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塗装現場からのメッセージ《第9回》塗装不良発生時の対策

本コーナーでは、豊富な経験と実績を誇る茨城県稲敷郡阿見町の塗装専業メーカー、㈱技研・代表取締役 宮本勇気(みやもと ゆうき)氏が、塗装現場におけるさまざまな課題解決のためのヒントを伝授します。

※本記事は「塗装技術」誌に掲載されたものです

当社(㈱技研)は、さまざまな素材や塗料を使用した塗装加工を行っているため、塗装後の規定検査を実施している。
規定検査と言っても、基準や方法はさまざまである。製品の品質基準・規格が異なると不良率や不具合の内容も異なり、使用する塗料によって工程も変わってくる。
そこで今回は、当社において実際に発生したことがある塗装不良の種類発生した際の対策について簡潔に紹介する。

外観検査で塗装不良の種類を見極める

  • 最も多い不良内容がゴミ・異物の付着による外観不良である。塗装工場はゴミ・異物との戦いと言っても過言ではない。

  • そのほかの不良内容としては、ハジキ・スケ・ムラ・ワキなどがある。

  • 不良が生じる原因には「塗装技術や条件によるもの」「素材によるもの」「塗装環境によるもの」がある。それぞれの原因が何であるかを正確に見極め、対策を進めていく必要がある。

外観検査①(ワークセット)
外観検査②(最終仕上げ)

塗装不良の原因と対策

塗装不良には防げるものと防げないものがある。中には塗装以外が原因というケースもあり、しっかり見極めることが重要である。

⑴ 塗装が原因の塗装不良

  • ゼロにできるもの=塗装技術や塗装条件に起因するもの(スケ・タレなど)/《対策》塗装技術の向上や改善、塗装条件を見直し変更することで塗装不良をゼロにする

  • どうしても発生してしまう不良=異物の付着/《対策》塗装環境、塗装工程の改善で塗装不良ゼロを目指す

⑵ 塗装以外が原因の塗装不良

  • 素材不良、塗装しないとわからないもの/《対策》塗装前検査工程の追加、素材加工業者、前処理業者との連携で塗装不良ゼロ、またはゼロを目指す

原因不明の不良が発生した場合の対策

新規に立ち上げた製品で初めて使用する塗料・素材、塗料や製品自体の特性がわかりきっていないケースなどで、原因不明の不良は発生する。この場合は、異物の付着やハジキを原因とする比較的シンプルな不良であったとしても、異常な不良率になってしまうことがある。
《対策》生産を進めながら、または生産を止めて、仮説と検証を丁寧に繰り返し、不良発生源の可能性を1つずつ潰し、発生源を特定していく。発生源が特定できれば、塗装不良がゼロ、またはゼロを目指す仕組みを作る。

膜厚検査

関連業者と連携して情報収集を行う

塗装製品を作るうえでは非塗装物の製造時の情報も重要である。たとえば樹脂成型メーカーでの加工工程、板金製作工程、製作後の後加工を把握することで、解決のヒントを見つけることができる。
また、社内の塗装実績だけでなく、塗料メーカーや知見者の持っている情報に頼ることでスムーズに解決できる場合もある。

塗装業は非常に奥の深い業種だと思う。当社でも原因不明の塗装不良に苦戦することが多々あるが、その都度、丁寧に対応していくことが必要だと考える。その問題解決力を高めることこそが、塗装業者としてのノウハウの蓄積や他社との差別化になる。

㈱技研…1985 年1 月創業。シリコン加工・テフロン加工・金属およびプラスチック部品の塗装・印刷・組立その他加工全般を手掛ける。取扱品目は製菓、製パン用天板、住宅関連部品、自動車部品、弱電部品、時計部品、その他関連商品・各種部品。


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