場合を除いては、親猫が世話をしている可能性も大いにあり得ます。たまたま餌を取りに行っていたり、お引越しの最中だったりすることも。(引っ越しの場合親猫は子猫を一匹ずつ咥えて運びます)

そういうときに下手に人間が手を出すと親猫のネグレクトに繋がる場合もあると言われていますので、元気そうでうろちょろしていたりしなければ、静かにその場を離れましょう。なにもしないことがベストな選択肢であることも往々にしてあるのです。

むしろ、子猫がいるということはその地域の猫の中に避妊手術を施されていない個体がいるということなので、後々捕獲→手術を行うべきです。親猫はもちろん生まれてしまった子猫たちに関しても、若いうちに捕獲すれば人馴れさせて家猫にできる可能性も高まりますし、里親さん探しも比較的容易です。自治体によっては手術に対して補助金も出ますし、地域の猫ボラさんやお近くの愛護団体に相談すれば可能な限り協力も望めるかもしれません。都内や東京近郊であれば当団体にご相談頂いても構いません。

2.親猫の庇護が確認できなかったり、弱っていた場合
シビアな話になりますが、動物の保護には少なからずお金と時間が掛かります。保護して命が繋がった場合、その後どうするのか、自分で飼うのか里親探しをするのか、里親探しをする場合は声が掛かるまで命を預かり続けることができるのか、それらを自問するべきです。

可能だと思ったならば、なにはなくとも先ずは動物病院へ連れて行きましょう。子猫は本当にちょっとしたことですぐに命が危うくなりますので、状態を確認して適切な治療を受けることが大切です。健康だったとしても、だいたいの月齢を判断してもらえますし、飼育に関することも色々と説明してもらえます。

自分の力では難しいと思った場合、一番してほしくないのは動物愛護センターや保健所に連れて行くことです。僕の活動している東京都の統計を見ますと、平成28年度の猫の収容数は成猫が364匹、子猫が446匹です。それに対して、猫全体の譲渡数が267匹、殺処分数が526匹、来所返還が18匹となっています。内訳が出ていませんが、実際には乳飲み子くらいの月齢の猫は殺処分される割合が高いです。数時間おきの授乳や排せつ補助等、子猫は本当に手間がかかります。愛護センターではそこまで手を回すことができないため、あまり日を置かず殺処分となってしまうのです。ミルクボランティアという子猫預かり制度もありますが、現状人が足りているとは言い難いため、結局センターに持ち込まれてしまうと命が繋がる可能性は低いです。

次にしてほしくないことは、動物病院や猫カフェ、保護シェルターなどの前に置き去りにすることです。そもそも動物病院や猫カフェは保護施設ではありません。日々の業務の妨げになってしまいます。心ある方がいれば猫の命は助かるかもしれませんが、その行為は同時に、他人に過度の負担を了解なく強いることなのです。
では保護シェルターはどうでしょうか。確かに動物の保護はシェルターの意義に沿うものではあるけれども、どこの保護施設も収容数に限界というものがあり、上限いっぱいでやっているところがほとんどです。スペースの問題を運よくクリアできていたとしても、資金の問題はついて回ります。寄付を募っているとしても、計画外の出費は運営に対して負担となり得ますし、手弁当でやっている方も多くいらっしゃいます。突然朝起きたら玄関先に子猫が、というのは本当に困るのです。

では、自力で助けることができない場合は見捨てるしかないのか、というとそれもまた違います。必要なのは事前の連絡、相談です。一報頂ければスペースの確保等は横のつながりで預かりさんを探すなどしてクリアできる場合があります。費用に関しても、すぐに全額支払うのが無理でも月々の少額寄付のお約束をしていただく等、関係性が構築できればクリアできるかもしれません。病院に連れていく時間や世話をする時間はないけれど、お金なら出せるという方だっていると思います。命を助けるという選択をした時点で生まれる責任は負うべきです。けれど、自分ひとりで背負いこむよりは、誰かに相談して協力しあうことを考えるのは悪いことではありません。たくさんの人が協力し合うことで開けてくる可能性に目を向けましょう。

3.自力でやるし成長後も自分で飼う、または里親探しをする場合
これは前述したように、動物病院に連れて行けばその後のお世話の方法等は説明してもらえると思いますが、見つけたのが夜ですぐに連れていけないという場合もあるかもしれません。診療時間外でも連絡すれば診てもらえることはありますが、そういう病院が見つからなかったとき。先ずは温度管理をしっかりしてください。子猫に適正な温度は約30度です。低体温状態に陥らないようにとにかく温めてあげてください。

離乳前の猫には子猫用ミルクが必要です。牛乳はそのまま与えると下痢を引き起こすので与えてはいけません。子猫用のミルクをすぐに用意できない場合は、牛乳を薄めてあげるか、牛乳に卵黄を混ぜたものを与えるなどで対応してください。『子猫用ミルク 代用』で検索すれば詳しいレシピなど出てきますが、あくまで代用です。基本は子猫用ミルクを用意しましょう。これをスポイトや猫用哺乳瓶、どちらもなければストロー等でも代用できますが、いずれにせよお皿から直は無理なので授乳するように与えてください。だいたい2時間おきです。

同時に必要なのが排せつです。子猫は自力で排せつできないので、授乳の前後に、湿らせたガーゼなどでお尻をトントンと刺激して排せつを促すことが必要になります。

温度管理、授乳、排せつ、これらを行いながら夜を明かして、動物病院が開き次第連れて行ってください。

順調に育っていけば、生後6か月くらい、体重でいうと2kgあたりで避妊去勢手術が可能となりますので、必ず手術を受けさせてください。その後は自分で飼うにしろ、里親探しをするにしろ、完全室内飼育と終生飼養を必ず守るということを最低限守るべきだと考えます。

だいたいこんなところになります。実際のところ「子猫 保護」とかで検索するといくらでも情報は出てくるので情報としての価値はあまりないかもしれませんが(書いてる途中で気づいてしまった)1頭でも多くの命が繋がることを願って。(ちなみに僕が飼ってる猫のうち2匹は、当団体のシェルターにゃんだん邸にずたぼろの状態で放置されてた子猫でした。動物の遺棄は犯罪です。マジで。)


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