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ファッションと法律

週一更新を目指したものの年末に入って一気にバタバタに。しばらくは不定期になります。

11月末は上海に出張に出かけていました。
香港には行ったことはあるのですが、中国メインランドは初めてです。
これから海外進出を加速するにあたり中国マーケットは不可欠な存在、自分の目でしっかりと感じてきました。
ものすごくインプットすることが久しぶりに多く、頭の中がグルングルンと回っているので整理しがてら時間の空いている時にnoteに書いていこうと思います。
感想は「東京がもう一つある」でした。

さて、今日はファッションと法律。ちょうどWWDの最新号が「ファッションロー特集」でした。

僕も法律業界にちょっとだけ身を置く者としてこの分野は避けては通れないかと。
長く業界にいると当たり前のように思っていることが世間一般では当たり前でなかったりというのはありますよね。
個人的に、「法律は誰にでも平等ではあるけれど、知っている人が得をする」という世界だと思います。だからこそ代理人という職業が成立するのですが。
来年4月には120年ぶりに民法が大改正されるので色々と影響も出てくると思います。

弊社でも契約など法律案件は「難しい」という理由ですべて僕に回ってきますが、いや、それが僕の唯一の仕事なのでいいのですけど笑 法律は社会に変化が起きてからそれに対応するように整備されることがほとんどなので、実は私たちの生活にとても紐付いていることでもあります。ただ、表現や言い回しが独特だったりややこしいので「難しい」と思ってしまうことが多いのですよね。
僕も入社間もない頃にボスに「いい法律家は誰にでも分かる言葉で説明できる人です」と教わりました。コンサルタントなどでやたら難しい言葉を使う人がいますが、優秀なコンサルタントもやはりクライアントに分かり易い言葉を使います。

小さなファッションブランドで法律が出てくるケースとしては「オーダー受注の際(卸先との契約)」と「生地、付属、工場との契約の際」が多いかと思います。
特に卸先との契約は新しいブランドだと、契約書を交わすなんて相手が嫌がりそうだからやめておこう。と思うところが多いと思います。実際弊社も最初はそんな感じでした。
日本においては口約束も民法上は有効なので契約としては成立するのですが、これはさすがに怖いと思うので、皆さんオーダーシートでの受領をしていると思います。なのでオーダーシートに最低限決めておきたいことを記載しておけば金額が小さなうちはなんとかなると思います。あとはメールでのやりとりにして文書に残す。
特に我が国には規定外条項として
「問題が生じた際には当事者は、誠意をもって協議し円満に解決するものとする」という日本人独特の最終奥義があるので、これを入れておくだけでも大分安心できます。
ちなみに海外の契約は性悪説が原則なので日本的な考えは一切通用しません。考え得るすべてのリスク、ケースを記載します。なので契約書がものすごく厚くなります。
僕も海外との取引が増えてきたので今年は海外法をけっこう勉強しました。

オーダー受注の次に法律が出てくるのは、おそらく売上金回収のタイミングだと思います。「支払い遅れ」や「未払い」対応ですね。
個人的な見解ですが、未払いが発生する取引先とは未払いに正当な理由がなければ以後は取引を中止するのが良いと思います。
契約書があれば裁判にて判決を取ることはできますが、判決には強制力はなく、預金差し押さえや商品を差し押さえる、いわゆる「強制執行」をするにはまた別の裁判を起こさなければいけません。少額訴訟など個人でも比較的簡単に裁判は起こせるようにはなってきましたが、しかもそれも相手に資産がなければどうしようもありません。裁判費用はこちら持ちです。
これまた個人的な見解ですが、日本のアパレル小売のお店の人たちは本当にいい人が多いので、なんとか支払おうと頑張ってくれます。それでも支払いができないという時は資産がないのです。
支払いを分割するのは解決策として有効ですが、翌シーズンもそれで取引を続けるのは危険だと思います。支払い遅れの理由がキャッシュ不足であれば、消化率の低下が原因で、それはセールでの消化につながり、ブランディングへの影響に止まらず、他の取引先さんへの影響も出てきます。
ですので、こんな時はきっぱりと諦めた方が精神衛生上も良かったりします。
そうならないためにも展示会の際にお取引先さんの話をちゃんと聞いて、ジャッジするのが大事だと思います。
それでもどうしても困った、なんとかしたい、という方はぜひ弊社まで 笑!!
デザインから債権回収までワンステップでご提供しています!
あれ?ファッションと法律について書いているハズが弊社のPRになってしまいました。

おすすめは展示会の前にオーダー受注から回収までの流れでどのタイミングで法律が発生する可能性があるかをシュミレーションしておくことだと思います。

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