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お133話・女の子におんぶしてもらいたい男子〜登山帰りにおんぶしてくれた女子大生

 女子大ワンダーフォーゲル部2年生のナルミ+他女子3人と神奈川県丹沢の日帰り登山に行ったが、ボクのおんぶフェチを熟知しているナルミは、「山では、絶対に、おんぶはしないわよ、おんぶの話もしない約束なら」という条件つきで、ボクの同行を認めてくれた。

 そして、丹沢登山から予定通り、なんのアクシデントも無く下山し、登山口から小田急線駅までのバスに乗ることになる。ここで、ボクはナルミに

「山の中では、おんぶしてって言わない約束守ったよ」

「うん、守れたね」

「でね・・、約束守れたご褒美に、バス停まで、最後の10分くらいでいいので、おんぶしてほしいの」

「ええーっ、最後の10分って、もっとも疲れがたまってる、ムリよ」

「ボクたち2人の荷物は、3人が持ってくれるって」

「いつのまに、そんな話まとめてんのよー」

 ボクは、ナルミのリュックを隣の女子大生に、ボクのリュックは別の女の子に。ナルミは153センチくらいと小柄だが、ワンゲル部の山ガールだから、足腰は強い。未舗装ジャリ道をバス停に向かって歩いてるナルミに、ボクはそのまま飛び乗ったが、特に態勢を崩したりすることなくボクをおんぶして歩き続けてくれた。

 5~6時間の山歩きをした後の、疲労が積み重なってるところでの「女の子のおんぶ」というご褒美は、街中でのお洒落な女の子にしてもらうおんぶとは、別の種類の極上ロマン。ワンゲル女子ならではの安定感。とはいえ、そのワンゲル女子も、ボクと同様に5~6時間の山歩きをして疲れてる状態なのに、ボクを楽させて気持ちよくしてくれるために、70キロの男を背負って歩いてくれてる。

 バス停までの林道は、緩い下り坂なので、ワンゲル女子たちの歩調は意外と速くて大股、リズミカルだ。小柄なナルミとしては、けっこうな大股歩きのようで、乗ってるボクのところにも、その大きな歩幅をかんじさせる振動が伝わってくるのが、気持ちいい。未舗装のジャリ道のため、たまにジャリッ・ザザッという音とともにナルミがバランスを崩しそうになるも、安定している信頼感はそのまま。

 信頼感はそのままなのだが、このジャリッ・ザザッの揺れのたびにボクは両手でナルミの肩をギューッと握ることで、ナルミが小柄な女の子なんだよなー、ワンゲルで鍛えられてて強いけど、小柄なかわいい女の子なんだよなぁ、と、ボクの男心はキュンとしちゃう。

 歩みが速いので、樹間からのそよ風が気持ちいい。しかし、風を気持ちよく感じれてるのは、おんぶに乗ってるボクだけで、女子大生たちは、顔の汗をぬぐっていた。リュックを2人分担いでる女の子が、それだけでもそろそろ疲れがでてるのを見て、ボクをおんぶしてるナルミは、もっと大変なんだろうな、との想像はつく。リュックは2つで15キロ以下だろう、ボクは70キロ。

 そんなこと考えながら、おんぶ上からの景色を眺めていると登山口バス停にバスが止まっているのが見えた。すると、先を歩いていたワンゲル女子が、

「1本前のバスが遅れてたみたいでラッキー。1本前のに乗れるから急いで。コレに乗っちゃおうよ」と、我々に走るように促し、ワンゲル女子たちは、バタバタと走り始める。それに気づいて、バスは待ってくれる雰囲気がある。

 ナルミはボクに「おんぶのままじゃ走れないから、降りてよ」と。ボクは

「走れなくてもバス待っててくれそうじゃん、おんぶのまま行こう」と。

 バスまではあと20メートルくらいだったが、ナルミはもうふらふらで、バスの乗車口の手前で崩れ落ちてしまった。それまでおんぶしてもらって楽ちんさせてもらってたボクが、バスの乗車口でだけ、へろへろの女の子を抱え上げる善人役をやつてしまったのが、申し訳ない。バスの他の乗客は、このへろへろの女の子が元気な男をおんぶしていたなんて想像もつかないだろう。


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