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お215話・妖麗な女性の上に座らせてもらった暖かみ〜女の子におんぶしてもらいたい男子

 落ち葉がときおり風に舞う晩秋というか初冬というかの、平凡な住宅街の一角にある小さめの公園。遊具はいくつかあるので公園ではあるのだが、団地の裏庭というほうが正しい形容かもしれない。そんな寒々しげな地味な光景の中、ベンチに座ってスマホをいじる女性の姿が、周囲の殺風景さとのコントラストゆえ、その色気というより「妖麗さ」が際立つ。

 ロングの黒髪、白いスカートの上に黒い軽めのハーフジャケット、黒いブーツを履いた両足をまっすぐと前に投げ出している姿は、まるで、ここに乗って乗ってとボクを誘ってきている安楽椅子のような。殺風景な景色の中、その女性の身体のみが、暖かみと柔らかさを放っていてまさに紅一点、女の子に乗っかりフェチのボクを狂わそうとしている。

 女性の魅力に翻弄されると、いつものボクなら、おんぶしてほしい、とお願いする方向へ持っていきがちなのだが、今回は、おんぶでないことを、その妖麗女性に求めたくなってしまった。ボクは女性の正面に立ち止まって声を掛けた。

「寒々しい殺風景な景色の中、あなたの妖麗さが熱く際立っていて、つい、話しかけちゃってすみません・・」

「なんなんですか? 言い方が怪しすぎますよ」と気の強い女性って感じの言い方は、前にまっすぐに投げ出した長い足と黒ブーツからも感じ取れるそのまま。

「怒らせちゃったならゴメンなさい。そっちに座ってちょっと話し相手させていただいてもいいですか?」

「うん、ちょっとなら。・・・怒ってなんかないわよ」

 ボクはベンチに座る妖麗女性の魔力に引き寄せられるように、彼女の太ももの上に横座りにドッカリと座る。

「なんで、私の上に座るのよっ。隣にしてください」

「ゴメンなさい、貴女の魅惑に吸い寄せられちゃって、つい・・」

「いきなり女の子の上に乘るって、あなた、おかしいですよ」

「女の子の上に座るのって、柔らかくて暖かくて気持ちいい・・」

「重いです、どいてくださいな、ベンチ隣あいてるんですから」

「ベンチはやだよ。ベンチは堅くて冷たいんだもん。キミの上にこうして抱っこしてもらえてるほうが、暖かくて柔らかくて気持ちいいの」

「気持ちいいの、じゃないわよもう。。私はその堅くて冷たいベンチに座ってるのよ。女の子の私を堅くて冷たいこんな木のベンチに座らせて、その上に男が乗るって・・、逆でしょ」

「逆だから、萌えるのーー」

「萌えるのーーって、まったくもう。乗られてる女の子のことも考えてほしいわよ」

 乗られてる女の子のことも考えるからこそ萌えちゃうのだが、そのことはあえて言わずとした。堅くて冷たいベンチに座って女の子が、ボクに暖かさと柔らかみを与えてくれてるんだと思うと、女の子ってなんでこんなに優しく尽くしてくれる素敵な存在なんだろ、って。

 僕は、女の子の太ももの上にすわってるだけなのに、性的に感じて、全身の力が抜けて、へろへろになってしまった。

「貴女の上に座らせてもらってるだけなのに、感じちゃって気持ちよくなっちゃって・・。重いのにすみません。。力が抜けて動けなくなっちゃってて」

「動けないって・・、ずーっと乗ってる気??」

「いえ、すぐに動けるようになると思うんで、そしたらどきます。それまで、重いとおもうけど、すみません」

「まったくなんで私がこんな男のために重いのに耐えなきゃなんないのよ。足が痺れてきちゃいそうよ。あと何分でどいてくれるのよ?」

「15分」

「ええっー、15分も乗られてるなんて冗談じゃないわよ」

「わかった、じゃあ12分にする」

「12分でも長すぎよー。まったく私の身体をなんだとおもってるのよ。今すぐどいてよ。わたし足が痺れてきちゃったわよ」

「わかりました、ごめんなさい」とボクは彼女の上からどき

「どきますので、ちょっとしたお願いがひとつだけ・・」

「なんで私が、見知らぬあなたにお願いされなきゃならないのよ」


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