お140話・女の子におんぶしてもらいたい男子〜恥かし心を共有の縁でティモテ女性のおんぶ
日差しは春の暖かみというか強さを持ち始めてきた2月末だが、日によっては真冬の寒さも舞い戻ってくる。そんなこともあり、この日は、ひさびさに、マフラーしまい髪ティモテの女性を見つけた。朝の通勤時間帯の駅ホームにて。
冬の風物詩「マフラーしまい髪ティモテ」については、お119.120話で述べたが、春になりかけの中でのティモテ発見には、なんとなく貴重なものを発見したお得感。だって今後順調に暖かくなってゆくと、今後9ケ月以上は出会えなくなるのかもってことを直感しての「萌え」だろうか。
そのティモテ女性は満員電車内へボクと一緒に押し込まれると、ボクの目の前に、こちらに背を向けた立ち位置で落ち着いてくれた。ボクの目の前というか、あごの下喉元に女性のティモテヘアーがある。身長低めの女性のティモテは、その髪のふくらみ具合の曲線が、かわいい。
女性の髪はマフラーでくるまれているので、ボクの喉元に触れてはいないのだが、触れているようなシアワセ感というかお得感に浸れてしまうのは、「目の前でふっくら」という視覚刺激が「触れてる」という触覚妄想を引き起こしているのだろうか。ふんわり膨らんでるティモテ髪でありながらも、髪の質は芯の通った強めであることなんかも、ボクの妄想触覚は感じ取ってしまっている。
電車は終点のターミナル駅に到着して、右側ドアが先に開いて続いて左側と、両側が開くので、ドア付近のやや左よりに立っていたボクやティモテ女性は、右へ向かうか、左ドアが開くのを待つか、一瞬迷うとこで、ボクは左が開くのを待っていると、目の前のティモテ女性は、先に開いた右側へ行こうとしたのか、身体を回転させてボクの方を向いた。その動きで、ボクは、ティモテ女性のおでこに唇が触れ、キスした形になってしまった。
「あっ、すみません」
「こちらこそ、すみません」
女性は、もとの向きに身体を戻し、つまりボクのほうに背中を向けて立ち、左ドアが開くのを待つことに。
「ごめんなさいね、かわいい女の子のおでこにキスしちゃった」と彼女の耳元でささやくと、女性は恥ずかしそうに下を向いた。ボクの小声が、意外にも周囲の人たちにも聞こえてるっぽかったのが恥ずかしかったようでもある。
彼女が、周囲の目線を気にして恥ずかしがってくれたおかげで、2人の世界を創れたのはラッキーだった。他の降車客たちの流れに乗らず、ティモテ女性とボクは、柱の際に立ち止まった。
周囲に対して恥ずかしいという感情を持ってしまったティモテ女性がボクに親近感を抱いてくれたのは、ボクのことも「恥ずかしい」との感情を持ってしまった仲間とみてくれたことだろうか。「恥ずかしい」というキーワードによる共感者同士。ここでボクは、一気にアタックに出ることにした。
「あの、、恥ずかしいお願いがあるんですけど」
「えっ、ハイ、なんでしょうか?」
「あなたにおんぶしてもらいたくなっちゃったんです。ボクをおんぶしてください」
「おんぶですか? なんで?」
「理由ですか。おんぶしてほしくなっちゃったからです」
「はあ? そんな理由って・・」と言うティモテ女性の両肩にボクは両手を乗せると
「じゃあ、乗りますよ」と返すとほぼ同時に飛び乗る。
「えっ、ホントにおんぶなんですか。男の人をおんぶなんて・・うわっ、重いですよ。なんで、おんぶなんですか・・」
ボク、かわいい女の子を見ると、おんぶしてもらいたくなっちゃうんですけど、あなたは、この髪型ティモテのふっくら感にすごく暖かみとサワサワ感を意識してしまい、ふっくらしてるのに1本1本は芯のある強い髪質、これボクの好みなんです。
「髪を褒めてもらえるのは嬉しいんですけど、おんぶ重いんで、降りてもらってもいいですか? 腕がもうキツいんです」
おんぶは、歩いてくれなきゃ、降りたくない。あそこの階段の降り口までおんぶしてもらいたいんで、おねがいしますよ。女の子のおんぶって、すごく気持ちいいんだよ、いまボクは、その気持ちよさの真っただ中なの。だから歩いて歩いて、重くて大変だと思うけど歩いてぇぇぇ。
歩いてくれる振動でもっと気持ちよくなっちゃうんで、歩いて歩いて、おねがい、あそこまで。マフラーしまい髪ティモテヘアーが、ボクの喉元にさわさわと触れているのは、数分前までの電車内での妄想が現実になったのか。そんなことにうっとりしていたら、ティモテ女性のおんぶは階段の降り口に到着しちゃったので、約束通り降りてあげないとね。
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