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別解を科学する 私の別解#04 ~平凡な学生から学生起業家へ~[FiberCraze 長曽我部 竣也様]【読了目安:5分】

こんにちは、脱・優等生研究所です!

私たちは、別解を追い求められている方々にインタビューさせていただきながら、何をきっかけに、どういう思いで彼ら・彼女らが別解に挑まれているのかを紐解いていきます。

前回の記事はコチラから↓。

シリーズ第4弾の今回は、FiberCraze社(https://www.fibercraze.com/の代表取締役CEO、長曽我部 竣也氏にお話を伺わせていただきました。
長曽我部さんは、2023年のForbes 30 under 30を受賞されるなど、今注目の大学発DeepTechベンチャーを創業された学生起業家です。

大学発ベンチャーの面白さ・難しさ、学生起業家になるまでの葛藤などを率直にお話いただきましたので、楽しんで読んでもらえれば幸いです。
では、早速本編どうぞ!



1.長曽我部さんの現在地・注力していること

脱・優等生研究所(以下、脱優):
 学生起業家としてFiberCraze社を創業され、2023年のForbes 30 under 30にも選ばれるなど非常にご活躍されていらっしゃいますが、長曽我部さんの現在地や注力されていることについて教えていただけますか?

長曽我部氏(以下、長曽我部氏):
 私たちは、岐阜大学発のベンチャーとして、「世界が誇る素材を創る」をミッションに事業を行っております。
 具体的には、「ミクロな技術で、人類と地球の未来を織りなす」というビジョンのもと、私自身が師事している岐阜大学の武野明義教授が発明された技術を活用して、高付加価値・高機能な素材を開発し、岐阜から世界に通用する商品を広げていくことに注力しています。

FiberCraze会社紹介資料より

 FiberCrazeは、私が大学院1年生の時に1年間休学をして、武野先生と協働で創業し、今年3期目に入ったところで、私自身のステータスとしては、今年の3月に岐阜大学大学院を卒業した、という状況ですね。
 アカデミアで研究されている技術というのは日の目を浴びずに特許どまりになってしまうものも多いので、研究成果をビジネスとしてマネタイズする、社会実装するということに今後一層集中していきたいと考えています。
 また、岐阜は宇宙産業にも使われる繊維を作っているメーカーや、ハイブランドに生地を下ろしている工場なども多いです。地元の高いものづくり技術と私たちの技術を融合することで、世界の社会課題を解決し、生活の発展を担うインフラ素材の開発に貢献したいと考え、活動しています。

2.起業されるまでの学生生活

脱優:
 長曽我部さんは学生時代に起業されましたが、起業されるまではどのような学生生活を歩まれましたか?就活などはされたんでしょうか?

長曽我部氏:
 私自身、父が大企業の会社員だったということもあり、当時は就職を考えていて、正直1年半くらい迷いましたね
 「地方あるある」かもしれませんが、周りの友人たちは大学卒業後に大手企業に行くわけです。当時は海外で働きたいなという想いがあったので、漠然とした考えではあるのですが、総合商社に入ろうと考えていました。
 また、当時サッカー部で活動をしていたこともあり、体育会系から総合商社へという流れもイメージしやすかったのもあります。

脱優:
 当初就職も考えられたということですが、起業を考え始めたきっかけなどはありますか?

長曽我部氏:
 大学3年生の時に、EDGE-NEXTという文科省が行っているアントレプレナー教育の取り組みに、興味本位で参加させていただいたのですが、講演された方に当時24歳の起業家の方がいらっしゃったんです。
 その時、「自分と歳が変わらないのに起業する人がいるのか」と衝撃を受けました。それまで私の周りには起業家や会社の役員をやっているというような人がいなかったので、起業家精神が最初からあったわけではないのですが、その時から少しずつ「自分でも何かできるのではないか」というチャレンジ精神が芽生え、起業を意識し始めたと思います。

脱優:
 なるほど、起業が身近に感じられるようになったということですね。そこからの学生生活に変化はありましたか?

長曽我部氏: 
 授業やワークショップに積極的に参加を通じてビジネスアイデアのブレストをしたり、ビジネスコンテストに出たりしました。
 また、ビジネスコンテスト後の交流会などで出会った人との縁を大切にし、様々な話を伺うようにしていました。
 地方にいると、環境としてやや保守的になる面もあるので、東京で興味深い活動をされている方と話しながら刺激を受けて、モチベーションにしていました。

3.なぜ今の道に進んだのか?

脱優:
 就職と起業とでかなり悩まれたということですが、なぜ起業家としての挑戦に踏み切れたのでしょうか?

長曽我部氏:
 1番大きかったのは、研究者として周りを見たときに、研究されている技術がなかなか世に出ていかない、日の目を浴びないということへの強い課題意識だと思います。
 研究者でビジネス思考ができる方は少ないですし、逆に企業の方はどうしても利益を優先してアカデミア側の研究ニーズとミスマッチしてしまいます。研究者としての立場も理解しつつ、ビジネスの勉強もしている自分なら橋渡しができるんじゃないかと、根拠のない自信がありました
 また、やるなら中途半端にはやりたくないという気持ちもあり、自分の中で「今しかないタイミングで、覚悟を決めてやる」と考えていました。ビジネスコンテストなどにもいくつか出させていただき、少しずつアイデアを磨きながら、準備を進め、大学院1年生の時に覚悟が決まって翌年に起業、法人化に踏み切りました。

脱優:
 ビジネスアイデアを構想されてから、現在に至るまでどのようなハードルがありましたか?

長曽我部氏:
 ヒト・モノ・カネのうち、研究室を使用させていたのでモノにはそこまで困らなかったのですが、ヒトとカネにはとにかく困りました。中でも、一番困ったのはヒトですね。地方では「スタートアップって何?」というところから始まるので、仲間集めに非常に苦労し、結構孤独な期間が1年くらいありましたね
 また、「学生起業家」というと聞こえはいいのですが、実際に商談に伺うと、対等に見られていない、学生扱いされていると感じるケースもありました。そういったケースばかりではありませんでしたが、学生起業家ならではの難しさ、悔しさも感じましたね。

脱優:
 そのような障壁を乗り越え、起業し、事業を順調に成長させられた方法や秘訣はありますか?

長曽我部氏:
 資金面は、ビジネスコンテストに出て、得た賞金をかき集めながら資本金の準備をしました。また、創業後も補助金などの事業には積極的に申請し、開発資金を調達していました。
 また、商談の際には先生に同席いただくなど、「若造だけで来た」と学生扱いされないような工夫をして、商談を進めていきました。現在では、ありがたいことに多くの企業様にご協力いただくことが出来ています。

4.長曽我部さんにとっての「別解」とは?

脱優:
 長曽我部さんにとっての「別解」とは何でしょうか?

長曽我部氏:
「不確実な道への凡人の挑戦」です。
 先ほどお伝えした通り、起業家や役員などいない、地方の平凡な家庭で育ちました。なので、大手に会社員として長年勤めあげ、引退するというキャリアは想定しやすいですし、先が見えました。
 私は一度きりの人生で先が見えるより、どう転ぶか分からない中で、会社員としては経験できない環境に身を置くことのほうがワクワクすると思ったんです。
 また、もし、そういう不確実な道で凡人の自分が成功できれば、再現性が高いと考えました。「私でも出来るなら、あなたにも出来るよ」と背中を押せる存在になっていきたいですね。そういった意味で今の経験していることは何物にも代えがたい無形の財産になっていると思います。

脱優:
「凡人の挑戦」というのは長曽我部さんならではの謙虚な言葉ですね。
まさに、これから挑戦することの怖さと期待とのはざまで揺れていらっしゃる方には参考になるのではないかと思います!

5.今求めている人材について

脱優:
 最後に、今後FiberCraze社で「こんな人に活躍してほしい」、「私たちはこういう方を求めている」などあれば是非教えてください。

長曽我部氏:
「熱意をもって、夢中に働いてくれる人」と相性がいいと思います。
 また、最近は東京在住の方などにも参画いただいており、リモート環境下でもチームワークで価値を出していくということを重視しています。なので、「周りと連携しながら進めていくことが好きな人」にぜひ活躍してほしいです。

脱優:
 今日は貴重なお話ありがとうございました!

長曽我部氏:
 こちらこそ、ありがとうございました! 


参考:FiberCraze社の採用情報

▼会社概要
https://www.fibercraze.com/

▼採用情報
https://salty-deer-f81.notion.site/FiberCraze-55f3ba5c27c641098cbaa2d686116226



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