ミスイベの個人的歩き方 その2

演劇型:叙述の具現化に挑む

楽し味
私自身が演劇型で楽しんでいる点は、言うまでもなく、演劇だという所。役者の一挙手一投足、舞台の隅々まで楽しめるのは、演劇色々といえどもミステリーイベントの演劇は特に、と思っている。楽しまざるを得ない、とも言えるが。でも、ずっと事件の全員の動きを追おうと前かがみになっているより、本を読むように観流して、終わりぐらいに「アレ?そういえば…」という風に思い出すのがいい感じ。とはいえ、流石にAさんからBさんへ渡した物や聞いていた事など、重要そうな行動はメモしておきますが。ただし、話が長いやつ(E社)はちょっと違う。脚本をまる写しにする勢いで、役者の行動をメモっている。舞台に誰が立っていて、誰が出て行って、誰が何の話題をして、何をしていて…
もしも事件を解決したいのであれば3Dを2Dにするくらいの構えでいた方が良い様子。実際にこれを始めてからは、かなり事件を解きやすくなった。ただ…やっぱり舞台を楽しむ感じではなくなってしまうので、注意。舞台を楽しみながら要所をメモできれば、楽しみづくしになる…といいんだけどなぁ(え)​

面白味
舞台型の面白いところは、他の形式とは違って叙述トリックをすることができる点にあると思う。そもそも叙述トリックとは「述べること」だから、「読者を騙す」転換して「観客を騙す」ということが何なのかということになるが、意外と理屈は本と同じ。本でも演劇でも、語られる事件の内容が必ずしも神の視点あるいは観客の視点ではないということだ。つまり、誰かの体験談であったり、主人公の目を通して事件が語られているわけであって、観客が観ている事件そのものは『だれかのバイアス』がかかっていることになる。だから時に、語り主にとってXに見えたものはXのまま語られ、探偵である観客はXが本当にXだったのかを考えなければならないストーリーもある。X=XまたはX≠Xである根拠は、本の場合であれば読み直すことで気付ける。しかし演劇型のイベントの場合、聴覚的な情報(劇中の登場人物の証言など)と、視覚的な情報(証拠や状況)から推理する。併せて、登場人物の絶妙な“間”や“表情”からも推理する必要があったりする。これが面白い。で、これが面白いからこそ、聴覚の情報を主に視覚の情報へ食いつきながらメモするのはあまり楽しめないのでおススメしないのである。

優しさ
参加者が均等に情報を得ることができるので、ワイワイ他の参加者と情報共有をして議論する楽しみ方がある。自身の気付きが足りない場合は、他の参加者と事実の確認をし合うのも良い。

厳しさ
当然、参加者が事件を体感しようというタイプのイベントではない。その為、没入感を求める人には向かない。また、集中力がない人も不向きかも知れない(巻き戻らないので、見逃すとちんぷんかんぷんになる)。そして、多少のフィクション内容も再現されたり(再現可能がゆえに)、前述したある人物の主観的な見方によりわざとストーリーが見えなくなってっている演出があったり、それはそういうもんだという心の広さが必要なこともある。

作り方
台本がしっかりしていれば、公演のクオリティが保たれるのでやりやすい。
ただ、アドリブは絶対禁止(理由はすぐ後述)なので、下手したら演劇よりも役者をはじめとして、運営陣はぴりぴりする。テレビの2時間ドラマをテイクなしでやるようなもんだと思う。そして演劇だから3次元であるものの、演出に対して観客は(画面を見るような)2次元的な見方をしていることに注意することが望ましい。要するに、観客の見える範囲を把握した上で過不足なく事件の全容を見せる必要があるということだ。証拠の後出しはできないので、リアルライブ型やロールプレイング型のように参加者へ提示する情報にムラを出すのは拙いし、提示しきれないとさらに拙い。

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自分のミステリー公演に関する情報まとめや、出演した参加型イベント・通常の舞台の裏話、体験したイベントやイマーシブ公演の追体験的記述をしています(ネタバレを多分に含みます)。長文書く癖があるのに、途中で飽きて辞めちゃうこともあります。