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1995 タイ -20-

多分この辺だと思うので。と、タオ島からサムイ島へフェリーで渡り一緒に島巡りをしてくれた友人に別れを告げた。彼はレンタカーを運転して空港へ向かい、私は徒歩で1995年に滞在したハズのバンガローを目指した。

グーグルマップに導かれ、当時は無かった舗装された道をとぼとぼと歩く。記憶と現実がマッチしない。本当にここなのか?この先にあのバンガローはあるのか?

あった、あった、ありました。敷地内の様子などはリノベーションで変わっていたが、庭先にせり出している大きな岩が私の記憶を呼び覚ました。遂に、再訪を実現したのであった。

感動と共に、一晩の宿をお願いした。スイス人の夫婦は快く私を受け入れてくれた。本当に有り難い。何せ1995年と同じく、結果的に今回も完全なる無計画なサムイ島訪問となってしまった私を受け止めてくれたのだから。

勿論、当時のスタッフは誰も居ない。僅かながらに残されていた当時の面影。庭先の岩は正にそれだ。

当時私がお金に困り食事代が払えなかったにも拘わらず、ご飯を食べさせてもらっていた。せめてもの恩返しにと、自ら毎朝の清掃作業を手伝っていた共同トイレとシャワーの建屋は既に無く、部屋には所謂ユニットバスが据え付けられていた。温水さえ出る。

バイクを転倒させて同乗の女性を怒らせてしまい、その罰ゲームとして、私が食べさせられた鬼のように苦くて不味いナマズの肝。その女性と一緒にナマズを食べた高床式の小屋も無かった。

食堂で出されるメニューは、今はとてつもなくオシャレなラインナップに変わっていた。
メニュー名は忘れたが、チーズをふんだんに使っていて味は本格的だ。

ワインも料理も物凄く美味しい。が、何か物足りなさを感じるのは当時の記憶を辿りたかった私のエゴだろう。

部屋もすっかり清潔で快適になっている。

当時は油断すると部屋にはアリがやってくる。壁は隙間だらけだったから、蚊の往来も自由。もちろんエアコンも無かった。食べ残しをそこらに置いたときは言うまでもなく、自家発電(失礼!)した後処理のティッシュを捨てたゴミ箱にさえもアリが行列をなしているのを見て戸惑ったことも記憶している。

再訪の夢は叶ったけど、本当に来た方が良かったのかナ。なんと無く複雑な思いは禁じ得なかったが、また機会を見つけて遊びに来たいと思えるとても素敵なバンガローであることは間違いない。

再訪というのは、常にこんな感じで甘酸っぱい思いがするのかも知れない。人との再会とは違って。

Roestiland
Maret, Ko Samui District, Surat Thani 84310
089 908 7683
https://maps.app.goo.gl/8GeSN3AJCbx2h4jP6

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