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謙虚なリーダーシップ~心理的安全性のある関係

謙虚なリーダーシップの第二章です。これは完全に、心理的安全性のつくり方と同じ内容ですね。

個人的な関係

関係とは、過去のやりとりに基づき、未来の互いの行動を、互いに予想できることである。関係が築かれているときには、相手の行動が互いにある程度、読めるのだ。「よい関係」ができている場合には、相手に関してあるレベルの安心感、つまり、相手の反応について想像がつくために安心感を覚えることができる。

P48

一般的な仕事上の関係は、そこまで良い関係には至っておらず、とりあえずお互いの期待役割どおりの、型通りの受け答えで終わってしまいます。本書ではこれを「トランザクショナルな関係、レベル1の関係」と呼んでいます。

そこから一歩先に進んで、相手の反応が想像できるからこそ、こちらからも一歩進んだ提案ができる、より互恵的で発展的で積極的な関係に進展するのが本書の目指す謙虚なリーダーシップのゴールです。本書ではこれを「個人的な関係、レベル2の関係」と呼んでいます。

レベル2の関係のつくり方

会話の初めに、どちらかが個人的なことを尋ねる、あるいは話すときに始まる。一方が、もしくは両方が、相当な覚悟をもって会話に臨み、無視されたり拒絶されたり軽蔑されたりする危険を冒すことでもある。あらゆるやりとりにおいて、私たちは何かを提供し、引き換えに何かを得ることを期待する。

P50

レベル2の関係で何より重要なのは、相手(上司、部下、同僚であれ、パートナーであれ)を、「役割」ではなく「ひとりの人間」として見て、共通の目標や経験に基づき、より個人的なつながりをつくることだ。レベル2のつながりには、あらゆる形の友情や近しい関係が含まれる。

P61

人がエンゲージできる対象は、役割ではなく、人である。マネジャーとして、従業員エンゲージメント、参画・関与、エンパワーメントを懸念するなら、まず、レベル2のつながりをつくることに力を注ぐべきなのだ。

P64

結局、どんなシステムよりも人間関係が大事なんだと。人と人とが、単なる役割ではなく、一個人として目の前にいることこそ、もっとも力を発揮するために必要なことなんです。だから、いかにそうした関係性を築くかということに本書は全力を注いでいるのです。

会社でのレベル1の関係

レベル1の関係は、個人的な感情が入らないものだと見なされている。付き合いや会話では、こうなるはずだという互いの予測と深入りしない姿勢を前提に、対等な立場で型どおりのやりとりが行われる。こちらが何かを与えたら、相手は礼を言う。相手に質問されたら、こちらは答えなければと思う。これはきわめて自然に起きるので、話が噛み合わなくなるか、一方が礼儀をわきまえないか、「個人的になりすぎる」かしないかぎり、気づくことはない。

P55

「面子(メンツ)」とは、この必須の支え合いのことである。私たちが、「状況の如何にかかわらず、当然のものとして求める価値」と言ってもいい。標準的なレベル1の交流において、私たちは互いの面子を守ろうとする。それによって、会話中に受け取るものの価値を低めるつもりはない、と示すのである。私たちは、相手の冗談に笑い、質問に答える。相手が担っていると思われる役割、相手がその交流に注ぐであろう感情、それらのレベルに見合う役割を、私たちは選択しようとする。よい関係を維持している責任ある大人という役割を、私たちは一人ひとりが演じるのである。

P56

これが、よくある会社での、単なる業務上のトランザクショナルなレベル1の関係です。とても馴染み深いものだと思います。なるべく空気を読んで、「常識」に沿って動くことが正しい世界。それこそ、多様性はなるべく低い方がいい、同質的で、予定調和な環境。

もし、上司が急に私的な会話をしてきても、自分も素直にプライベートを打ち明けたりはしないでしょう。まずは距離を取って、様子を見るはずです。上司はどういう風の吹き回しでこんな話を始めたんだろう、とか、常識の範囲内で答えがあるのか、それとも上司がおかしくなったのか、見極めようとすることでしょう。もしかしたらセクハラの予兆かもしれない、と身構えたりもするでしょう。まさかレベル2の関係を目指した謙虚なリーダーシップだとは思わないでしょう。

そう、だからレベル2に発展しようとすることは、そういう危険を冒すことなんですね。失敗の危険性もはらんでいる。難しいですね。

レベル3の関係

レベル2よりもさらに進んで親密な関係になると、レベル3になります。

レベル3の関係は、それぞれの仕事の仕方をきわめて高いレベルで知り尽くしている。以心伝心で「相手の言いたいことがわかる」。あるいは、「超共感」とでも言えばいいのか、そうした感覚に基づき、いわば超感覚的に協働する、の3つのいずれかが欠かせない。

P67

レベル3になると、もっとすごい状態です。阿吽の呼吸とでもいうのでしょうか。でも、ビジネスでは、ちょっとそこまで仲良くなりすぎるのもよくないだろう、と筆者は言います。ある人とそんなに仲良くなりすぎると、えこひいきが発生したり、全員の話を平等に聞けなくなったり、いろいろと不都合があるようです。まあ、社内恋愛とか微妙な空気が流れたりしますからね。

だから、謙虚なリーダーシップはれべる2の関係を目指すのがちょうどいいんだそうです。

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