愚かなままでは暮らせない

ちょっぴり、金が無かった。勿論オレにはこの資本主義社会を強烈にサバイブしていく気概も才覚も持ち合わせていないから、金が有った事など過去に一度も無いけれど、それでもまぁ、生活していくのに困らない程度にはやりくりできていたのだが、色々な悪い目が重なって少しだけ困ってしまう時がある。若い女の股に潤滑油を使い過ぎた時とか。幾つになってもオレは賢くなれない。ガキの頃大切なことを学べなかったんだ。世界の素晴らしさとか家庭の暖かさとかな。

年齢だけを重ねて苦しい生活をしていると、オレには一瞬たりとも愚かで居る隙など無いと言うことに気が付く。このコンクリートの森はジャングルより無慈悲だ。中は捕食者でいっぱい。いつでもハラワタを喰らい尽くそうとしてるが何故か生命だけは取られない。いつになったら解放してくれるんだ。オレは頭から骨も残さず喰らい尽くして欲しいんだよ。

オレは充分に愚かなんだが、愚かである事が許されていない。しかしオレより明白に愚かなヤツが生きていたりする。飼われているからだ。愚かなものは可愛く、可愛いものは愚かでも許される。痩せた醜い野良犬が生きていく場所など何処にも無い。

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