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組織の設計-マトリクス組織編-

今回で、組織設計についての紹介は以上となります。
その最後がマトリクス組織です。
マトリクス組織は、比較的中規模向けの組織形態といえるかもしれません。
少し複雑な組織形態になりますが、始めていきます。

マトリクス組織

組織を運営している際、製品別と機能別あるいは製品別と地域別を同時に重視したい場合が生じる時があります。このような場合の対策として、マトリクス組織というものがあります。この組織形態は、機能別、事業別、地域別の組織形態に水平方向の連結システムを運用しても、組織がうまく機能しないときの解決策としても用いられます。
このマトリクス組織の独特な特徴は、製品部門と機能別構造の双方が同時に設けられている点です。マトリクス組織は、組織を設計する上で例外的な組織形態だと思われるかもしれませんが、以下の状況が当てはまる場合、適正な組織形態になります。

①少ない資源を複数の製造ライン間で共有しなければならない場合
②組織が置かれている環境的に、深い技術的知識と頻繁な商品開発が求められている場合
③組織が置かれている環境でのドメインが複雑で不確実性が高い場合
④頻繁な環境変化により、部門間で縦横双方に大量の調整や情報交換が必要な場合

この状況下に組織が置かれているとしたら、縦、横のパワーバランスが同等でなければなりません。パワーバランスが同等でなければ、環境に対する迅速な対応ができないでしょう。また、マトリクス組織の長所と短所をまとめると以下のようななります。

長所
・顧客からのニーズに応えるような迅速な調整が可能となる
・人的資源を複数の製造ライン間で共有することができる
・複雑な意思決定や不安定な環境の頻繁な変化に対応することができる
・組織の機能面および技術面でスキル開発の機会が増える
・複数の製品をつくる中規模組織に適している
短所
・従業員が二重の指揮系統を持つことになり、フラストレーションや混乱が生じる
・優れた対人スキル取得や集中的なトレーニングが従業員に必要となる
・頻繁な会合や葛藤処理に対処しなければならない
・従業員自身がシステムを理解し、上下関係だけでなく、同僚との協力関係にも適応しなければならない
・パワーバランスを維持するためにかなり努力が必要となる

環境の変化が大きく不確実性高いとき、マトリクス組織はコミュニケーションと調整を行いやすくするため、最善の組織形態になります。また、思いがけない問題が生じた場合でも迅速に対応しやすい組織形態です。またこの組織の大きな欠点として、上司が二人いるため指揮系統があいまいになる点と、マネージャーは会議に多くの時間を費やさなければいけない点があります。


いかがだったでしょうか。今回はマトリクス組織について紹介しました。マトリクス組織は、事業別組織とも機能別組織ともいえない形態であり、伝統的な機能別組織に水平方向のチームを公式化し、両者のバランスをとろうとする組織形態であると言えます。しかし、いずれかに重点をおいた方がうまく機能する場合があります。そこで、生まれたのが、機能別マトリクスと製品別マトリクスです。

・機能別マトリクス
機能別部門が主要な権限を持ち、プロダクトマネージャーが活動の調整をするのみになる。
・製品別マトリクス
プロダクトマネージャーが権限を持ち、機能別マネージャーはプロジェクトのための技術者を専任したり、必要に応じて専門的知識をアドバイスするだけにある。

権力が同等に与え、どこかのタイミングでパワーバランスに崩れが生じるよりは、どちらかにパワーバランスが片寄っていた方が組織がうまく機能するかもしれません。この組織を採用する際は、検討するべき事項でしょう。

今回3回にわたって組織形態について紹介してきました。組織形態は、組織を形成する上で、基礎的な要素であり避けて通れない部分です。3つの組織の長所と短所を考慮にして最適な組織を設計しましょう。
このnoteが組織設計に関する最後のnoteになりますので、個人的見解をまとめておきます。

・機能別組織
小規模企業向け。スタートアップが急成長を求めたい時に活用したい。
・事業別組織
大企業向け。ある程度資金とリソースに余裕がないと良い事業別組織は組めない。
・マトリクス組織
中規模向け。製品群を増やしたいがコストをかけられない時に検討したい。

最適な組織形態を選び、製品やサービスの問題に専ら力を注いて人々にベネフィットを届けてくれる企業が増えることを願っています。

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