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カウンセラーの前だと急に元気になること。何でか考えてみた


Th.の前で元気になるということ

以下のポストを読んでいる方も分かる通り、これは元気ではない。
2コマ目で「何の為に来てんだろ」と心を痛めているシーンがあるので。
考えたいことは2つ

  1. 元気でもないのに元気と言ってしまうのか

  2. 嘘をつくことの機能は何か

だと思う。ぱっと思いついたので、これらについて話す

なぜ元気でもないのに元気と言ってしまうのか


不安やら恐怖やらそんなことを思い浮かべる方も多いだろう。
私はざっくり不安だと思う。あとは信頼関係の構築が出来ていないとか

まず、不安というのは、

はっきりとした対象をもたない、漠然とした恐れと定義される

上島・上別府・平島(2007)

次に恐怖は

特定の対象をもつ不安である

上島・上別府・平島(2007)

説明に違和感ある気がする

文脈によるが、その恐れをコントロール出来ていない状態を指す場合もある。病的な不安ともなると、高頻度で起き、強度も高いためコントロールは困難である。

不安と恐怖の違いで重要なのは、読んでわかる通り、対象の有無だろう。

例えば、銃を構えた人が、自分に向けて発砲したらそれは”怖い”と思う。
不安とは言わないだろう。

例えば、将来のことを考えて、働けなくなったらどうしようと考えた時
恐怖とは言わないだろう。

話を戻すと
元気でもないのに元気と言うのは
本当のことを言ったらどうなるんだろうと不安になるからだと思う。

そしてその不安を生じさせているのは
話しても大丈夫という関係を構築出来ていないからである。

臨床心理学の世界では、ラポールの形成という言葉が使われる。

ラポールとは

心理療法場面の初期に形成され、全過程を通して存在し続ける、相互的・共感的・受容的な関係性のことであり、面接を継続しクライアントが防衛を解いて話したり自己の内面を見つ めることができるようになるために必要な関係性である。

斯波・佐野(2002)

という定義らしい。

カウンセリングの初期から終わりまで、カウンセラーと相談者の間にある
お互いに共感したり、話を受け入れられる関係性ということかな
もっと平たく言うと信頼関係(これは有識者に怒られるが)

要はこの関係性が出来ていないから話せないのではないだろうか。

リスカやODの話に、共感したり話を受け入れてくれるか分からない人に
その話をしたら、批判や強制入院させられるかも…と不安になり話せない。

みたいなことが起きてるのではないか
これが思ったこと1つ目


嘘の機能はなにか


まずは嘘の定義から

自分あるいは他人の不利益の回避・挽回のために、または新たな利益を獲得するために、相手に誤った理解・信念を生じさせるべく意図的に伝えられる虚偽

菊地・佐藤・阿部・仁平(2008)

ということらしい。
定義から考えるに、自己/他者の利益追求/不利益回避(合計4タイプ)を目的に、相手に誤った認識をさせるために、意図的に間違ったことを伝えることだと思う。

この中で、精神科医・カウンセラーの前で元気でないと嘘をつくのは
自己不利益回避のためだろう。
不安を解消するために、事実とは異なることを伝えて
それに言及されないようにする。そうすれば、このことで
恐れることは何もないという理屈だ。

ここで重要なのは、自己利益追求をしていない点だろう。
普通に考えれば、治療してもらうに越したことはない。

自己利益追求するのであれば、治すために必要な情報を
提供して、精神科医・カウンセラーと治療していくことが
望ましいだろう。
しかし、最初に書いたように病的な不安はコントロールが難しい。


嘘をつかないことが良いのは分かっていてもどうしようもないのだ。


終わりに


ポストを見る限り、治したいという意欲はあるものの
嘘をついてしまっているように見える。

同時に、2コマ目のように、言わなかったことへの罪悪感もあるようで
これも吐き出せず、抱えているのはかなり苦しいと思う。

嘘をつくことで不安は回避できても罪悪感は生まれてしまう。

この投稿はそれを解消するための1つの方法だろう。

共有することで、精神的な負担を減らすことも重要だ。
そしてインターネットには、共感したり話を受け入れて
くれる人も多い(逆の人もいるが)

その人たちと同じような関係を、精神科医・カウンセラーとも
築けると治療が良い方向に進むだろう(形成には、精神科医・カウンセラーの技量に依る部分もあるが)。


読んでくれてありがとう





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