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[浜松百撰コラム]浜松ジェンダーラボ(再掲)

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浜松市民に長く愛されているタウンマガジン『浜松百撰』にて、浜松男女共同参画推進協会 理事の近藤佳美が、2022年1月から12月までの1年間書き続けたコラム「浜松ジェンダーラボ」を… もっと読む
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記事一覧

「イヤ!」という練習

\浜松ジェンダーラボ/⑫ 浜松男女共同参画推進協会 理事 近藤佳美 [浜松百撰コラム] 2022年12月号掲載 (出所)浜松百撰 ******* 「イヤと言う練習」というのがある。 輪になって、ボールを投げる。ボールを受け取った人は「イヤ!」と言い、違う人に投げ返す。暴力に対して声をあげる練習だ。 女児たちはイベントでは楽しんで「イヤ!」と言っていたが、学校では仲良しグループで自分がしたくないことを誘われても、絶対イヤとは言えないとのこと。仲間外れになるのが怖いし、

配偶者をなんと呼ぶか問題

\浜松ジェンダーラボ/⑪ 浜松男女共同参画推進協会 理事 近藤佳美 [浜松百撰コラム] 2022年11月号掲載 (出所)浜松百撰 ******* 夫、妻、主人、家内、旦那、嫁…。 配偶者の呼び方はいろいろ。 文化庁の23年前(平成11年)の調査では、配偶者を女性の約75%が「主人」、男性の半数が「家内」と呼んでいた。当時は共働きと専業主婦の家庭が半々くらい。主人、家内がしっくりくる時代だったよう。 そして今、一番多いのは「妻」と「夫」。 「主人」や「旦那」は言葉に上

女性専用車両

\浜松ジェンダーラボ/⑩ 浜松男女共同参画推進協会 理事 近藤佳美 [浜松百撰コラム] 2022年10月号掲載 (出所)浜松百撰 ******* 昨夏、人権がテーマのポスター展で気になる作品があると連絡を受けた。 その作品は、浜松駅のホーム上で険しい顔の男の子。目線の先には、女性専用車両で楽しそうに話をしている女性たち。キャッチコピーは「男女平等?平等って何だろう」。 作者は小学生。作品からは女性専用車両は男女平等ではないのでは?というメッセージを感じた。 女性専用

大黒柱バイアス

\浜松ジェンダーラボ/⑨ 浜松男女共同参画推進協会 理事 近藤佳美 [浜松百撰コラム] 2022年9月号掲載 (出所)浜松百撰 ******* 親戚同士の食事会で久しぶりに従兄弟に会った。 近況を聞くと、5年以上同棲している相手がいるとのこと。そして「結婚するつもりはあるけれど、まずは僕の収入が安定してからかな」と。ん…?! 内閣府が令和3年に実施した調査では「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」という質問に対し、男性の約5割が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」

モヤモヤで立ち止まる

\浜松ジェンダーラボ/⑧ 浜松男女共同参画推進協会 理事 近藤佳美 [浜松百撰コラム] 2022年8月号掲載 (出所)浜松百撰 ******* 大学生の女の子たちとジェンダーとキャリアについて話す機会があった。 「家事も仕事も縁の下の⼒持ち」という言葉に、共感する学生と共感しない学生がいた。共感する学生は「誰かがやることだし、そういう存在も必要だから」と言う。共感しない学生は「仕事にやりがいを求めているので、この言葉は補助的な感じがする」と言う。 彼女たちからは、「

80㎝、85㎝、90㎝に潜む高さの理由

\浜松ジェンダーラボ/⑦ 浜松男女共同参画推進協会 理事 近藤佳美 [浜松百撰コラム] 2022年7月号掲載 (出所)浜松百撰 ******* キッチンの吊り戸棚、蛍光灯の取り換え、一人でいるときにブレーカーが落ちてしまった時…。 日常生活のなかで女性は高さで困ることがいろいろある。 一方で男性も日常生活の高さで困ることがあるらしい。 例えばキッチンのシンクの高さ。 夫は洗い物をする度に腰が痛いと言う。 測ってみると、我が家のシンクの高さは80㎝だった。 男性でも使

走ろう。自分のために。誰かのため

\浜松ジェンダーラボ/⑥ 浜松男女共同参画推進協会 理事 近藤佳美 [浜松百撰コラム] 2022年6月号掲載 (出所)浜松百撰 ******* 健康のためにランニングを始めた。 「趣味はランニング」と話していたら、大して走れないのに全国規模のチャリティラン<ホワイトリボンラン>の浜松拠点の担当に。 主催は国際協力NGOジョイセフ。<ホワイトリボン>はもともと女性の健康と権利を伝える国際的なシンボル。世界では1日約800人の女性が妊娠や出産で命を落としている。 多くは途

令和の夫は「留守」じゃダメ

\浜松ジェンダーラボ/⑤浜松男女共同参画推進協会 理事 近藤佳美 [浜松百撰コラム] 2022年5月号掲載 (出所)浜松百撰 ******* 「亭主元気で留守がいい」というCMがあった。昭和だった。 令和の今は、亭主は留守では困る。 例えば育児。昨年の男性の育児休業取得率は12.7%と過去最高だが、希望しても取得できなかった男性も約4割。あいホールの講座でも「会社には育休を言い出しにくい」という夫たちの声をよく聞く。 今年は改正育児・介護休業法が段階的に施行される。

スカートの下のジャージ

\浜松ジェンダーラボ/④浜松男女共同参画推進協会 理事 近藤佳美 [浜松百撰コラム] 2022年4月号掲載 (出所)浜松百撰 ******* 浜松に住み始めて気になっているのが、制服のスカートの下にジャージを履く女子学生たち。 彼女たちを見かけると、タレントのSHELLYさんの話を思い出す。 SHELLYさんは学生時代にスカートが大嫌いで、制服のスカートの下にジャージを履いて登校していたそう。男女が明確に区別される制服に「こういう小さなことから男の子と女の子は求められて

かけっこから考えるオリンピック

\浜松ジェンダーラボ/③浜松男女共同参画推進協会 理事 近藤佳美 [浜松百撰コラム] 2022年3月号掲載 (出所)浜松百撰 ******* 先日、小学生の女の子が話してくれた。 かけっこで男子より早く走ったら、同級生の男子から「女のくせに生意気と言われた」と。 「男は女より強くあるべきだ」というジェンダーの刷り込みを今どきの小学生も受けていたことに驚いた。 競技スポーツは歴史的に男性のものだった。 特に陸上競技は、肉体の限界を極め、顔を歪めて汗をかく姿から、女性には相

生理ブームがやってきた

\浜松ジェンダーラボ/②浜松男女共同参画推進協会 理事 近藤佳美 [浜松百撰コラム] 2022年2月号掲載 (出所)浜松百撰 ******* 今、第3次「生理ブーム」がきている。 第1次は月経(生理)を不浄視する慣習を公に廃止した明治時代、第2次は日本ではじめての使い捨て生理用品「アンネナプキン」が登場した1960年代。第3次の今は、漫画「生理ちゃん」の人気をきっかけに生理をよりオープンに語り、みんなで生理を知ろうという波がきている。 テレビでは生理に関する番組が急増

「男らしさ」「女らしさ」より、「自分らしさ」を大切に

\浜松ジェンダーラボ/①浜松男女共同参画推進協会 理事 近藤佳美 [浜松百撰コラム] 2022年1月号掲載 (出所)浜松百撰 ******* 「男の子はブルー、女の子ピンク」 「男は理系、女は文系」 「男は仕事、女は家庭」。 これらは社会が作り上げた男性像や女性像(ジェンダー)を表す言葉だ。 男の子はミニカーを、女の子はお人形をおもちゃとして渡され、社会が求める「男らしさ」「女らしさ」を刷りこまれていく。なかには自分が望んでいることも「男/女だから」からと自制することで

[浜松百撰コラム]浜松ジェンダーラボ、アーカイブ読めます。

浜松市民に長く愛されているタウンマガジン『浜松百撰』にて、浜松男女共同参画推進協会 理事の近藤佳美が、2022年1月から12月までの1年間書き続けたコラム「浜松ジェンダーラボ」を再掲載します。 掲載許可をいただいた「浜松百撰」のみなさま、ありがとうございます。 掲載コラムタイトル一覧