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えっ!? たった3日で電子マンガ配信ができちゃった件

『ディエンビエンフー 完全版』全12冊の電子配信が整うまでには4ヶ月を要した。設立した個人電子書籍レーベル「島島」からの初のリリースであり、出版社との契約解除や再契約、データの救出、デザイナーへの再依頼、さらに法的解釈の検討などのがあったため、それなりの時間がかかった。

 ところが、それに続く突発的な追加リリースとなる『アオザイ通信 完全版』全3巻(2020年1月15日配信予定)は、発案から納品まで「たった3日」で配信準備が整ってしまった。4ヶ月もそれなりに短いと感じたが、これはあまりにも早い。早すぎる...。そしてkindleにも登録され予約が始まっている。

『アオザイ通信完全版 1 食と文化』kindle

『アオザイ通信完全版 2 戦争と歴史』kindle

『アオザイ通信完全版 3 旅の終わりと始まり』kindle

 早すぎるけれど、しかし一定の公共性があると考え以下に経緯をまとめた。

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 去る11/15日に『ディエンビエンフー 完全版』全12巻は電子書籍取次代行「電書バト」を通じて約50のマンガアプリ、ストアに配信された。現在リリースから2週間、具体的な売り上げは不明だが、とりあえず目に見える動きとしてはkindleの「歴史コミック」枠でランキング上位、加えて紙の本『アオザイ通信完全版』への反応があった。

『アオザイ通信完全版』は、『ディエンビエンフー』が小学館から双葉社に移籍した際に「未収録」となったエッセイ・コミックを「食」「歴史」「旅」とテーマ別に再編集した紙の本。描き下ろしやインタビューも追加収録し、全3巻を刊行。「リトルプレス」と呼ばれる少部数の自費出版の規模だが、ISBNがある。取次「H.A.B」を活用して流通しており、amazonでも購入できる。「双子のライオン堂」サイトから通信販売も可能だ。

 反応があるなら、これも電子書籍にしてみようと、企画は急遽立ち上がった。理由は主に以下。

・電子書籍『ディエンビエンフー 完全版』発売後、リアクションがあったこと

・電子コミックでは「単行本一冊」と並行して「各話売り」等があり、「内容の重複」は気にされないこと

・2017〜2018年にかけて自主制作した本であり、手元に完全なデジタル・データがそろっていること

・『アオザイ通信完全版 3 旅の終わりと始まり』収録のロングインタビューが、『ディエンビエンフー 完全版』12巻ラストの「打ち切り未完」「黒歴史」「TRUE END」「Vtuberヒカル・ミナミ構想」についての十分な説明になること

 電子版の制作にあたって変更点はわずか3点、タイトル、奥付、バーコードだけ。紙版の正式なタイトルは『アオザイ通信完全版 #1 食と文化』だが、ネット上では「#(シャープ)」は少し面倒なので、取る事にした。奥付は電子版の発行所を「島島」とし連絡先を併記、その上で初出として「紙版」のクレジットを残した。バーコードは消去。結果的に写真を全面に見せることができた。

(以下の画像は西島が制作したデザイナーへの修正指示図)

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 以上の作業を経て、「電子書籍にしてみよう」と思い立ってから、データの完成&納品までたった3日で完了してしまった!!

 上記はデータを受け取った取次代行「電書バト」のつぶやき。納品したその日に3巻分の確認用「ePub」データが届いた。早い、早すぎる! あとはテキストで書誌データをまとめ、配信を待つだけ。

 この三日間の作業の実感としては、「写植」や「デザイン」などの権利が未整理な「商業出版」よりも、「リトルプレス(少部数の自主制作本、同人誌含む)」の方が電子化へのシフトが遥かにスムーズだということ。

 というわけで2020年1月、電子書籍として『アオザイ通信 完全版 1 食と文化』『アオザイ通信 完全版 2 歴史と戦争』『アオザイ通信 完全版 3 旅の終わりと始まり』のリリースが決定した。各巻500円(紙の本の半額)。以下、各巻の表紙、裏表紙、本編、写真をサンプルとして貼り付ける。配信開始をお待ちいただきたい。

 (早すぎる挨拶だけど)良いお年を。Xin Cam On.

西島大介(島島)

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アオザイサンプル1

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アオザイサンプル2

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アオザイサンプル3

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うーん。いい写真。僕の絵だけでは描き出せない、ベトナムの空気感、カラフルな美しさ、素晴らしい。こうしてフルカラー写真を収録できることも電子書籍の利点なのではないでしょうか。

『アオザイ通信完全版』に写真を提供いただいた「かくたみほ」さんは、実は「よつばとカレンダー」の撮影者であり、世界各地を旅する多忙な人気写真家さんですが、コマーシャルフォトは別として「写真」の世界はマンガよりもはるかにハード。多くの写真家は自腹切って、人生かけて「作品集」を作り、展覧会を開催するのだそうです。

だったら、電子書籍のノウハウを生かして、電子で写真集を出せばいいのでは? 紙のフルカラー印刷は予算がかかるけど、例えば電子書籍オンリーで、「マンガアプリを経由して読むディエンビエンフー写真集」というのも面白いかもしれません。 

うん、これは企画として行けそう。今度やってみよう。アイデア無限に出てきます。「豊かな発想で、未来を実装」それが「島島」です。「100人乗っても大丈夫」的なものです。CM作ろう!

・・・・と、ほぼ妄言なボーナストラックまで、毎度お読みいただきありがとうございます。

pixivFANBOXもよろしく、こっちの制作日誌はより詳細&膨大です。

せかまほ5も進んでます。突発「文フリ」参加は業界プロモとしては成功、しかし売り上げ的には・・・。来月も頑張るぞ! お渡し会調整中です。

Xin Cam On.(ありがとう)

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