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おきらく一目均衡表 前編

1. はじめに.

このNOTEは私ダニエルが解釈した一目均衡表をお手軽に読み取る方法について解説したものです。私見ですので、経済変動総研さまの解説する内容とは違いがあることをあらかじめお断りいたします。

また本書では筆者が把握している一目均衡表の特徴および各ラインの意味と、それらの動きが何を表すかに特化していますので、波動論、値幅観測論や売買シグナルについて触れることはありません。あまり難しいことに触れることなく、なるべく「おきらく」に一目均衡表を読み取れるよう心がけて執筆してみました。

一目均衡表に詳しい方には、本書のような使い方は一目ではないと言われるかもしれませんが、これはあくまで「ダニエル流一目」ですのでご容赦ください。

一目均衡表の紹介については書籍やインターネットで数多くの解説がありますので、わざわざ私が触れるまでもないでしょう。Wikipediaがいちばん簡潔にまとまっていると思いますので以下のサイトを参照ください。

https://ja.wikipedia.org/wiki/一目均衡表

本書は2部構成となっており、それぞれ以下の内容が記載されています。また後編については有料とさせていただきました。ご興味のある方は読み進めていただければと思います。

前編
1.はじめに
2.一目均衡表を使う理由
3.一目均衡表の準備
4.簡単な一目均衡表の読み方

後編
1.はじめに
2.一目均衡表のなぞとき
3.一目均衡表の活用例

2. 一目均衡表を使う理由.

一目均衡表は先ほどのWikipediaにも記載されている様に、考案されてから80年の月日が経過しています。当時は当然計算機など存在せずひとつひとつ手で描いていたことでしょうから、その作業量は膨大なものであったことでしょう。そして80年経った現在では世界中の投資家に利用される存在となっています。なぜ未だに形も変えずに使われ続けているのでしょう。そこには一目均衡表の洗練された考え方が投資家に共感を与えているからではないかと筆者は考えます。
筆者なりに考える一目均衡表が他のテクニカル分析に比べて優れている点をいくつか紹介します。

・株価が受ける環境をひと目で把握することができる
 現在の株価と過去の投資家の行動をおおまかに把握することが可能です。投資家はいつごろポジションを建てて、まだ持ち続けているか、いつごろに利益確定・損切りしているのか。過去に大きな安値や高値が発生していないか、それらがこれまでどのような影響を株価に与えたか等をひと目で把握することができます。

・株価が受ける環境の変化を予想することができる
 これからの時間が経過する際に、株価がどのような影響を受けるか、その変化などを予想することができます。過去にポジションを建てた投資家が利益確定や損切り、押し目買いなどの行動を取る可能性があるかどうか、ある程度予想することが可能となり、今後みなさんがどのような投資戦略をとるべきかの参考にすることができます。


・株価が受ける環境が変化する時間帯を予想することができる
 この先いつごろに株価がどのような影響を受けるのかを予想することができます。いつ頃にどの価格辺りを株価が指していると利益確定や損切りの売り、押し目買い等が出てくるかも知れないといった株価が変化しそうな時間帯をある程度予想することができます。それらを見越してみなさんは投資戦略を立てることができます。

ほかにもたくさんの特徴があります。一目均衡表の手法はすこし複雑に感じるかもしれません。それはチャート上にたくさんのラインが引かれ、見た目に複雑なチャートになっている事が原因のひとつでしょう。しかし本書を読み進んでいただいて個々のラインの役割を把握し、注目すべきポイントを絞っていくことができれば、複雑と思っていたのは誤解で、じつはとても洗練された手法であることが理解いただけるのではないかと思います。

そもそも一目均衡表は株式投資のために考案された手法であり、皆さんの多くが興味のある株式の個別銘柄で機能するように設計されているはずです。筆者は特に理由があって指数先物に用いていますし、大きな出来高が見込める指数系や為替などでもっとも良く機能すると考えていますが、本来は株式の個別銘柄で用いるべきなのかもしれません。このあたりは実際にみなさんで確認していただければと思います。

3. 一目均衡表の準備.

ここではこれからの解説を理解するために必要な最低限の知識として、一目均衡表を構成するそれぞれのラインの名称とそれらを描く手順について解説します。一目均衡表については証券会社のチャートツールなどでも描くことができますが、ここではインターネットで手軽に高度なチャート分析が可能なTradingViewを用いて解説したいと思います。

TradingView https://jp.tradingview.com/

以下がTradingViewで日経225の日足チャートに描いた一目均衡表です。株価データはCFDのNI225を用いています。

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一目均衡表は以下のラインから構成されています。

・転換線
上記チャートで青のラインが転換線と呼ばれ、現在位置から過去9日間で最も高かった株価と最も安かった株価の平均値(過去9日間の最高値+過去9日間の最安値÷2)を求め毎日繋げていったライン。

・基準線
上記のチャートで赤のラインが基準線と呼ばれ、転換線と同様に現在位置から過去26日間で最も高かった株価と最も安かった株価の平均値(過去26日間の最高値+過去26日間の最安値÷2)を求め毎日繋げていったライン。

・先行スパン1
上記のチャートで緑のラインが先行スパン1と呼ばれ、上記の転換線と基準線の平均(転換線+基準線÷2)を、現在位置より25日分未来側に描いて毎日繋げていったライン。

・先行スパン2
上記のチャートでピンクのラインが先行スパン2と呼ばれ、現在位置から過去52日間で最も高かった株価と最も安かった株価の平均値を求め毎日繋げていったライン。

・雲
上記の先行スパン1と先行スパン2の間を薄く塗った部分が雲と呼ばれます。

・遅行スパン
上記のチャートで左側に単独で描かれた緑のラインが遅行スパンと呼ばれ、現在の株価を現在位置より25日分過去側に描いて毎日繋げていったライン。

これらに現在の株価を示すローソク足を加えて一目均衡表によりテクニカル解析するためのチャートが完成します。TradingViewであれば「インディケーター&ストラテジー」から虫眼鏡マークの検索ボックスで「ichimoku」と入力し下段に表示される「Ichimoku Cloud(一目均衡表)」を選択します。

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MetaTrader4でも「Ichomoku Kinko Hyo」の名でインディケーターが標準装備されていますが解釈の違いによりパラメーターに違いがあり、それぞれのラインの位置が若干違っています。もしMetaTrader4で一目均衡表を表示させる場合は注意が必要でしょう。ただしこれからの解説を把握していればパラメーターの小さな違いはそれほど重要でないことが分かるかもしれません。
これで準備は整いました。では一目均衡表を用いたテクニカル分析の例を簡単に紹介します。

4. 簡単な一目均衡表の読み方.

まずはとても簡単な一目均衡表の読み方について解説します。ただしこの手法は筆者の完全オリジナルであり、一目均衡表の本来の読み方とはかなり違いがあることをお断りします。あまり肩に力をいれず「そういうもんなんだ」くらいの感覚で目を通していただくと良いでしょう。

以下のチャートをごらんください。これは2020年5月14日の日経225CFDの日足チャートです。

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このチャート上で、まずはざっと注意すべき箇所は丸で囲った4カ所。これらについて何を意味しているかを解説します。ここでひとつ注意があります。売ポジションを考慮すると解説が複雑になるため「買ポジションしか無い」ものとして進めますのでご注意ください。

①最新のローソク足の位置
始めに赤で囲まれた範囲に注目してください。この範囲には最新のローソク足が描かれています。少し見づらいのですがこの範囲に転換線、基準線、先行スパン1、先行スパン2のラインが描かれています。それぞれのラインの意味についてはこの後で詳しく解説します。

まずローソクと各ラインの配置について注意します。現在ローソク足は青の転換線と交わった状態です。直近9日間でポジションを取った投資家は特に利益も損失も出ていない状態でしょう。その下に赤線の基準線が通っています。これは直近26日間で取られたポジションのおおよその平均値ですので、それらのポジションは利益が出ていることを示しています。

次に赤丸の下を通っている緑線の先行スパン1に注目します。これはだいたい2ヶ月前あたりの1ヶ月間で取られたポジションの平均値です。したがってそれらのポジションも利益が出ている状態です。


最後に赤丸の上端を通っているピンク線の先行スパン2です。ローソク足は先行スパン2を下回っていますので、2~4ヶ月前あたりで取られたポジションは若干の含み損が出ている状態であることを示しています。

これらより旧いポジションは多少損失が出てはいるが、ほとんどのポジションには今のところ利益が乗っている状態であることが分かります。

②先行スパン1、2の終点
では緑で囲まれた範囲に注目してください。ピンクの先行スパン1、緑の先行スパン2が交わっています。ここに至るまでは先行スパン2が先行スパン1を上回ってきました。この先行スパン1、2の間を「雲」と呼び薄い色で塗られています。

先行スパン2が先行スパン1を上回っている状態を「陰転」と呼ぶことにしましょう。この状態は先行スパン1が示す過去1ヶ月程度で取られたポジションの平均を、先行スパン2が示す過去2ヶ月程度で取られたポジションの平均を下回っています。この意味は、直近1ヶ月程度で取られたポジションは、その前の2ヶ月程度で取られたポジションに比べて低い事を示しています。そして手前のローソク足はこの先行スパン1、2を上回っていますので、それらのポジションは少し利益が出ている状態であることを示しています。


③先行スパン1、2の動き
青で囲まれた範囲に注目してください。最新のローソク足から先行スパン1、2が未来に向かって伸びている箇所です。緑の先行スパン1が将来に向かってじわじわと上昇してきます。

これは過去2ヶ月程度前に取られたポジションの平均価格が徐々に上昇してくることを示しており、現在の株価あたりで推移するなら利益が減少して行く可能性があることを示しています。またピンクの先行スパン2はローソク足の上を通っていますが、わずかに下がりつつあり、最後の緑丸の箇所で強めに下げています。これは過去2~4ヶ月あたりで取られたポジションは現在少し損失が出ているものの、株価が現在の価格で推移するならいずれ損失は消え、もし上昇するなら利益が乗ってくる可能性のあることを示しています。

④遅行スパンの動き
黄で囲まれた遅行スパンの終点での、ローソク足、転換線、基準線、そして先行スパン1、2に注目しましょう。遅行スパンは現在の株価をそのまま過去に25日ずらしただけですので、遅行スパンの終点は最新の株価を指しています。

この位置でまずローソク足と比較してみましょう。ローソク足はだいたい17700あたり、遅行スパンは19914を示しています。つまり25日前に取られたポジションは1200ほどの利益が出ています。

青の転換線、赤の基準線に注目してみましょう。ここは25日前に取られたポジションの過去1ヶ月程度の平均です。基準線を転換線が下回っていますから、後半で買われたポジションはは前半で買われたポジションに比べて平均価格が低く、25日前のローソクはそれらの下にありますので、この時点では損失がでているものの、現在であれば利益が出ている状態であることが分かります。

また上端の先行スパン1、2にも注目しましょう。遅行スパンのはるか上を推移しています。この位置での先行スパン1は2ヶ月前あたりの1ヶ月間のポジション平均値、先行スパン2はさらに2ヶ月間、つまり4ヶ月前からの2ヶ月間のポジション平均値となります。遅行スパンの終端が示す現在の株価との値幅が3000ほどありますので、この期間で取られたポジションのほとんどは損切りされていることでしょう。

この4つのポイントを総合して現在の株価の置かれた状況を分析します。

①直近のポジションは若干の利益が出ている。
②2ヶ月程度過去のポジションもそれなりに利益が出ている。
③今後株価が揉み合いか上昇するなら利益は伸ばすことができるが、下落については注意する必要がある。
④過去にあった高値のポジションはほとんど解消されているので、値は重くなく上昇できる余地はあり、その後取られたポジションもそこそこ利益が出ている。

総じて「現在の投資家心理は予期しない下げに対する警戒感があるものの、現在は中立から強気で、ここから株価の上昇とともに強気の度合いを強めて行くとみてよいだろう」といった感じでストーリーを立てます。

ではこのチャートがその後どのように推移したでしょうか。

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結果が分かっているという点はありますが、ストーリー通りになっていますし、そこに至る個々の分析や理由付けはそれなりに説得力があると思いませんか?

一目均衡表を使ってこのような感じで分析する手法もあります。もちろん筆者のオリジナルですから、ほんとうの一目均衡表の使い方とはかなり趣が違うでしょう。

いまから80年前に開発されたテクニカル分析手法がいまだに通用する点はほんとうに驚くべきことです。

後編では、それら一目均衡表が持っているそのポテンシャルについて少し細かくなぞときをしています。後編は有料で提供させていただきます。もっと詳しく知りたい方はご購入いただけると幸いです。

おきらく一目均衡表 後編


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