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ECMOの適応は?【導入基準と除外基準について】

【疑問】

今回は、臨床や医学の勉強をしていて感じる疑問の一つ、

ECMOの適応は?

についてまとめました。VA-ECMO・VV-ECMOそれぞれの適応についてまとめていきたいと思います。

2種類のECMOについての解説はコチラをチェック


1.VA-ECMOの導入基準

まずは、VA-ECMOについての導入基準です。

まず前提として知っておかなければならないのは、

VA-ECMOはあくまで一時的なつなぎであり、次の改善策あるいは回復までのブリッジである

という事です。

すなわち、ECMOは生命を維持する装置であり、治療をするデバイスではないことを念頭に話を進めていきます。

【適応疾患】
  心肺停止・心原性ショック・心筋梗塞・肺塞栓
  劇症型心筋炎・偶発性低体温・中毒


上記が代表的な適応疾患となります。より厳密な導入基準は以下の通り

2の項目からわかるように、IABPを入れて粘るか、ECMOを最初から挿入してしまうかは施設によって異なります。

また、これらの適応疾患や基準についても絶対的なものではなく、現場の判断によって導入が決定されることもあるでしょう。

また、心停止に対するECMO導入についてはECPRと呼ばれ、それについても導入の基準が以下のように示されています

これらは、日本が世界に向けて発信した、院外心停止のECPRの有効性を調べたSAVE-J研究の導入基準で、世界でもECPRの導入基準として一定の評価を得ています。

ECPRについて学びたい方はコチラをチェック

2.VV-ECMOの導入基準

呼吸を補助するVV-ECMOの適応疾患としては、肺炎やARDS、肺挫傷などいわゆる肺の酸素化に異常をきたした疾患です。

VV-ECMOの場合、導入基準も大切ですが、一方で管理が長期化するため除外項目も重要になってきます。

まず、以下のMurrayスコアを計算したのち、

FiO2>0.9における死亡率を計算します。

この表のように、ECMO治療自体の死亡リスクを50%と仮定し、それを上回る死亡リスクがある場合が適応となります。

簡単に言うと、上手くいくか5分5分であるというのが前提となっているのですね。

3.引用文献

●INTENSIVIST Vol.5 No.2 2013 (特集:ECMO) 2013/4/17 讃井將満●ECMO実践ハンドブック〜世界標準の成人ECMO管理 2020/2/10 Alain Vuylsteke
●SAVE-J ガイドライン
●ELSO Guideline ver1.3
●東京医科大学 八王子医療センター 救急救命センター HP


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