【暗号資産ハッキング、北朝鮮ハッカー組織の脅威】サイバー脅威と政策に関する重要ニュース
こんにちは。S2W NOTE編集です。
今回の記事では、グローバルニュースを元にサイバー脅威や関連政策に関して重要なニュースを抜粋してお届けします。
以下、2024年7月20日の韓国のデジタルメディア『アジア経済』の記事を翻訳・編集した内容になります。
■再び暗号通貨を盗んだ北朝鮮ハッカー… 「6年間で4兆の暗号通貨をハッキングし武器開発費に充当」
北朝鮮のハッカー組織が日本の暗号通貨取引所をハッキングし、数千億ウォン(数百億円)規模の暗号通貨を再び盗んだことが知られ、世界中の暗号通貨市場が緊迫しています。
北のハッカー組織は2010年代から暗号通貨取引所のハッキング事件の主な黒幕と考えられて来ました。
彼らはハッキングした暗号通貨を武器開発費用に転用しており、各国の情報当局も北のハッカーからのハッキング防御と取り締まりに腐心しています。
北の暗号通貨取引所のハッキング事件は、ドナルド・トランプ前大統領の銃撃事件以後、いわゆる「トランプラリー」中のビットコインの上昇傾向にも悪影響を与え得るという懸念も出ています。
■北、ハッキング組織ラザルス、日、暗号通貨取引所をハッキング… 「北、資金洗浄手法に類似」
暗号通貨の専門媒体であるクリプトニュースによると、匿名のブロックチェーンセキュリティ専門家であるZachXBTは自身のX(旧Twitter)アカウントを通じて「資金洗浄の手法やオフチェーン指標など過去の事例との類似性から、5月末の日本の取引所の1つDMMビットコインで発生した3億500万ドル(日本円で約544億円)規模のハッキング事件の背後には北朝鮮のラザルスグループがいると疑われる」と述べました。
ZachXBTは「ラザルスはDMMビットコインのハッキング後に、盗んだビットコインをミキサー(Mixer)に入れ、取引の追跡を困難にした後、複数のブロックチェーンネットワークに資金を分散させ、他の暗号通貨に切り替えた。こうした複雑なハッキング手法はラザルスの代表的な資金洗浄手法と類似している」と説明しました。
ここで言及しているミキサーは「ビットコインミキサー」を意味しており、匿名性を保障し、取引履歴を追跡できないようにするプログラムです。
ラザルスは、2007年に偵察総局傘下に作られたハッカー組織です。暗号通貨取引所のハッキングだけでなく、ランサムウェアなどのフィッシングプログラム、ウイルスの流布や、他国の軍事機密を流出している組織として知られています。
■「北、6年間で30億ドルの暗号資産を盗む…武器開発費として悪用」
平壌の政権は傘下のハッカー組織が盗んだ暗号資産資金を核兵器やミサイルなど各種武器開発資金として悪用しています。米サイバーセキュリティ企業、レコーディッドフューチャー(Recorded Future)は、北が2017年から昨年9月まで全世界の暗号通貨取引所から盗んだビットコイン規模は約30億ドル(日本円で約4,665億円)と集計しました。この額は、北の経済全体の5%、軍事費の45%に相当する規模です。
米国務省でも、北の武器開発資金の少なくとも30%以上が、暗号通貨取引所のハッキング資金から出ていると見ています。最近、ロシアから北朝鮮への武器の注文が増えており、武器生産コスト調達のために暗号通貨のハッキング頻度と規模もますます増えているものとみられます。
北は7000人ものハッキング部隊を利用して暗号通貨を盗み、資金洗浄と現金化のために各種アプリ決済サービスはもちろん、オフライン上で闇取引もしていることが分かっています。BBCによると、ラザルスはカンボジアの両替や決済、送金サービスを提供するフイワンペイ(Huione Pay)で、盗んだビットコインの一部資金を現金化しました。また、カタール、バーレーンなどに駐在している外交官を動員し、暗号通貨の販売にも乗り出しているという話もあります。
■せっかくの「トランプラリー」…緊迫する暗号通貨市場
北のハッカー組織の相次ぐ暗号通貨取引所のハッキング事件は、ドナルド・トランプ前大統領の再選期待に反騰を始めたビットコインなどの暗号通貨市場には負担となっているようです。
「Investing.com」によると、ビットコインは7月7日に5万5861.1ドル台に下落し、5万ドル前後で動いていましたが、トランプ前大統領の銃撃事件が発生した13日5万9209.8ドルを、16日には6万4765.9ドルと6万ドルの大
台に上昇しました。
暗号資産政策が期待されるトランプ前大統領の当選の可能性が上がったのが上昇傾向の主な要因でした。市場でも今回の上昇傾向を「トランプラリー」と呼んでいます。
トランプ前大統領は、暗号通貨に対する強力な規制を続けてきたアメリカ民主党の政策を批判し、暗号資産政策を自身の公約として掲げました。
今月初め、トランプ前大統領はサンフランシスコで開かれたある募金イベントで「暗号通貨大統領になる」と発言し、暗号通貨市場に対する全面的な支持を約束しました。ただし、北の暗号通貨取引所のハッキング規模がますます大きくなる場合、暗号通貨市場はもちろん、世界経済にも大きな脅威になる可能性があるという指摘が出ています。
ブロックチェーン研究企業であるTRM Labsのアリ・レッドボードと政府関係担当者は、「北のハッカーは、個人的な欲や金銭目的などの典型的なハッカーの欲望のためではなく、その資金を通じて武器の拡散や他の脅威を引き起こすために活動しているため全世界的な脅威」としました。また、「単に暗号通貨資産の被害だけでなく、国家安全保障の観点から北のハッカーの動きに集中しなければならない」と強調しました。