失恋から、トホホ5分で次の恋
まえがき
選ばれたコピーを元に小説書きました。一部ですが、気になるコピーをピックアップして(引用して)小説にしています。YOASOBIならぬDARASOBI。それでは読んでください、listen…(狩野英孝風)
失恋から、トホホ5分で次の恋
※この物語、読んだアナタが「恋愛保証人」です。
「アイツがいちばん事故物件ッ!」
こんな晴れた日曜の朝、公園で泣いているのは私だけッ!!
家族連れであふれている公園のベンチ。
彼に振られて泣いている女。それが私だ。
「俺がいなくても、大丈夫でしょ?」とありきたりな言葉で、まさかの同棲解消。最近様子がおかしいと思ってたんだよな。
四角いマンションに、三角関係。ってわけか。
彼にとっては、揺れない建物、揺れる想い。ってなわけか。
田舎から【忘れられない幼馴染】が上京したらしい。身、一つで。
「どういう上京!?」
彼が株で儲けてプチお金持ちになった話、小耳にでも挟んだんだろうな…。土地持ちメモリアル。棟キュン か!!!土地狂って、恋。か!!!!
「私が見つけた優良物件」と思っているに違いない。あのコのことだ。「私も内見してみない?」「愛鍵ください」「同じ住所にしちゃわない?」の順番でたたみ掛けてさ。部屋と彼シャツと私。 衣・食・チュウ。ってな!!
そりゃ私だって、彼に恋愛感情はなくなりつつあった。だけど「恋は何回だって、リノベーションできる」って信じてたのに!!
経済力目当てに近づいて、「きょうから暮らすメイト」って…どうなってるの!!
きっとさ…彼も
「またね」より「ただいま」が言いたい。
「すまない」なんて言わせない。
ってな具合にあのコをフォローしてさ。
愛live you。あなたへの想いは、分譲できない。からのー。あなたと住めば都です。住めば虜。で、最終的にはさ、最後のサインは婚姻届に。ってか!?初めは同棲。いまは同姓。ってかー!?
なんで私はこんな状況なのに、こんな【トンチとパンチ】の効いた妄想ができるんだろ。どうして公園?ってとにかく座って頭を冷やしたかったのに。冷静になるどころか、妄想中。そんな状況化、足元にボールが転がってきた。
「すいませーん。」
メガネをかけた優しそうなお父さんと子供たちが走ってくる。わたしの顔を見るなりギョッとし
「大丈夫ですか?」と声をかけられた。
私はその優しそうな人柄に、ますます泣いてしまいこの現状を話してしまった。彼は頷きながらも、現実的だった。
「まずは住むとこ、探さないとですよね。いいところ知っています。 『恋愛不動産』っという、素敵な恋が始まるって噂の不動産屋があるんですよ」
メガネのお父さんは、「賃貸恋愛情報、お読み下さい」とふざけながら「恋愛不動産」と書かれた名刺を私にくれた。
家なき恋。よし、なんかやる気出てきた!!また恋がはじまり荘。
お礼を言うとお父さんは走りながら子どもたちと去って行った。
「ではまた!!建設的な、恋をしようよ。頑張ってね!!わたしは休日はもちろん公園です!!ワンオペのヤノと申します!!」
ワンオクのTAKAみたい言うな!だけど、私もあのお父さんみたいに、35年の恋愛ローンの素敵な家族を作りたい!!リブ&ピース。なんて思いながら、足早に恋愛不動産に急いだ。この公園から徒歩5分で着くらしい!
(恋チカ物件、ありますか。)心で願いながら。
レゴがおしゃれに飾ってある不動産屋さんは初めて。ドキドキしていると、「幸せ、分譲中」「魅惑つき物件、あります」 という2つのポスターからすっと顔を出し、担当の「黒柴さん」が私を出迎えてくれる。日当たりも、人当たりもよかった。おしゃれな椅子に座り、早速本題に。
「弊社がご案内するのは素敵なお部屋と、素敵なお隣さんです。最初に、ひととおり人気物件を紹介させていただきます」
・駅から3キュン。
・キュンLDK
・最寄りの恋まで徒歩3秒
・駅近物件、彼女付き。
・南向き、バストイレ別、家具・恋人付
「リーズナブルなタイプですと…」資料を見ながら、黒柴さんが言う。
・風呂なしエレベーターなしあなたあり。
・エレベーターなし。大人の階段あり。
・1LoveDK。
・かわいい地縛霊憑き
ってとこですかね。言ってて恥ずかしくないのだろうか…。真剣だ。
「いい物件といい恋人は、すぐ埋まるので…。あとはー。そうでした。お隣さんの希望条件、お聞かせください。住人十色の恋。ですからね。隣人の変人から、隣人の恋人へ。はたまた、ゴキブリが繋ぐ隣人との恋。って場合もありますしね。隣人to loveるは、つきものです」
そんなことあるか!とツッコミを心でしつつ。
「私、燃え上がる、木造の恋がしたいデス!!」
思わず言ってしまったわ。一番恥ずかしい願望を。
「その条件ですと…わたしをオススメします」
なんてギャグを挟みつつ
「妥協はしたくないのは恋も家も同じです」と、すぐに真剣な顔に戻る黒柴さん。それから、窓から青空を眺めて、目を細めた。
「見晴らしのいい恋、しませんか?あなたの心に住む人、仲介します」
黒柴さァァァん。私は励ましに胸が暑くなる。
タワマン級の恋をした。
って言うために。
この春、恋が引っ越してきた。
って言うために。私も変わらなきゃ。
帰り道、久しぶりに恋愛小説を2冊買った。帯の
【不動の恋が、愛を産んだ。】
【恋して借りて、愛して買った】
に目を奪われたから。それは、ひと組の「ただいま」と「おかえり」のおはなし。空きのこない、恋のおはなし。
わたしも自分の物語を見つけなきゃ。恋愛上棟。
探し物は家ではなく、恋でした。
FIN