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大企業になるための条件

今回は、20世紀での第2次産業革命に誕生した大企業の特徴について紹介します。これは、大企業になるためには何をする必要があるのかについての示唆を与えてくれるものになります。
では、始めていきます。

大企業になる上で必要であった投資

生産

大企業が達成しようとした最初の目標は、規模の経済性と多角化を全面的に開花させるための高いレベルの製造方法の習得と安定化を図ることでした。そのため、技術の伴った最新の工場を設立する必要がありました。これは、労働集約的な産業とは異なり、多額の初期費用を必要とします。この多額の投資を獲得するために行うべき行動は、工場のフル稼働と一生産単位でのコストの削減でした。この二つの指向と第2次産業革命が重なって、ひとたび工場の一単位あたりの効率的な生産コストが決定すると、高速でのサイクル生産が可能になりました。この技術により、規模の経済性の獲得は容易でありました。つまり、巨額の初期投資をしたとしても、それを回収できるどの一単位あたりのコスト削減が可能だったのです。
また、この巨額投資の重要な帰結として、労働組織に対するインパクトがあります。それは、テイラーの科学的管理法です。これは、工場における作業実態の綿密な研究に基づき、作業は基本となる作業単位に分解すべきだという主張に基づいています。この作業単位に応じて管理することによって、生産量の大幅な増加が行われました。デメリットとして、労働者の自主性は皆無なものになりましたが、その代わりに賃金の高給が担保されました。さらにおもしろいことに、テイラーの管理方法の採用によって、組合よる妨害の無くなりました。コストの軽減をもたらす技術力のある工場とテイラーの科学的管理法の採用は、大企業にとって必要な投資でした。

物流

大企業が好結果をもたらす規模の経済と範囲の経済の獲得には、垂直的な統合(川下と川上両方)が不可欠でした。これによって、取引コストが低減し、供給や物流の障害や遅延を防ぐことができ、供給の定時性が担保できたのです。これにより仲介業者の力は徐々に減少していきました。その後、流通業者の力は落ち、垂直統合が可能となった企業に製品の販売に関する競争優位を獲得することができるようになりました。また、この流通構造の変化は、新たなマーケティング方法を生みました。それは、製品が購入後の定期的な保守点検や修理です。これは以前の流通業者には見られないものでした。いわゆるアフターサービスによる高位の競争優位が生まれたのです。
また、垂直統合は、顧客の好みや嗜好、さらにはニーズに関する情報を利用可能になりました。つまり、ニーズにあった製品の供給が可能になったのです。企業は川上と川下の統合により、流通会社の排除を可能にし、供給機能と流通機能におけるかなりの経済的損失を避けることができました。

階層的組織構造

大企業は、コスト優位性を生むことができる生産体制に投資するのと同時に、流通と購買のネットワークを構築することで、短期間にかなり複雑なものになりました。この時に多岐的な組織活動を管理するために、必要な分野における専門性をもった人材をミドルマネジメントとして雇い、管理者として育成することが必要になりました。高度で不断の生産の流れを維持するための経営能力の増大への投資です。これによって、イノベーションが持つ潜在能力を最大限活かすことができるようになりました。第2次産業革命期において欠くことのできないものとして、このミドルマネジメントによる階層的経営組織を構築し、統制する能力が挙げられます。そこでは、マネージャーたちは企業家の指示に従って、自主的、自律的に意思決定を行っていました。そうした活動は、POSDCORBという頭文字で分類することができます。それは、Planning(計画)、Organizing(組織化)、Staffing(配置)、Directing(指示)、Coordinating(調整)、Reporting(報告)、Budgeting(予算)、という分類です。マネージャーたちは自分たちの部門の活動を支えるため上記のような活動をしていました。
この組織構造の構築の古典的な例として、アメリカの化学会社であるデュポンがあります。デュポンの本社は、企業戦略とその統括を行うスタッフ職が働いていました。それは、財務、販売、生産、購入、R&D、輸送の部門です。この部門をもとに複数の事業ユニットを管理していました。トップマネジメントが全体としての調和を統括し、ミドルクラスの管理者が各々の事業部の監視を行い、ローワークラスの管理者が事業ユニットの責任を負っているという組織構造です。この管理構造のよって、デュポンは複雑な事業活動を管理することできました。


いかがだったでしょうか。第2次産業革命に誕生した大企業がした投資の内容について深掘りしました。大企業化を目指したい企業家には、この事例から取るべき戦略が見えてきます。それは以下のものです。

コストリーダーシップと効率化を目指す投資を行うこと
垂直的な生産ラインの統合を目指すこと
専門性をもった人材の獲得とそれを運用する組織の構築

この事例が顕著に現われている日本の大企業には、ニトリが挙げられます。多角化とはまた違う、一つの事業のさらなる成長をこの戦略を取ることで狙えるようになります。では、また次回。


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