初期の名人戦の持ち時間は15時間あった
本日、名人戦の第二局が行われました。決着は明日になります。
ていうか、なんで1日で終わらせないの? と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそも将棋と言うのは1手指すのを決めるのにいろいろ考えないといけないので時間がかかります。
そこで名人戦は「持ち時間は各9時間の、2日制」という決まりになっています。
各9時間、というのは、2人とも9時間ずつ考える権利がありますよ、2人合わせて最大18時間ですね。ということです。
しかしそれでも、将棋に詳しくない方はそんな長いの!? と驚かれます。
そんな長時間なに考えるの? と。
考えるのです。プロはもし時間無制限だったら、1局指すのに1週間ぐらいかかってもおかしくありません。
(100年以上も昔、そのような対局もたくさんあったそうです)
で、現在の名人戦はそのように時間が決まっています。がしかし、実は昔の名人戦は今よりももっと考える時間は長かったのです。
というのを、名人戦の歴史と一緒にさらっと書いていきたいと思います。
■初期の名人戦
今行われているのは第77期名人戦ですが、第1期は1935年に始まりました。第1期は名人戦と言われる番勝負はありませんでした。リーグ戦やその他成績を加味して1番成績がいい人を名人にしよう、となったのです。
そして第2期から、名人に「挑戦する」という番勝負が行われるようになったのです。
以下、今で言うタイトル戦のことを<番勝負>で統一します。
第2期~第5期の名人戦の持ち時間は各15時間で、しかも3日制。
番勝負の前に、名人挑戦者決定リーグ戦というのでその挑戦者を決めていたのですが、そのリーグ戦の持ち時間は各13時間です。
現在の持ち時間が違いますね。
現在は番勝負が持ち時間9時間の2日制。
挑戦者を決める順位戦は持ち時間が6時間。
ちなみに第5期は、戦争のため番勝負は行われませんでした。
■順位戦創設後
今も行われている順位戦というのは、1946年第6期から始まりました。
最初の順位戦が行われた時、番勝負の持ち時間も変更されました。
この時は順位戦が7時間、番勝負が8時間。
しかもこの時の番勝負は今と違い1日制でした。
朝9時に対局を始めたとして、両者持ち時間を使いきったら、単純に計算して翌日午前1時。もちろん昼食と夕食があるでしょうから、その分時間は押します。さらに持ち時間を使いきったら1分将棋と言って、1手1分未満に指します。
これらを考慮して、翌日の午前5時ぐらいに終わることも多かったとか。
今の番勝負はそんな時間まで対局が続くことはまずないでしょう。
そして第7期。番勝負の持ち時間が10時間の2日制に変更されました。
■そして現在へ
そして1968年27期。現在と同じ、順位戦6時間、番勝負9時間2日制になりました。
以上が名人戦の持ち時間の歴史です。
初期はころころ変わっていました。
1968年に変わってから今までずっと一緒ですが、これが変わることはまだまだないでしょう。
そしてそのままの制度が続き、現在の名人戦があるのです。
【あとがき】
見出し画像は鳩森神社の将棋堂の石碑(?)です。
(↑なんて言うか知らない・・・)
大山康晴十五世名人の名前が掘ってあります。ちょろっと写っているピンクの花は、前回の記事であげた桜と同じ木だったと思います。前回の写真の2週間後だったかと。
桜が花開くと春の浮かれ気分になり、散ると現実に戻ります。
葉桜を見ると、「さ、今年も一年が始まりましたな」という気持ちになります。
さて、最近のタイトル戦は先手の勝率が高いです。第二局は先手番となった豊島八段が少し有利なのでしょうか。とはいってもどれも紙一重の差ですので、素人目で見ると先手後手あまり関係なく、勝負は時の運のように感じます。
昨年度から調子がいい豊島八段と、名人戦にめっぽう強い佐藤名人。勝負の行方は如何に。
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