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『人類堆肥化計画』に関連書籍・サイトと次に読みたい9冊のブックリスト

『人類堆肥化計画』東千茅/創元社/ISBN:978-4-422-39004-8

という本を読んだので、読書メモと、関連してる本と次に読んでみたい本のブックリストを作成しましたので、共有します。

どんな本?

生きることの迫真性を求めて、大阪の都市から奈良の里山へ移り住んだ若き農耕民が構想する、生き物たちとの貪欲で不道徳な共生宣言。一般に禁欲や清貧といった観念に結び付けられている里山を、人間を含む貪欲な多種たちの賑やかな吹き溜まりとして捉え直し、人間と異種たちとの結節点である堆肥を取り上げながら、現代社会において希釈・隠蔽されている「生の悦び」を基底から問い直す。本当に切実な問いと、根底を目指す思考とを、地についた生活に支えられた文章で表した、読む人に鮮烈な印象を与える第一著作。
公式ページより引用

読んでみてどう?

面白いです。

"わたしの生きる目的は、ただ悦びを得ることだけにある。"

…の冒頭から思考持ってかれます。現代社会の人間が抱く欲望なぞぬるい。たとえそれが道徳的に腐ってこそあれ、まだまだ腐敗が足りないと。発想も文章もエッジ効いてます。

異種との共存を想像すること

"わたしたち人間は、異種たちなくして片時も生きられないはずではないか。一人でいるときにも、わたしたちの体表や体内には夥しい菌たちが縫いているはずではないか。…孤絶しているのは人間のほうなのだ。"
「人類堆肥化計画」p60

生物として異種との共存を想像することは人を随分と自由にするんだよなぁと。

人間はこの世界の中心が人間だと思ってしまいがちだれけど、自然や人間の体内においても様々な生物と共存している「いち生物」に過ぎないことを独特の切り口と言い回しで再認識させてくれます。

世界を発光させる方法について

"「大事でない」身の回りの小さな物語だけが、わたしたちの生活に手応えを与えてくれる。わたしたちが実質的に関われるのは、宇宙の中のほんの小さな一点一点だけである。けれども、その一点に徹することで世界は発光する。"
p210

対象との瞬間が全部である時、生は生き生きする。

どんなに小さいものごとでも、自分のすべてで向き合いさえすれば、世界との接地面すべてであるともいえるので、世界が違った顔を見せてくれる、つまり、その時間、自分の生もより違ったものになる。そんなことを感じました。

生き物はみな加害者でもあることについて

「縫い付ける針が布と布を糸で縫い合わせるとき、わずかずつ布を傷つけること、何かと何かをつなぎ合わせて強くするためにわずかずつ害をなし合うことを思い出した」

存在そのものの加害性についての思案に引用された言葉。
『人類堆肥化計画』p226

布は傷つけられてもいる、という視点から、そもそも物事は加害性を含めつつ存在しているし、共存とはそういうものだということを教えてくます。

まとめ

互いのエゴを主張しながらも共存共栄していく世界の心地よさ。のようなもののありかがこの本に、著者に、自然のなかにあるのだろうなと感じました。

関連しているサイト

本文内で引用されたサイトページについてのリンクです。

■人間の遺体の堆肥化法案、ワシントン州で成立 米で初

富田林の自然を守る会

■SaveForest

■「新しい価値をつくる」のは、もう終わりにしよう。哲学者・千葉雅也氏が語る、グローバル資本主義“以後”を切り拓く「勉強」論

■第33回マルチスピーシーズ人類学研究会 2019.12.7.~8.
シンポジウム(第33回マルチスピーシーズ人類学研究会)
モア・ザン・ヒューマン

■滝沢カレン、昆虫と一方的に絶交 最近の興味は「内臓」

■日記「ほなみちゃん」

■私は皆さんの感動の対象ではありません、どうぞよろしく

関連書籍

本文内で引用された書籍のリストです。
※読後の参照用のブックリストとして

里山学のすすめ―「文化としての自然」再生にむけて
/丸山 徳次 (編集), 宮浦 富保
/昭和堂
里山という物語: 環境人文学の対話
/結城 正美 (編集), 黒田 智 (編集)
/勉誠出版
つち式 二〇一七
追肥 〇一
エロティシズム
/G・バタイユ
/筑摩書房
気流の鳴る音―交響するコミューン
/真木悠介
/筑摩書房
新版 野の道 ―宮沢賢治という夢を歩く
/山尾三省
/新泉社
分解の哲学 ―腐敗と発酵をめぐる思考―
/藤原辰史
/青土社
至高性
/G・バタイユ
/人文書院
現代社会の理論 (定本 見田宗介著作集 第1巻)
/見田 宗介
/岩波書店
オリジン・ストーリー
/デイヴィッド・クリスチャン
/筑摩書房
現代思想 2017年12月号 人新世 ―地質年代が示す人類と地球の未来―
/中村桂子 (著), 水口憲哉 (著), ‎ B・ラトゥール (著), ‎ C・B・イェンセン (著)
/青土社
現代思想 2019年11月号 特集=反出生主義を考える ―「生まれてこない方が良かった」という思想―
/森岡正博 (著), 戸谷洋志 (著), D・ベネター (著), T・メッツ (著), 島薗進 (著), & 4 その他
/青土社
完全版 川口由一 自然農: 農薬を使わず、耕さない 野菜と米のつくり方
/川口 由一
/学研プラス
土と内臓 (微生物がつくる世界)
/デイビッド モントゴメリー
/築地書館
じごくのそうべえ
/田島征彦
/童心社
いのちの食べかた
/森 達也
/KADOKAWA
実践 日々のアナキズム――世界に抗う土着の秩序の作り方
/ジェームズ・C.スコット
/岩波書店
あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた
/アランナ・コリン
/河出書房新社
ロクデナシ
/THE BLUE HEARTS
新 校本 宮澤賢治全集〈第6巻〉詩5
/宮沢賢治
/筑摩書房
夜間飛行
/サン=テグジュペリ (著), 堀口 大學 (翻訳)
/新潮社
おんなのことば
/茨木のり子
/童話屋
自然農という生き方―いのちの道を、たんたんと
/川口 由一 (著), 辻 信一 (著)
/大月書店
すぐそこに、カヤネズミ―身近にくらす野生動物を守る方法
/畠 佐代子
/くもん出版
堕落論・日本文化私観 他二十二篇
/坂口安吾
/岩波書店
たぐい vol.1
/奥野 克巳 (著), シンジルト (著), 近藤祉秋 (著), 東千茅 (著), 石倉敏明 (著), & 7 その他
/亜紀書房
動いている庭
/ジル・クレマン
/みすず書房
現代思想 2016年9月号 特集=精神医療の新時代―オープンダイアローグ・ACT・当事者研究
/斎藤 環 (著), 森川すいめい (著), 信田さよ子 (著), 向谷地生良 (著), 綾屋紗月 (著), & 7 その他
/青土社
文学界2019年10月
/文学と芸術春と秋
暇と退屈の倫理学 増補新版
/國分 功一郎
/太田出版
微花1.春
/石躍凌摩 西田有輝
自我の起原―愛とエゴイズムの動物社会学
/真木悠介
/岩波書店
写真とまんが シュロ
/小田嶋日向子 温田庭子 ぴょんぬりら
子育て指南書 ウンコのおじさん
/宮台 真司 (著), 岡崎 勝 (著), 尹 雄大
/ジャパンマシニスト社
たぐい vol.2
/奥野 克巳 (著), 吉村 萬壱 (著), 上妻 世海 (著), 近藤 祉秋 (著), 石倉 敏明 (著), & 2 その他
/亜紀書房
雑草のくらし
/甲斐 信枝
/福音館書店
inubot回覧板
/北田 瑞絵
/扶桑社
ウォンバットのにっき
/ジャッキー フレンチ (著), ブルース ホワットリー (イラスト), & 3 その他
/評論社
サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福
/ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 柴田裕之 (翻訳)
/河出書房新社
終わりと始まり
/ヴィスワヴァ・シンボルスカ (著), 沼野 充義 (翻訳)
/未知谷
世界の果てでダンス
/アーシュラ・K. ル=グウィン (著), Ursula K. Le Guin (原著), 篠目 清美 (翻訳)
/白水社
吉野弘詩集
/吉野弘
/角川春樹事務所
洟をたらした神
/吉野 せい (著)
/中央公論新社
きみの鳥はうたえる
/佐藤 泰志 (著)
/河出書房新社
クチュクチュバーン
/吉村 萬壱
/文藝春秋
新世紀エヴァンゲリオン
/貞本 義行
/KADOKAWA
生きていくうえで、かけがえのないこと
/吉村 萬壱
/亜紀書房
生きていくうえで、かけがえのないこと
/若松英輔
/亜紀書房

次に読んでみたい9冊のブックリスト

読後、次に読んでみたい本のリストです。
※次の読書ブックリストとして

家畜と暮らすことについて次に読んでみたい本


■飼いならす――世界を変えた10種の動植物

人間が異種との共存は、狩猟と農耕の歴史でもあるので、人間と強くつながっている動植物との関係性について知りたいときの1冊。

狩猟採集民だった人間(ホモ・サピエンス)は、野生の種を手なずけることで、人口を増やし、文明を興した。最新の遺伝学や人類学の知見を織り交ぜ、人間とその盟友になった種とのかかわりを軸に歴史を概観し、これからを展望する、驚嘆すべき「われわれの物語」。
公式ページより引用


■家畜化という進化ー人間はいかに動物を変えたか

家畜との暮らしがその動物にどのように影響していたか、人間の加害性を知りたいときに読んでみたい1冊。

家畜化のしくみを解き明かすことで、謎に満ちた人類と動物の進化の過程が見えてくる。進化発生生物学やゲノム解析など最新の科学知見を駆使し、家畜化という壮大な「進化実験」の全貌を読み解く力作。
公式ページより引用


■暴力の人類史

どんな生き物も加害性がある。では、そもそも人間の暴力性とはなにか?暴力をテーマにした人間史を読みたいときの1冊。

人類は地球上から暴力を根絶し、平和に向かうことができるのか? 人間の攻撃性を生み出す内なる「悪魔」と、暴力を回避する内なる「天使」の正体とは――。 先史時代から現代にいたるまでの人類の歴史を通観しながら、神経生物学などの多様なアプローチで、暴力をめぐる人間の本性を精緻に分析。
公式ページより引用


■われらみな食人種(カニバル) レヴィ=ストロース随想集

異種との共存についての考察は、しいては人間や社会についての理解にもつながるのではないか?人類学の考察でレヴィ・ストロースは、「他者を自分と同一化するいちばん単純な手段は、何をおいてもまず、他者を食べてしまうことである。」とわれらみな食人種というエッセイで綴った、共存というアプローチを抽象化して考えたいときの1冊。

他者を自分と同一化するいちばん単純な手段は、何をおいてもまず、他者を食べてしまうことである。――
一般の読者を想定しながら、距離や時代を隔てた他者理解を目指す人類学の営為がどのような物の見方を提供し、具体的な社会的役割を果たせるかを余さず伝えようというモチーフが貫かれている。――
本格的な著作と向き合う際に必要とされる詳細な用語理解なしに、わたしたちの記憶にもまだ新しい出来事を起点にして、レヴィ=ストロースの世界のひろがりを手ぶらで散策するには、本書に代わるものはないのではないだろうか。
公式ページより引用

土と暮らすことについて次に読んでみたい本


■庭とエスキース

自給自足生活をおくるひとがどう「生きているのか」を知りたいときに読んでみたい1冊。

写真家である著者は、北海道の丸太小屋で自給自足の生活を営み、糧を生みだす庭とともに暮らす「弁造さん」の姿を14年にわたり撮影しつづけた。
弁造さんの“生きること”を思い紡がれた24篇の記憶の物語と40点の写真。
人が人と出会ったことの豊かさを伝える、心揺さぶる写文集。
公式ページより引用


■森の生活

「どう生きるべきか」という根本問題を探求すると、自給自足生活に行き着くのかもしれない、先人の記録と考察が知りたいときに読んでみたい1冊。

ソロー(1817―62)は,ウォールデン湖畔の森の中に自らの手で小屋を建て,自給自足の生活を始めた.湖水と森の四季の佇まい,動植物の生態,読書と思索――自然と共に生きた著者の生活記録であると同時に「どう生きるべきか」という根本問題を探求した最も今日的・普遍的なアメリカ文学の古典.
公式ページより引用


■モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと

"わたしたちが実質的に関われるのは、宇宙の中のほんの小さな一点一点だけである。けれども、その一点に徹することで世界は発光する。"と著書にあるときに、人間がもつ「アニミズム」についての理解はヒントがあるのではないかと思ったときに読んでみたい1冊。

アニミズムは「原初の人間の心性」として過去のものとされてきた。
しかし、そこには、人間の精神を豊かにするヒントが隠されているのではないか。
文学、哲学の大胆な解釈とフィールド経験を縦横に織り合わせて、「人間的なるもの」の外へと通じるアニミズムの沃野を探検する。
人間が世界の「主人」をやめた時、動物、モノ、死者との対話がはじまる。
公式ページより引用


■植物は〈知性〉をもっている  20の感覚で思考する生命システム

植物にも知性がある。異種を対等な関係として考えるときに、知っておきたいことが書いて有りそうな1冊。

動けないからこそ、植物は植物独自の“社会”を築き、ここまで地球上に繁栄してきた。その知略に富んだ生き方を、植物学の世界的第一人者が長年にわたり科学的に分析し、はじめて明らかにした刺激的な一冊。
公式ページより引用


■火を焚きなさい―山尾三省の詩のことば

著者の本文では、山尾三省は自然を憧憬として捉えているのではないかと引用されています。読後の所感としては、自然のなかで得られる充足感はどちらも同じなのではないか。その表現の仕方が違うのではないかとも感じました。山尾三省についても知りたいときに読んでみたい1冊。

野とともに生きること、家族とともに生きること。
詩人・山尾三省(1938?2001年)の著作と詩集から、48篇の詩、4篇の散文作品を選び、あらたに編集したベストセレクション。家族とともに屋久島に移住し、耕し、詩作し、祈る暮らしを続けた詩人の心温まることばを集めました。
公式ページより引用

https://www.shinsensha.com/books/1946/



以上です。


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