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お138話・女の子におんぶしてもらいたい男子〜スポーツ女子集団のおんぶ走に乗った

 東京都の北東部を流れる荒川の土手でボーッとしていると、トレーニングのために走りにきている健康的な女子集団がいたので、声をかけてみた。スポーツウェアでトレーニング中におんぶしてもらって、その良さに感じてしまった初体験は、お95話に記したが、お133話でも、日帰り登山から下りてきた山ガールのおんぶ。そんな楽しい経験の甘い思い出が引き金となって、荒川土手のスポーツウェア女子集団に乗りたくなってしまったのだ。

 女性たちは大学のソフトボール部だという。単刀直入に

「ボクをおんぶして走ってみませんか?」と提案してみた。女子たちは

「そりゃ足腰のトレーニングにはなるとは思うけど、なんでそんなこと私たちに?」

 ボクは、ごまかさずに正直に言うことにした。

「実は、女の子におんぶしてもらうのが好きなんです、キミたちみたいな元気な女の子のおんぶに乗りたいな、と感じてしまいまして。提案っぽく言っちゃったけど、ボクの本心は、おんぶしてください、というお願いであって、すみません」

 4人のトレーニング女子たちは

「えっ、おんぶって・・、誰が、どういうふうに?」とワイワイキャッキャと盛り上がっていたので、こういうときは、ボクから即決で答を示す。

「まず最初にボクはキミに乗るね」と言って、身長152くらいとおもわれる、一番小さい女の子のおんぶに飛び乗った。

「えっ、わたしなの?」と言いながらも、体育会女子ならではの、安定感のある乗り心地のよいおんぶをしてくれた。

「では、あとの3人はボクたちおんぶペアの前と左右で囲むように、4人が同じペースで走るようにジョギング開始ね」

 おんぶペアの前を走る女の子が、全体のスピードのペースメーカーになる。先頭の女の子は身軽なので、おんぶでボクを背負ってる女の子にとっては速すぎるペースになりがちだが、その速すぎるペースについてゆこうとするからこそトレーニングになるというもの。

 ボクをおんぶしてる女の子が体力限界に達したらボクを先頭の女の子に受け渡す。そんな流れを走りながら説明した。

 女の子たちのジョギング走りの上に乗るおんぶは河川敷がわからの風の爽快感もあって、なんともいえない気持ちよさ。おんぶしてくれてる小柄女子のショートヘアーが、走る一歩一歩の振動とともに髪がふわっふわっと膨らむように揺れるのが「元気なスポーツ女子のおんぶにボクは乗ってるんだな」というお得感。

 おんぶ走りを始めてからたぶん2分くらいで、ボクをおんぶしてくれてる女の子のペースは落ち、先頭の女の子から距離を引き離されがちになる。ふつうなら、身軽な先頭の女の子が、70キロをおんぶしている女の子に合わせるように速度を緩めるのだろうけど、彼女たちの目的はトレーニングなので、先頭の女の子は速度をそれほど極端には落とさず、おんぶ女子が、なんとか頑張って追いつくことを促す。

 乗ってるボクに伝わってくる感触としては、おんぶ女子の縦揺れだけではなく、左右への横揺れも多くなってきたことから

「おんぶしてくれてる女の子はかなりキツいんたろうな」を実感。

乗り心地はかなり快適で、そのひとつは、走ってる女の子の上下振動のおかげで、ボクの身体がズリオチしないのが大きい。また、おんぶ上からの景色が、前と左右には、女の子の走る姿にかこまれていることが、騎馬戦フォーメーション上に乗せてもらってるような、王様気分も味わえている。

 しかも、騎馬戦フォーメーションよりも、おんぶなので、女の子との身体の密着感をも味わえてる。身軽な先頭の女の子の走りに追いつこうと力を振り絞る女の子のけな気な頑張りが、無性にかわいい。かわいいがゆえに「ガンバレ頑張れ、追いつけるぞ」なんて、おんぶ上から脳天気に声かけしてみちゃうと、なんと152センチおんぶ女子は速度を上げてきた。こんなふうに頑張ってくれちゃう素直さが、スポーツ女子ってかわいい。

 先頭の女の子においついて横並びになったところで、ボクは、先頭の女の子の肩に両手を踏ん張って、乗り移った。先頭の女の子は

「えっ、こういうことなの?  ・・・わわたしの番ってこと?」と言いながらも、ボクの全体重をガッチリと受け止めてくれて、ジョギングの足は止めずのまま。さすが、スポーツ女子のチームプレイだ。

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