普通です

たまに変わっていると言われると驚く。どこが変だって言うんだ。教えてくれ。他人にはなれないし完璧に客観的にオレを見ることはできないから自分を判断の基準に置くしかないし、それに照らし合わせてもそれ程おかしいとは思えない。服装、態度、容姿、言動。他人と比べたって別に変じゃない。なのに何故だ。

ガキの頃に個性的で在りたいと思ったことは有るが、俺ごときが打ち出せる個性など高が知れている。読んでいる本や着るもの、聴いている音楽、観ている映画なんかの呆れる程些細な違いだ。そしてそれを知った今、そんな願望を持ってはいない。むしろできるだけ没個性的で居たい。ロールモデルに従って生きられたら良かった。普通に就職して普通に恋愛して普通に結婚して普通にローンを組んで家を買い普通に離婚したりしなかったりしながら普通に子供を育て普通に定年退職して普通に死ぬ。今の所そのどれもがオレには難しい。劣っていると言われれば首肯せざるを得ないが、だからといって変だと言うことにはならない筈だ。

読んでいるものが違えば語彙が変わりそれがそのまま思考の違いになるのかも知れないが、それを言い始めたら全ての人が変わっているということになる。例え売れ線の本だとしても世界中の人が読んだことがある本というのは少ないだろう。世界一のベストセラーだって他の宗教の国で一般的に読まれてはいない筈だ。読んでいる本や思考のプロセスが他人と完全に一致することは有り得ない。有るとすれば、長い期間一緒に暮らしていたり仕事をしたりしてお互いにお互いの思考や行動を記憶している場合だ。

オレは普通だ。これを読んでいる人がもし居るのなら、貴方が変わっているのと同程度にオレも変わっている、という意味に於いて。

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