読み終わりました。第三章以降は具体例も増えてサクサクっと読める感じでした。
これまでのまとめ
レベル1のトランザクショナルな、単なる業務上の関係では、しばしばミスコミュニケーションが発生します。部下からしてみれば、上司への報告がちょっと曲解されているなと思っても、わざわざ訂正するのも面倒だし放っておこう、と思うことは多いでしょう。それがレベル1の関係の限界だというのです。
もし、単なる業務上の関係を越えて、上司と部下が個人的なレベル2の関係に近づくことができれば、その組織はとても強いものになります。
もう、ビジョナリーなリーダーシップは時代遅れです、これからは謙虚なリーダーシップが大事なんです、というのが本書の主張です。
どうやってレベル2になるの
個人的な関係を作るには、まず上司が心を開いて部下と対等になろうとする必要があります。それが本書で重要視する「謙虚」な姿勢です。逆に、心を開かないレベル1な上司に対して部下からアプローチできることはほとんどありません。本書の事例でも、上司の理解が得られない場合はみんな諦めて転職していきました。
会議の場面で個人的な思いを語り合うことで、お互いに個人的な関係に近づく、そういうチームビルディングが有効だ、という例。
一緒にご飯を食べれば仲良くなるよね、という例。
そういえば、友達になるための7つの柱がある、みたいな話もロビン・ダンバーさんがしていましたね。それと通じるものもあるのではないでしょうか。
逆に、上司がどれだけ心を砕いても、全然分かってくれない部下に対してはどうしたらいいかというと、やっぱり去ってもらうしかないようです。合わない人同士が無理して一緒にいてもいいことはないんですね。
レベル2になるという学び
自分が上司と近くなって課題に取り組むということは、それだけ課題の核心に近づいて、より深く真剣に考えることになるのです。心理的安全な関係だからなぁなぁで済まされるのではなく、心理的安全だからこそズバズバと切りあって切磋琢磨していくことになります。
コミュニティの中心に近づくことそれ自体が学習である、と正統的周辺参加の考えでは定義されていました。コミュニティの活動を通して実践した経験こそが学びとなるのです。
ただ、なんでも経験すればいいというわけではありません。ジョン・デューイが「経験と教育」の中でも言っていましたが、経験したことの意味をきちんと過去の蓄積と照合すること。そして過去の知見と自分の経験を結びつけること、そうやってセンスを磨くことが大事です。
結局、昭和
なんとなく、心理的安全性みたいな新しい概念がいっぱいで、新時代がやってくるのかなぁ、って気もしますが、でも読んでいくと昭和の人情が一番えらかったんじゃないか、って感じもうかがえます。
飲み会で愚痴を言い合う、って最高に個人的でレベル2の関係じゃないですか。飲み会万歳!