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だしと発酵のある暮らしに魅せられて


みなさんは、普段自宅でお料理していますか? 例えば味噌汁を作るときに出汁を取ってますか?お味噌は自家製ですか?

なかなか普段仕事をしながらそんなことやれませんよね。

私も数年前まではそこまでは無理でした。でも、そこにかける時間とそれによって得られる心地よさを知ってしまったある日、「やったほうが人生が豊かになる」ということに気がつきました。

出汁を引き、発酵食品を自宅で作るライフスタイルはこんなにも素晴らしい。単に美味しいというだけじゃない。その行為、工程、味わい。そして体全身の細胞が喜んでいるような良い物が入っていく感じ。これは美味しさを超えて、快感以外の何物でもない。そうか、これって面倒なことではなく、快感を得るための行為なのだ。もしかしてすごいことじゃん!

なんで、今の人たちはこの良さを知らないんだろう。もったいないよ!

そこが全てのはじまりでした。


父親の病気をきっかけに出汁への思いを強くした

ある日、父親の体にガンが見つかりました。部位は膵臓。ガンの中でも一番生存率が低いやっかいなガンです。父親は「これも経験だ!」と言って強がりながら抗がん剤治療へと向かっていきました。

抗がん剤を受けるにあたって、家族にはそれによって受ける効果とともに、副作用としてこんなことが起こる、という説明書をもらいました。その副作用には「味覚の崩壊」という記述がありました。え、、?味覚が崩壊してしまうの? なんだかドキドキする言葉でした。抗がん剤というのはがん細胞も攻撃するけれど、正常な細胞も攻撃してしまう諸刃の剣なのです。

実際父親が抗がん剤治療を始めると、食欲はみるみると減っていきました。というよりも、何を食べても美味しくない。藁を噛んでいるようだ。と言って病院で出てくる食事をほとんど食べなくなってしまったのです。美味しくないから食べたくない。食べたくないから、痩せて体力も減っていく。もともと美食家の父でしたから、これは相当に悲しい出来事でした。日を追うごとに痩せていく父。「いつか仕事に復帰するぞ!」という前向きさとは裏腹に、体力はどんどん落ちていきます。はっきり言って、治る見込みはありませんでした。主治医の先生も余命ははっきりは言いませんが、「そろそろ緩和ケアを選ばれてはいかがでしょう・・・」と、やんわりともう先は長くないということを伝えてきました。

そんな父を見て何かできることはないだろうかと思いました。せめて死ぬ前にもう一度「美味しい」という思いをさせてあげたい。それが僕にできる最後の親孝行かもしれない。それが私のミッションになりました。

私は、病室にいろいろな食材を持ち込んで、父親に食べさせてみました。しかし残念ながら、そのほとんどは喉を通らず、美味しそうでもありませんでした。やはり、味覚の崩壊というのは戻らないのか。。。絶望しかけていました。

ある日、ふと出汁を飲ませてみようと思いました。自宅で昆布を水から戻し、鰹節を削って、一番出汁を取りました。そこにほんのわずかな塩をしてポットに入れて病室に持ち込みました。

父に一口飲ませると

「ああぁ。。。うまいねえ。。。。ありがとう。」

そう言ってコップに注いだ出汁を全て飲み干してくれました。

衝撃を受けました。

病院で出る味噌汁は一口も飲めないのに、ちゃんと取った出汁は美味しいとわかってくれる! 

天然の本物のうま味は、味覚が崩壊した父の舌を優しく包み込んでくれたのでした。私はいままで自分勝手にやりたい放題に生きて迷惑ばかりかけてきましたが、このとき、ようやく親孝行ができたような気がしました。

以来、毎日自宅で出汁を取りポットに入れて病室に向かう日々が続きました。

しかし、日を追うごとに病魔は父の体を侵して行き、出汁さえもだんだんと飲めなくなり、入院から2ヶ月で帰らぬ人となりました。

そんな経験をして感じたことがあります。

出汁は命は救えないかもしれないが、クオリティーオブライフをあげることができる。

それってすごいことじゃないか!!

私は、父親の死後、出汁の魅力にすっかり取り憑かれ、狂ったように出汁のことを勉強していくようになりました。そして、この素晴らしさをより多くの人に伝えたい。そう思うようになり、ブログサイトを立ち上げ、自分で出汁のワークショップやイベントを主催するようになり、だしソムリエ認定講師となり、東京のだしソムリエのまとめ役にまでなりました。

もともとオタク体質の私なので、一度のめり込むと、すごく深く追求してしまいます。

そして、知れば知るほど奥が深く、そしてまだまだ世間の人に伝えきれていない魅力がたくさんあることに気がつき、これはもうこの世界で伝道師になっていくことを自分の生業にしていきたい。

そう思うようになりました。そう考えた時に、どんなに雄弁にその良さを言葉で語っても味わってなんぼの世界。百聞は一見に如かずです。やはり、リアルなコミュニケーションは必須。だから、それを生業にするならば、出汁屋さんにならなくてはいけないと思ったのです。

しかも、ただ受け身の出汁屋さんではありません。

情報発信型のいままでにない出汁屋さんになりたいと思いました。


発酵食品というもう一つの軸

冒頭に、だしと発酵のある暮らしと書きました。出汁に関しては上記のようなふんだんなエピソードが詰まっています。ではなぜ発酵か。

これは、出汁は出汁だけでは完成しない料理のベースだからです。

出汁はあくまで素材から出てきたおいしさのエキスが詰まったものですが、そこに味付けをしなくては美味しくいただけません。結局最後に「美味しい」と思うかどうかは、いろいろなバランスが整った状態である必要があります。出汁を極めれば極めるほど、その事実にぶち当たることになりました。そんなときに、味噌や醤油の魅力の再発見があり、そして、発酵にも発酵の世界の多彩で深い深い世界があることを知りました。これらとペアリングを完成させることで、最高に美味しいものが出来上がるんだ。これは切っても切り離せない世界だ。

気がつけば、日本発酵文化協会の発酵マイスターの資格も取っていました。

そして、天然の食材がもともともっている菌や酵素のちからで、食材そのものがうま味成分を強くしたり、消化しやすい形に物質が変化していく様をみていくと、これは出汁から得られる細胞が喜ぶ快感とおなじ快感を得られるのだということにも気がつきました。

これは、両軸でいくべきだ

そう感じたのでした。そして、ここに「だしと発酵、暮らしとデザイン」というキーワードが生まれ、ここを軸に活動を始めているのです。


起業に向けてのリアルタイムなことを

自分のサイトではすでに、情報発信する場として日々コンテンツを増やしています。ではここnoteではどんなことを書いていこうかと思ったときに、noteは自分の考えをまとめたり、起業に向けての進捗を書いていったりということをしたいと思いました。

とういうことで、内容は本サイトとかぶることないようになっていくと思います。

in-the-life.net/

 

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