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2021年5月の記事一覧

知らぬわ散りゆく花びらなど
お前が背を向け起こした風 戻りてその身を切りつける

ぬめる傷
腐乱する断崖に爪を立て 今さら何を乞う
お前は堕ちていく 無明の膿へ

まばゆい散りゆく花びらよ と
お前が淫靡に流した欲 燻りその身は焼け爛れ

朽ちる塔
腐乱する城壁に爪を立て 今さら何を乞う
お前の尊厳は 崩れゆき 虚無

すがる腕
嗚咽する喉元に牙を立て 今さら何になる
私は穢れなき

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BORN CRY

BORN CRY

そこで笑い暮らす盆暗は

日がな一日幸せに
幸せなだけの妄想を

そこで寝転ぶ盆暗は

日がな一日幸せに
どこのどなたの毒にもならず

そこで息する盆暗は

日がな一日幸せに
ただ生きる事に感謝する

四肢を投げ出し
地の球を
力の限り抱きしめる

いつかあなたのお役に立てる
その日のことを夢に見ながら

もう名前なんていらない

もう名前なんていらない

瞳孔の動向

空間に五線譜

錆びついた体に

何を注入しよう

錆びついた体で

何を発動しよう

待って待って

聞こえる

待って待って

おでましさ

全てから放たれ

全て覆いつくす

この気持ち

言葉じゃない

この意識

文字じゃない

もう名前なんていらない

もう名前なんていらない

うさぎくんと自転車(やさしい雪だったころ)

うさぎくんと自転車(やさしい雪だったころ)

出かける前は
億劫だったのに
走り出すと
自転車は
気持ちいい

水たまりが
キラキラ光ってる
晴れて来た
空を見上げると
陽射しが眩しい

自転車を止めて
うさぎくんは
フード付きのレインコートを
脱いだ

たたむというよりは
ポーンと
自転車のかごに放り込む
やったぁ
晴れたぁ

自転車置き場で
チェ-ンの鍵をはずして
こぎ始める時は やさしい雪だった

やさしい雪は
しばらくして
霧雨に近い

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嘆き

嘆き

朝の光は澄んでいて
温もり与える指先に
空気は小さく揺れている

嘆きの居場所は此処に無く
心の声と語るなら
あなたは何と言いますか

静かな顔した水滴は
終えた眠りに浮き上がり
行方知れずの旅に出る

嘆きの隙間は此処に無く
心が涙に暮れたなら
あなたは何と言いますか

見送る鳥の翼には
昨夜の夢が張り付いて
思い出す間に飛んで行く

嘆きが全てを受け入れて
心の覚悟を問うたなら
あなたは何と言

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映像

映像

どよめく脳内

いなす闘魂

世界を浴びて

歩みを決めて

波長が流れて

届いてキマって

至近距離で

差し伸べる

社会距離で

砕け散る

君の凝り固まった映像
    vs
僕の見当違いな結論

膨れ上がる心に包まれないように

膨れ上がる心で身失わないように

コミュニケーションを止めないで

コミュニケーションを止めないで

よろめいて

膝をついて

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赤と黄金

赤と黄金

僅かな晴れ間の梅雨の午後

憶えたばかりの自転車ならし

まだランドセルの残感が背にあまるなか

日頃は縁遠い駅の裏側まで

私は両足を回していた

緑広がる田の間

立っているのは畦角に地蔵

表情無くても私に対し

友の様に朗らかにはにかむ

地蔵の立つ畦道の角っこを

私は軽快に曲がっては

地蔵にまたねとはにかみ返す

緑広がる田の間

瞬き終わると黄金色

摩訶不思議に逢う田んぼの変身

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「lossless ワタシはシアワセ」

「lossless ワタシはシアワセ」

今宵ワタシは

悪魔の血すじと決別して神の子になる

みんなの知らない場所で

人類誕生以来の

選ばれた光を受けるのよ

騒がしい衣(ころも)を脱ぎ捨て

今宵ワタシは

踊りを舞う

君がね

声に出して

あくびをしている間にも

今は窮屈をしのいでいる

他愛もない会話をする余裕はない

君にはわからない心の傷口の癒やし方

正当化の上手な君には

孤独をそっとプレゼントしてあげるよ

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キャノン砲

キャノン砲

屈服しかける僕のミューズ

屈折したなら無我夢中

必ず取り返すから

必ず決着つけるから

踏ん張ったって

健気であったって

ここは厳しい宇宙です

気付いたら

隣りに君がいて

気付いたら

隣りに君もきて

僕の想いは伝わって

僕の想いは波紋となって

準備万端キャノン砲

決めさせて頂きます

準備万端キャノン砲

PKは僕が担当します

夢と現実の狭間で大合唱

夢と現実の狭間で

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侭

無いものを欲しがり
大切なものを放り出し

放っておいて
放っておかないで

時に雑草のようになりたいの
時にショウケースの花になりたいの

人が好きで
人が嫌いで
人に嫌われるのが怖くて

どうでもよくなった

裸になりたいの
虚栄心が邪魔をする

そのあたりで野垂れ死ぬ夢を見る

レギオン

レギオン

愛しい人の存在は
面影残した爆心地
償いすらも吹き飛んだ

人はケモノになるものだ

耳朶齧る話し声
ノックもしない訪問者
病が心を隔離する

人は薬のパペットだ

自慢する程生きたのか
微細な粒子の喜びと
健気に辟易生きるのか

人は光のはずだった

嘘を吐いたら吐き通す
愛を知るなら愛になる
世界の終わりを願う時

世界が続くと信じてる

構造と機能

構造と機能

構造から飛び出して

構造から飛び出して

機能を司れ

機能を司れ

君が昨日いた場所に
吸い寄せられる

君が昨日いた場所が
追いかけてくる

花は咲いてない
草木は脈打たない

部屋一面に
充満する失敗

部屋一面に
充満する矛盾

つまさきから
頭のてっぺんまで
突如息を吹き返す

"ここにいる"
からまた始めるよ

"存在する"
からまた始めるよ

君の制御出来ない力に
吸い寄せられる

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あなたは

あなたは

あなたの優しさの形は

どこまでも続く凪の湖面
心の震えを受け止めて
穏やかに響き広がる波紋

あなたの優しさの色は

大海に沈む刹那の陽の光
今日の終わりを温かく包む
藍の水面に煌めく橙色

あなたの優しさの音は

豊かに深く沁み入る声
世界のために動かす体から
穏やかに放たれる言葉の音色

堅固な煉瓦の家の
重い扉を開けると出会う

その内に息づく
あなたの優しさは

そんな形や色や
音をして

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カンザシ

カンザシ

黒髪結えて髪飾り
直ぐなる色香の潔さ
町屋の女が歩いたら
荷馬車も流し目立ち止まる

若さは無償の輝きで
撓る柳にもたれ掛け
憂いが睫毛に絡み付き
潤んだ唇慰める

人を知らない眼差しに
恋する瞳が心葉を
捲る景色に誘って
命ひとつも惜しまない

生きることは悲しいわ
二度とは戻れぬ道を往き
後悔しないと約束し
岸辺に落ちた髪飾り