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お165話・痴漢疑惑を避けたなりゆき女性におんぶ〜女の子におんぶしてもらいたい男子

 満員電車の中で立っていて、自分の隣や前に魅力的な女性がいて意識しちゃったときは、ことさらに注意深くするようにしている。どう注意深くかって、それは痴漢疑惑をかけられないようにだよ。

 ボクは、自分の性格や生き方、挙動などが、痴漢疑惑かけられるにあたいしていることは、十分に認識してるから。そう、認識してるがゆえ、怪しい行動はしないようにと。

 この日は、朝の満員電車に乗る前の段階で、ホーム上に立つスレンダー女性に目がいってしまい、彼女の斜め後ろにボクの立ち位置は、あっ、まずいかな?とドキドキ。こんなことでドキドキしちゃうのは、自分に怪しい下心という罪の意識があることを認めてるからこそ。

 ボクは、そのスレンダー女性の背後にいくというストレートすぎることは避け、横の位置に入り込んだ。女性の第六勘は鋭いので、ボクの怪しい本能を察知されるんではないか、という恐怖ゆえ警戒。するとボクのカバンを持つ手が、ボクの身体とスレンダー女性の身体に挟まれたではないか。

 カバンを握ってるから痴漢疑惑にはならず、女性の柔らかい身体の感触は堪能できるナイスなシチュエーション。女性の身体はスレンダーな体型のわりには柔らかくて暖かみをジーンと感じる。この柔らかみは、お尻だろうか、そんなことを意識してしまうと、また痴漢疑惑が気になってしまい、結果的に、彼女とは縁を詰められないまま、終着駅で、全員降りる中で、お別れとなってしまった。手に残る彼女のお尻の温もりだけが思い出って。

 痴漢疑惑を避ける明確な方法は、女性より前をずんずんと歩くこと、ボクはスレンダー女性を抜き去り、その駅前から乗る予定のバス停の列に並んだ。一本目のバスは行き先が違うので、次のバスを待ってると、なんと、さっきの電車でのスレンダー女性が、その目の前のバスに乗り込んでくではないか。

 ボクは、運命の出会いに引っ張られるように、彼女のあとに続いて、そのバスに乗り込んでしまった。自分の行き先じゃないのに。座席の空き具合は微妙だった。微妙というのはどういうことかというと、がら空きでもないので、ボクが、彼女の隣に座ることは、粘着というほど不自然ではないのだが、他の席を選ぶほうが自然の流れだろ、的な。

「すみません、隣に座ってもいいですか?」

「はい」

「他の空いてる席もあるのに、すみません。もしかして〇〇駅で電車に乗ったときにも、ボク隣にいらした方かなと思ってまい、なぜか、吸い寄せられるように、貴女の隣に来てしまいました。人違いだったら、ごめんなさい」

「はい、私も○○駅からで・・・」

「実はボク、もう一本の別路線のバスに乗る予定だったんですが、貴女の後ろ姿見て、吸い寄せられるようにこっち来ちゃったんです。貴女とこうしてお喋りしててもいいですか?」

「私、3つ先で降りますよ」

「ボクもそこで下りていいですか?」

「はあ」

 なんとも不自然な声かけだとはおもっていたが「この女性との今のこの出会いは、ボクの人生にとって運命的なはずだ」という気持ちが芽生えてしまってて、ボクは、女性にくっついて、バス停で降りた。降りたところで「実は、ちょっとしたお願いがあるんです」と。

女性は「????」と。

「ちょっとだけでいいんで、2~3分でいいんで、ボクをおんぶしてください。貴女のセクシーで暖かみのある身体をボクの身体は感じてしまったんで」

 そんなワガママ勝手のワケわからないこと言われて途方に暮れてるスレンダー女性の背中側にボクはまわりんで、彼女の両肩に両手を掛け「では、乗りますよ」と言うと同時に、女性の背中に飛び乗ると、女性は反射的に、ちゃんとボクの両足を両手で支えてくれ、正しいおんぶの体勢でボクを乗せてくれた。

 いつもながらに、このように「おんぶなんかする必要ないし断ってもいいのに、頼まれちゃうと、つい反射的に受け止めてしまう」女性の優しさ本能に触れることができてしまった感動。

 電車の中で感じた柔らかみ。カバンを持つ手の甲だけで感じていた、目の前のスレンダー女性の身体の暖かみと柔らかみを、今は、おんぶに乗せてもらってることによって、自分の全身で感じつくすことができている。股間を含む全身でだ。なんてシアワセなひとときなのだろう。

 女性の身体の柔らかさと暖かさを堪能していると、ボクの両足を支えてくれてる女性の両手からの感触にこそ、女性の持つやさしさをびんびんに感じてしまう。細腕のスラリとした両手で、ボクの太い両足を持ってくれている光景こと、「頼られちゃったら、大変なことでも頑張って支えちゃう」という女性心理か。

 スレンダー女性は

「なんで、私、知らない男の人なんかおんぶしてんだろ。もう降りてもらってもいいですか? 汗かいてきちゃって化粧が崩れそう・・」

「いや、まだ降ろさないで。。あそこの交差点まで歩いてみてください。女性におんぶしててもらう気持ちよさの大事なポイントのひとつが、歩いてもらうことによる揺れと振動なんですよ」

「ええーっ、こんな重いの背負わせて、歩けっていうの?」


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