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【海外Standard】 Control RillaBox

0. はじめに

こんにちは,DalSegnoと申します.今回で記事の執筆は2回目となります.本構築記事は全文無料でお読みいただけます.

今回は海外Standard(~Shining Fates)及びLimitless Online Series(以下LOS)において使用していたControl RillaBoxについて,納得のいく構築が出来たので備忘録として残そうと考え記事を執筆致しました.

この構築を使用した主な大会成績は以下の通りです.

・LOS Weekly #1731st of 313(6-2-0)
・LOS Weekly #2058th of 236(4-2-0 drop)
・LOS Weekly #2114th of 350(6-2-0)
・Il Covo di Weavile #21st of 144(9-1-1)

・LOS Ranking 158th(14pt)

LOSでこそなかなか勝ち切れずTop Cutに残ることが出来ませんでしたが,参加者144人規模の大会ではSwiss 6-1-1,Top8 3-0で優勝することが出来ました.各大会のマッチアップ等は以下のLimitlessリンク先よりご覧いただけます.

今回も長くなりますが同じリストを使用している人はまだ見かけていないため興味がある方は是非ご覧下さい.またこの記事は自分の備忘録用として書いているため読みにくい点や略称を用いているところが多くございます.ご了承下さい.

また今回はLOSのADP禁止の特殊レギュレーションを強く意識して作成したリストですので合わせてご理解頂ければ幸いです.

1. 環境考察

ViVid Voltage環境ではDarkness Ablaze環境の中心にいたアーキタイプにセキタンザンVMAX(以下CoalossalVMAX)が加わり,Crushing Hammerが多くのアーキタイプに採用される傾向にあったと感じています.LOSではアルセウス&ディアルガ&パルキアGX(以下ADP)が禁止カードとして設定され,通常の海外Standard環境とはまた違ったメタゲームを体験することができました.

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(引用:Limitless LOS Metagame)

ADPのいない海外Standard環境ではEternatusVMAXを中心にCoalossalVMAXやCentiVMAXのVMAX軸,VMAX軸に対して強めなLucmetalZ,マッチング時点で負けが確定するような不利対面の少ないHammer Pikaromの使用率が高い傾向にあります.

またオルタージェネシスGX+によって不利なサイドレースを強いられない影響からwithout ruleのポケモンを軸にしたアーキタイプも多く,Mad Partyや弱点上有利が取れやすいExcadrill,Cinderace(without rule),Decigoon,Control系統も無視できない程度に存在していました.

またblownsやWelder Mewtwoなどの炎系統はTool Boxのような形で融合し,より洗礼されたリストが出回り始めました.最終的なVivid Voltage環境(BAN ADP)の中心はblowns tool boxだと言って差し支えないと思います.

環境中盤には新弾Shining Fatesがリリースされ,新規のAmazing PokemonやCrobatVMAXを軸とした新しいアーキタイプが登場しただけでなく,EternatusVMAXにおけるGalarian Weezingの採用率が増加するなど既存のアーキタイプの採用カードにも影響を与えました.Shining Fatesは環境を大きく変化させるまでには至らなかったものの,従来のアーキタイプ間の相性関係や構築段階で意識すべきことに変化を生み,環境の複雑さを後押ししたように感じます.

以上が環境に存在した主なアーキタイプとそれぞれの立ち位置および考察でした.ここから分かるように海外Standard環境・LOS環境ではADPこそ禁止カード入りしたものの依然として意識すべきアーキタイプが非常に多く複雑な環境であると言えます.

意識すべきアーキタイプが多いほど単純なタイプ相性でのメタはあまり有効ではありません.また技のダメージを通らなくなる特性や技を持ったポケモンが環境に一定数存在するため,多くのアーキタイプにも少なからず「勝てない相手」が存在しているように感じました.

そのためどのマッチアップでも詰まず事故も起こりにくい安定感の高いアーキタイプを基軸にし,不利なマッチアップでも序盤のサイドレースは諦め中盤以降で相手への妨害を絡めながら捲っていくことのできるギミックを構築に組み込むことができれば多くの相手に対して勝てる可能性を残しながら戦うことができるのではないかと考えました.

2. 妨害要素を組み込んだデッキタイプの歴史と妨害要素の考察

サイドを取るアーキタイプでありながら終盤の妨害に寄せた構築は伝統的に一定数存在してきました.記憶に新しいものだとUMシリーズ後期に存在したZoroark GXやSwShシリーズで一時期数を増やしたCentiVMAX Controlなどが挙げられます.
注意)「Zoroark GX」をアーキタイプ名,「Zoroark-GX」をカード名として表記

参考動画:Zoroark GXの参考動画及び参考デッキレシピ

□ Zorark GX
前者はZoroark-GXの特性とりひきで手札を増やしつつダメージを与え,Zoroark-GXが倒されたタイミングでPercian-GXの特性キャットウォークから相手の手札にアタックするカードを手札に加えます.相手の動きを止めているうちに相手のポケモンを倒しきるプランで戦います.

また技リソースマネジメントを持ったヤレユータンでこちらのリソースを管理をしながら相手のリソースを枯らし,相手のリソースが切れたタイミングでクチナシからビートダウンに切り替えていくタイプなども存在します.このタイプは相手のLOを狙うこともできる一方で長期戦になることが多いためBO1には不向きなデッキでした.

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参考デッキリスト:LOS Weekly #3より引用

□ CenitVMAX Control
後者はCentiVMAXを軸とし,山札を引ける特性を持ったポケモンとして特性あぶりだすのエンニュートを採用しています.このアーキタイプもZoroark GXと同様CentiVMAXでダメージを与えながら相手にサイドを取られたタイミングで相手の手札にアタックしつつビートダウンしていくプランで戦います.

Zoroark GXと異なりエンニュートの特性が炎エネルギーが手札にないと使えない点,溶接工やムサシとコジロウ,ボスの指令と1ターンに打ちたいサポートが多い点,Percian-GXのようなサーチ特性を持つポケモンはいない点など,相手の妨害を達成することに関してやや不自由なところはありますが,CentiVMAX単体のカードパワーが高いところは魅力的なデッキタイプです.


これらのアーキタイプに共通している点はメインアタッカーとなるポケモンが技を打つために必要なエネルギーを容易に準備できるという点です.Zoroark GXではアタッカーがダブル無色エネルギーもしくはトリプル加速エネルギー1枚で技を打つことができ,CentiVMAXは溶接工のおかげで1ターンに複数枚のエネルギーを盤面に溜めることが出来ます.

またリセットスタンプはどのアーキタイプにも採用され得る汎用的な妨害カードであるため,自然と構築に組み込むことができます.またムサシとコジロウもサポートカードであるため比較的任意のタイミングで使いやすく,採用枚数も少なくて済みます.そのためサイドを取りきることを目標としたアーキタイプにはリセットスタンプ+ムサシとコジロウを用いて相手の手札にアタックするギミックが採用しやすいのではないかと考えました.

3. 構築のスタート

2020年12月22日に開催されたPTCGO上のオンライン大会,Hegster Season3-#16 (参加者209人) においてCoronelzeta氏がゴリランダーのエネ加速を主軸としたアーキタイプであるRillaBoxを使用してTop4に入りました.

また,12月29日に開催された同大会Season3-#17 (参加者250人) ではAzul氏が同じデッキタイプのRillaBoxを使用し同じくTop4に入りました.この大会をきっかけにRillaBoxの強力なリストが出回り,以下のリストがRillaBoxの構築研究の叩き台となりました.

*上画像:Coronelzeta氏のDeck List
*下画像:Azul氏のDeck List
(引用:Limitless下記リンク先)

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4. RillaBoxの強み

RillaBoxの強みとして以下の点が考えられます.

1. 後攻1ターン目にタッグコールから安定して動くことが出来る
このアーキタイプは後攻1ターン目にモクロー&アローラナッシーGX(以下EggRow)の技スーパーグロウでサルノリをゴリランダーに進化させることが理想的な動きとされています.

そのために必要なカードである「EggRow」「サルノリ」「入れ替えカード」の3枚は,タッグコール及びタッグコールから手札に加えられる「グズマ&ハラ」を用いて手札に加えることができます.必要なカードがタッグコール1枚で要求札が少ないため,後攻1ターン目の理想的な盤面の再現性の高さが非常に魅力的です.

2. ゴリランダーの特性のおかげでCrushing Hammerへの耐性が高い
海外Standard環境はCrushing Hammer環境と評されるくらい多くのアーキタイプからCrushing Hammerが飛んでくる可能性があります.ただRillaBoxではゴリランダーの特性で1匹につきエネルギーを2枚エクストラに加速することが出来るため不意のCrushing Hammerから技を打てないターンを作られる可能性が低いです.

3. サイドの「3-2-2」の押し付けが強力
RillaBoxは基本的に序盤から終盤までアタッカーが決まっています.

序盤:EggRow GX(サイド3枚)
中盤:DubwoolV(サイド2枚)
終盤:DubwoolV(サイド2枚)

EggRowはTAG TEAMであるため,きぜつしたときに相手にサイドを3枚取られてしまいます.しかし次のアタッカーをきぜつしてもサイドを2枚しか取られないアタッカーにすることで「3-2-2」もしくは「3-2-3」のサイドプランを相手に押し付けることが出来ます.

DubwoolVは相手に取られたサイドの枚数毎に技のダメージが大きくなる少し変わったポケモンです.耐久面はタフネスマントをつけると特性込みで280ダメージまでは耐えることができ,攻撃面では相手の残りサイド枚数が3枚の時は210ダメージ,相手の残りサイド枚数が1枚の時には270ダメージものダメージを出すことが出来ます.

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そのため相手はEggRow1匹と中盤以降にTAG TEAMに負けないパワーを発揮するDubwoolV2匹の相手をする必要があり,非常にコストパフォーマンスの悪いサイドプランを通らなければなりません.

またこれら2種類のアタッカーはどちらも攻撃に必要なエネルギーが3枚であり,手張りとゴリランダーの特性を合わせて1ターンで起動させることが出来ます.全てのアタッカーを簡単に育てられる点,先に3枚のサイドを与えることでよりよい条件のDubwoolV2体を押し付けられる点でRillaBoxは非常に優れていると言えます.

5. Control RillaBoxのアプローチ

・相手の手札を0枚にしてバトル場のDubwoolVを無視できなくする
・タフネスマント付きDubwoolVで相手の攻撃を耐えながら大ダメージを与える

この2つがここで紹介するControl RillaBoxの大きな軸となるアプローチです.

前述のようにRillaBoxの強みの一つとして中盤以降に高耐久・高火力のDubwoolVを2体相手に押し付けることで場を制圧していける点を挙げましたが,逆に言うとその強みは相手のボスの指令で簡単に崩壊します.

そのため終盤にリセットスタンプを用いて相手の手札を減らし,次の相手の番に相手がボスの指令を使える確率を下げることでバトル場のDubwoolVを無視できない状況を作ることを目指しました.

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しかし相手が上手なプレイヤーであればリセットスタンプに強い山札を作ってくるため,例えリセットスタンプで相手の手札を1枚にしても経験的にクイックボールから解決されてしまうことが多いように感じました.

そのためリセットスタンプと同時にムサシとコジロウを使用することで相手のサイド枚数が2枚以下のときは相手の手札を0枚にでき,解決札となれるカードを大幅に減らすことにしました.

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RillaBoxではポケモンが技を打つために必要なエネルギーの準備が簡単です.つまりポケモンを育てるために山札から引いて来なければいけないカードの枚数も少なくて済み,サポート権を相手の妨害に割くことができます.そのためリセットスタンプ+ムサシとコジロウのギミックを達成することができ,相手がDubwoolVを無視できない盤面を作ることができます.

4つ目のセクションにも書いた通り,タフネスマントをつけたDubwoolVは最大で280ダメージまでの攻撃を耐えることができる耐久力を持っています.これは相手の盤面のみで完結する最大打点を考えたとき,ほぼ全ての攻撃を耐えることができると言える耐久力です.

ここでの「相手の盤面で完結する最大打点」とは,相手の手札が0枚になったときに相手が手札からカードを1枚も使わずに出すことのできる最大ダメージを意味します.CentiVMAXのように条件次第では280より大きなダメージを出すことのできる青天井系のポケモンも存在しますが,GX技や青天井系の技を持つポケモンを除くとEternatusVMAXの技ドレッドエンド 270ダメージが最大ダメージではないかと思います.ReshiZardのげきりんは特定の条件下で280ダメージを超えることもありますが,ReshiZardにおおきなおまもりが付いていることが必須条件であるためかなり限定的なシチュエーションであると言えます.

6. Control RillaBoxの流れ

Control RillaBoxでは相手がどのアーキタイプであれ,基本的なゲームの流れは変わりません.具体的には以下の通りです.

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この限りではないパターンとして vsDecigoon,vsControlが挙げられます.

□ vsDecigoon における基本的な戦い方
Decigoonはサポートカード メイを起点にゲームを組み立ててきます.そのためゲーム序盤は相手のポケモンを倒そうとせず,スーパーグロウからゴリランダーを2匹育てることが理想的な動きです.このゲームにおけるゴリランダーはアタッカーも兼ねているためかなり大切に扱う必要があります.

万が一相手がメイを使わずにジュナイパーを育ててきた場合に備えてミュウをベンチに出しておけていると安心です.またサルノリを不用意にベンチに並べると相手のボスの指令から倒されてしまう可能性もあるので,スーパーグロウで育てるサルノリだけをベンチに準備しそのターンにスーパーグロウで育てないサルノリは次のターンにベンチに並べましょう.

基本有利なマッチですが上手なプレイヤーはガラルタチフサグマの特性も利用してゴリランダーをジュナイパーの攻撃圏内に入れようとしてきます.マオ&スイレンの回復も利用しながら耐久しつつ戦いましょう.
□ vsControl における基本的な戦い方
Controllは基本的にEggrowとゴリランダーの2匹で戦えばエネルギーの供給が容易であるため常に技を宣言することができます.Control側も特殊状態を用いてこちらのテンポを遅れさせてきますが,アタッカーが混乱していてもコインを投げていっていいと思います.

一方で相手のクチートGXの特性でクロバットVのような攻撃できないポケモンがバトル場で縛られてしまった場合はゴリランダーの特性で逃げエネを供給してやる必要が出てきます.またマオ&スイレンで交代→ワタシラガVの技で山札に戻る→ワタシラガVの特性でマオ&スイレンを再利用というループも出来るため詰むことはあまりないと思います.

ゴリランダーというポケモンのおかげであらゆる「詰ませ系統」のデッキに対して柔軟に戦っていける点もこのアーキタイプのよさだと思います.

また上記以外のアーキタイプの場合でもバトル場のEggRowを無視してゴリランダーが優先して倒されることがあり,その場合基本的なゲームプランが崩されてしまいます.ゴリランダーが先に倒されるとゲーム展開が苦しくなることが多いですが「1-2-3」でサイドを取られないように注意しながら戦えばすぐに負けることはありません.

経験的に「1-2-2-3」のサイドプランを押し付けるのが強く,2匹目のゴリランダーを手札から育てて相手がサイド1枚のタイミングでリセットスタンプと合わせてトロピカルアワーGX+を打つことができれば多少不利な展開でも返すことができます.基本となる戦い方こそ決まっていますがゴリランダーが場にいるだけで様々な選択肢が取れるようになるため,不利な状況でも落ち着いて勝ち筋を探しましょう.

7. デッキリストと各カードの採用理由

デッキリストは以下の画像をご参照ください.

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・モクロー&アローラナッシーGX(2):構築の根幹になるポケモン.最初のターンに必ず技が打ちたいポケモンなのでサーチ手段を豊富に入れています.ゲームで1匹しか使わないことが多いのとサイド落ち考慮で2枚採用ですが,序盤に必ず必要なので3枚入れたい気持ちもあります.ただ枠の関係上3枚目の優先度はかなり低いためこの先も2枚だと思います.このポケモンにエネルギーが3枚ついているということはいつでもトロピカルアワーGX+が打てることを意味します.そのため相手は常に盤面のエネルギーが全て山札に戻る可能性を考慮しながら対戦する必要があり,窮屈なプレイングを強いられます.トロピカルアワーGX+が打てる状態でもあえて打たず我慢することも重要な選択の一つです.

・サルノリ(3):スタートしても1エネで逃げてモクロー&アローラナッシーGXに繋げるため3枚の採用です.サルノリは複数種類カードが存在しますが,HP70のサルノリが必須だと思っています.HP70を採用する1番の理由は,炎系統に先行を取らさせられた時にHP60サルノリだと後攻1ターン目にReshiZardのげきりんで倒される恐れがあるからです.実際にそのような状況になることは稀かもしれませんが相手に本来与える必要のない選択肢を与えている時点で強くないため妥協すべきではないかな,と思います.HP70の色違いサルノリはどこ...

・バチンキー(2):サルノリ同様複数種類カードが存在するポケモンです.Shining Fates で新たに特性とちかんを持ったバチンキーが登場しましたが,今回は上技で相手のベンチポケモンを引っ張り出せるバチンキーを採用しました.この構築はハンデスのギミックが採用されているため,相手の手札を減らしたターンに逃げにくくかつエネルギーの付いていないポケモンを呼び出すことができれば相手のデッキトップ次第では数ターン作り出せる可能性があります.またスタジアムに混沌のうねりを採用しているため場にスタジアムが出ていない状況もそれなりの頻度で存在し,特性とちかんが働かないことも多いのではないかと思いました.とはいえ実際は対戦にほとんど影響がないと思うので好きな方を採用したらいいと思います.サイド落ち考慮の2枚採用です.

・ゴリランダー(2):構築の軸となるポケモン.過去に1度AzulGG氏のセキタンザンVMAXと対戦したときに2枚ともサイド落ちして負けました.HP170が絶妙でウッウVのスピットシュートは耐えることが出来ますが,アーゴヨンGXのベノムシュートは耐えることが出来ません.LOSではADPが使えないため関係ないですが,ADPと戦う時はゴリランダーに必ずおおきなおまもりを付けましょう.またチルタリスやジュナイパー,タチフサグマで詰まないアタッカーとしても非常に優秀です.サイド落ち考慮の2枚採用です.

・バイウールーV(2):この構築のメインアタッカーと言っても差し支えないポケモン.対戦中2枚使いますが試合終盤までにサイドから拾えればいいので採用枚数も2枚です.どうしてもサイドから拾えない場合は1匹目が倒されたタイミングでふつうのつりざおから再度用意することも出来ます.またゲームの中で3匹目のバイウールーVを使うことも考慮できるとゲームプランに選択肢が広がります.

□ 3匹目のバイウールーVを使う条件
条件①:勝つためにはこちらがあと2回攻撃する必要がある
条件②:2匹目のバイウールーVはダメージを負っている
条件③:相手のバトルポケモンは2匹目のバイウールーVを倒すことのできるダメージは出せるが,240以上のダメージは出せない.

以上のような条件下ではふつうのつりざおから3匹目のバイウールーVを準備し,ダメージを負ったバイウールーVを逃すことで次の相手の攻撃をもう一度耐えることができ,1ターン生み出すことが出来ます.

・オドリドリGX(1):この構築の特徴的なカードの1枚.理想的なゲーム展開を作る上でどうしてもこちらのポケモンが倒された次の番に引きたいカードが多いため,それを補助してくれる役割を担っています.またキャプチャーエネルギーから場に出せるため条件次第ではキャプチャーエネルギーが3枚ドローに繋がる点も優秀です.クロバットVの特性ナイトアセット使用したあとでオドリドリGXの特性たむけのまいを使うと手札が9枚になるまで山札を引くことが出来ます.とても便利で強いカードですが無人発電所の影響を受けてしまう点だけは注意が必要です.

・クロバットV(2):クイックボールやポケモン通信からサーチできるドローソース.デデンネGXと違い手札をキープしながら山札を引くことができる点,グレートキャッチャーで呼ばれない点,160・170ダメージのベンチ狙撃技で倒されない点など,この構築ではクロバットVを優先する理由がいくつもあります.基本的にはモクロー&アローラナッシーGXが倒されたタイミング,1匹目のバイウールーVが倒されたタイミングの計2回でリセットスタンプを山札から引いてくるために使用したいです.ただ序盤にどうしても手札が芳しくないときの保険にもなるため,精神衛生上とても助けられるカードです.

・ワタシラガV(1):クイックボールからサーチできるバトルサーチャー.この構築は特徴的なサポートカードが採用されているためそれらが任意のタイミングで使えるように採用しています.またゴリランダーのおかげで技が打ちやすい点も優秀です.相手のピッピ人形に対して技を使うことで,ピッピ人形を倒しながらワタシラガVの再利用が出来るようになります.ベンチスペースの関係上,ゲーム中で1匹しか使えないので採用枚数も1枚.

・ミュウ(1):特性ベンチバリアで味方のベンチポケモンを相手の狙撃から守ってくれるサポートカード.調整段階の終盤で構築に入ってきたカードです.数回の大会参加を通してHammer Pikaromに対して常にタッグボルトGX+を警戒しながら立ち回るのが非常に窮屈に感じた点,blowns戦の終盤に相手のサイドが1枚になったタイミングでウッウVを用いてバトル場のバイウールーVを無視してサイドを取られる点が弱いと感じ採用に至りました.ミュウを採用したことで勝率の安定しなかったPikarom系統に対して安定して勝てるようになったため採用してよかったと思います.

・ふつうのつりざお(2):リソース管理を楽にしてくれるとても便利なカード.特にLucmetalZに対して安定して勝つためには特にこのカードの使い方が重要です.トラッシュのエネルギーを山札に戻すだけでなく,序盤に博士の研究でトラッシュしてしまったクロバットVやワタシラガVをゲームの中盤以降で使うために山札に戻すことが出来ます.また特殊な条件下での使い方として以下のような例もあります.

後攻1ターン目にスーパーグロウからゴリランダーを育てたいとき,

条件①:バチンキーが1枚サイド落ち
条件②:手札に唯一のバチンキーが来てしまっている
条件③:手札にはクイックボールとふつうのつりざおもある

バチンキーをクイックボールの効果でトラッシュし,ふつうのつりざおで山札に戻すことでスーパーグロウの進化先が山札の中にいる状態が作れる

かなり限定的な条件下ですが実際に何度かこの状況になったことがあるので覚えておくといいかもしれません.

・ポケモン通信(2):序盤の安定感を底上げするためのカード.元々は4枚採用していましたが進化先を持ってきたいことがほとんどなかったり,序盤ベンチポケモンを複数体準備するために使いたいのにあまり上手く機能しなかったりと使用感があまりよくありませんでした.逆に不必要に手札にかさばることが多く,序盤にポケモンを準備するためのカードとしてはタッグコールの方が優秀であることから最低限の2枚採用に落ち着きました.タッグコールでモクロー&アローラナッシーGXを2枚手札に加えながら,1枚をポケモン通信で任意のポケモンに変換する動きが便利なので覚えておくと役に立つかもしれません.

・クイックボール(4):序盤の安定感を支えてくれるだけでなく,クロバットVやワタシラガVにも繋がるカードであるため文句なしの4枚採用です.モクロー&アローラナッシーGX,サルノリ,バイウールーV,オドリドリGX,ミュウは極力キャプチャーエネルギーでベンチに展開し,クイックボールはゲームの後半のために温存できると終盤で理想的な動きを達成できる可能性が高まります.

・リセットスタンプ(3):このカードの構築のコンセプトとも言えるカード.とにかく強いので3枚採用です.3枚あるからとはいえ雑に使っていいわけではなく必要なタイミングで使うことが求められます.博士の研究などで止むを得ずトラッシュする場合は山札にあと何枚残っているかをきちんと確認しておきましょう.クロバットVやワタシラガVとは違いトラッシュから回収出来ないのに終盤必要になるカードであるため,常にあと何回リセットスタンプが打てるかを意識してプレイするといいと思います.使いたいタイミングで使えないと負けに直結するくらい重要なカードです.

・ポケモン入れ替え(2):タンデムショックの麻痺を含む状態異常のケアや序盤に手札にあると安定感に繋がるカードとして採用しています.このリストはポケモンを展開するカードが多く採用されています.またそれぞれの番にバトル場に出て行くポケモンが決まっていることから事前に次のアタッカーを準備することが容易にできます.そのためポケモン入れ替えを効果的に使える場面が少ないと感じ採用枚数を2枚に抑えました.代わりにマオ&スイレンが採用されていたり,マオ&スイレンを手札に加えるためのタッグコールが2枚採用されていたりと「逃げる以外でポケモンを入れ替える」という行動を達成するために必要なカードは最低限枚数が確保されているため不自由に感じたことはあまりありませんでした.

・タッグコール(2):最初の手札にあると嬉しいカードなので採用しました.一方でグズマ&ハラ,シロナ&カトレア,マオ &スイレンの2枚目,モクロー&アローラナッシーGX以外のTAG TEAMポケモンが採用されている訳ではないため必要最低限の2枚採用としました.タッグコールの採用枚数とグズマ&ハラの不採用が他のRillaBoxと異なっておりControl RillaBoxの特徴的な点だと思います.グズマ&ハラの不採用理由に関しては不採用カードのセクションで具体的に言及しようと思います.

・混沌のうねり(1):1枚でスタジアムカード2枚を破壊できる性能を持つスタジアム.無人発電所やワンダーラビリンス♢,ブラックマーケット♢などのスタジアムを牽制したいので採用しています.本当は2枚採用したいですが枠の関係で1枚.もし新たに枠が生まれたらここを1枚増やしたいです,と前回のNoteでも書きましたが今回も全く同じ気持ちです.

・ボスの指令(2):相手の任意のベンチポケモンを呼び出せる強力なカード.アーキタイプによっては4枚採用されることも多いカードですが,Control RillaBoxでは使いたいサポートが多く,終盤にワタシラガVも含め1~2回使えれば十分なので2枚採用です.

・ムサシとコジロウ(2):Control RillaBoxのコンセプトカードのうちの1枚.主に終盤,リセットスタンプと合わせて相手の手札を0枚にするために使います.また相手のLucMetalZが追加効果付きマオ&スイレンで手札を減らしながら攻撃して来たときは,相手の手札枚数がかなり少なくなっていることが多いためゲームの序盤であっても使うことがあります.このカードがなければ勝てなかったマッチがほとんどで運の要素を可能な限り低く抑えてくれるため採用してよかったと思いました.

・マオ&スイレン(1):タッグコールからサーチできる入れ替え手段で後攻1ターン目のスーパーグロウの安定感を上げてくれます.スーパーグロウはモクロー&アローラナッシーGXがバトル場に行く必要があり,技を打つターンにバトル場にバイウールーVがいるとポケモンを入れ替える手段が必要になってしまいます.マオ&スイレンはタッグコールを使うことでモクロー&アローラナッシーGXと共に手札に加えられるという点で非常に優れています.また追加効果ありで使うとバトル場のポケモンをベンチに下げながらHPを120回復することができますが,序盤はサイドを取らせる方が強いことが多いためあまり使う機会はありません.それよりも相手のボスの指令でゴリランダーが縛られたときに使用する,サポート権を消費した高級ポケモン入れ替えくらいの立ち位置のカードとして採用しています.

・マリィ(3):SwShシリーズの代表的なドローソースその1.相手の手札に干渉したいときやリソースを温存したいときに使いたいカードです.またControl RillaBoxでは「相手の手札に干渉する」ことは他のアーキタイプよりも重要な意味を持ちます.相手は手札の枚数が減ってしまうと場のポケモンを育てるためにカードを山札から引いてくる必要があり,1ターンに1回しかないサポート使用の権利をドローソースに回す,もしくはデデンネGXやクロバットVでベンチを埋める必要があります.これによりControl RillaBoxのコンセプトである「バトル場の高耐久ポケモンを相手に押し付ける」ことが達成されやすくなり,こちらの狙ったゲームプランに持ち込みやすくなります.

・博士の研究(4):SwShシリーズの代表的なドローソースその2.通常のRillaBoxではドローソースはマリィ4枚とシロナ&カトレアのみであることが多く,博士の研究を採用しているRillaBoxそのものが非常に稀です.博士の研究の主な採用理由はドローソースによるゲーム序盤からの山札の圧縮です.この構築ではゲームの終盤に絶対にリセットスタンプを山札から引いてきたい場面が存在します.その達成のためにクロバットVやオドリドリGXが採用されていますが,1ターンで山札を引ける枚数には限りがあります.限られたドロー枚数で確実にリセットスタンプを手札に引き込むためには事前にある程度山札を圧縮しておく必要があります.マリィ4枚とシロナ&カトレアでは山札の圧縮という,Control RillaBoxのゲーム序盤の目標が達成されにくいです.そのため序盤はできる限り博士の研究を使用し,山札の圧縮を目指しましょう.

・おおきなおまもり(1):全てのポケモンの耐久力を上げることのできるどうぐ.理想の付け先はモクロー&アローラナッシーGXですが,バイウールーVに付けるためのタフネスマントがサイド落ちしていたり手札に引き込めなかったときの妥協案として付けることもあります.序盤でモクロー&アローラナッシーGXに付けられるとムゲンダイナVMAXに有利になれるため,本当は2枚採用したいカードですが枠の関係上余裕がないため採用枚数は1枚です.

・タフネスマント(2):GX以外のたねポケモンのHPを50も底上げできるほぼバイウールーV専用カード.ムゲンダイナVMAX戦では2匹のバイウールーV両方に付けたいため2枚採用しました.このカードのおかげでバイウールーVの実質耐久が290になり,170ダメージまでの技なら2回攻撃を耐えられるようになります.バイウールーVの場持ちをとてもよくしてくれるカードです.

・キャプチャーエネルギー(4):無色エネルギー1枚分の効果に加え,たねポケモンを山札からベンチに展開できるすごい特殊エネルギー.全てのアタッカーが技を打つためのエネルギーの一部をキャプチャーエネルギーでまかなえるため,非常に噛み合いがいいカードです.最初の手札にあればスーパーグロウまでの要求値がグッと低くなるため最大枚数の4枚採用しました.またモクロー&アローラナッシーGXのトロピカルアワーGXに必要なエネルギーは草草草ですがトロピカルアワーGX+を打つために必要なエネルギーは草草草無無無です.そのためキャプチャーエネルギーが付いている3エネモクロー&アローラナッシーGXでもトロピカルアワーGX+を打つ準備は出来ていることを覚えておきましょう.

・基本草エネルギー(9):ゴリランダーの特性で山札から加速できるため可能な限り多めに入れたいですが,キャプチャーエネルギーを多めに採用したためベーシックな枚数である10枚より1枚少ない9枚で妥協しました.ふつうのつりざおで回収できるからといって必要以上にトラッシュしすぎると最終的にエネが枯渇したりふつうのつりざおが引けず次のアタッカーが準備出来ないということにもなりかねないので常に残り枚数に気を付けてプレイしましょう.

8. 不採用カード

・ミュウツー&ミュウGX:相手のミュウツー&ミュウGXに対して弱点が付けます.しかしサイドの渡し方が非常に効率が悪くなる上に相手にも弱点を突かれます.炎軸相手にも少しだけ楽が出来ますが,メリットよりもデメリットの方が大きいと判断して不採用になりました.

・シェイミ♢:一般的なRillaBoxほぼ全てに採用されているカードですが,Control RillaBoxのサイドの渡し方においてシェイミ♢をアタッカーとして使うタイミングがないので不採用となりました.またキャプチャーエネルギーが多く採用されていることもあり一般的なRillaBoxよりも技のダメージに期待できない点やバトル場に出るアタッカーが決まっているため逃げ0要因を作る必要がない点も不採用の理由です.

・デデンネGX:クロバットVの方が構築との相性がよくベンチスペースもないため不採用になりました.Perfectionに寄ったプレシャスボールの採用される構築であれば採用検討の余地はあると思います.

・タッグコールの3.4枚目・グズマ&ハラ:一般的なRillaBoxの根幹となっているカードですが,これらのカードを軸とするメリットとデメリットを示していきます.

□ メリット
1. 4枚あるタッグコールのうち1枚が初手の7枚にあれば確実にスーパーグロウに到達できる
2. グズマ&ハラでふうせんを持ってくる必要がなければおおきなおまもりを持ってくることができ,ゲームの序盤からおまもり付きモクロー&アローラナッシーGXが用意できる
3. キャプチャーエネルギーの枚数を抑えられるため基本草エネルギーが多く採用できる
4. ウィークガードエネルギーを構築に組み込むことができ,サーチしやすい
□ デメリット
1. 2ターン目以降のサポートのパワーが弱く,山札の枚数が減らないため相手の手札干渉に弱くなる
2. 1ターン目にグズマ&ハラを打つことがほぼ確定しているためゲームの序盤から手札の消費が激しく2ターン目以降の選択肢の幅が狭くなる
3. 2ターン目以降のタッグコールの価値がかなり低くなる
4. タッグコール→グズマ&ハラから確実にスーパーグロウに繋ごうとするとふうせんを採用しなければいけない上に本来タフネスマントか最低限おおきなおまもりを付けたいバイウールーVにふうせんを付けなければいけないゲームが存在する

グズマ&ハラから展開していく構築は初手の安定感こそありますが,2ターン目以降消費してしまった手札を増やすためにクロバットVを使う可能性が高まってしまったり,シロナ&カトレアで2ターン目以降手札にあっても嬉しくないグズマ&ハラを回収しなければいけなかったりと無駄が多いように感じます.
一方で初手のスーパーグロウを達成するための条件について改めて考えてみると実はモクロー&アローラナッシーGXかサルノリのどちらかとキャプチャーエネルギーが1枚あれば達成できることがわかります.バイウールーVでスタートしてしまった時のみ追加でベンチポケモンと入れ替えることのできるカードが必要になりますがそこまで重たい条件ではありません.であれば初手のグズマ&ハラに固執せずに他のサポートカードを使う選択肢を持たせつつ,キャプチャーエネルギーを手札に呼び込みやすいよう最大枚数採用すれば,初手がグズマ&ハラ以外のサポートであっても安定してスーパーグロウを宣言することができるのではないかと考えました.以上の理由からグズマ&ハラは不採用とし,それに伴いタッグコールの枚数も必要最低限の2枚になりました.ただしグズマ&ハラから展開していく動きの1番メリットとして,ゲーム序盤におおきなおまもりの付いたモクロー&アローラナッシーGXを準備できるという点があるため,ここに関してはまだ研究の余地があると思っています.

・シロナ&カトレア:タッグコールの枚数を絞っているため効果的に使える場面が少ないと思い不採用になりました.またゲームテンポの早い対戦が多くシロナ&カトレアを使う余裕がないことやワタシラガVの特性を効果的に使うためにトラッシュにサポートを置いておきたいという点も不採用の理由です.

・ワンダーラビリンス♢:グズマ&ハラ型ならぜひ採用したいスタジアムカード.キャプチャーエネルギーのついているモクロー&アローラナッシーGXはワンダーラビリンス♢下でもスーパーグロウが打てるため一方的に相手が技を使うための要求値を上げることができます.がグズマ&ハラ型ではないので当然不採用です.

・ウィークガードエネルギー:このカードもグズマ&ハラ型ではないことから効果的に使えないため不採用です.環境に多いWelder軸の構築に対してモクロー&アローラナッシーGXの弱点を消すことができますがそもそもバイウールーVを軸として戦うため,相手が炎であることへの弱点上のデメリットは少ないです.おそらくグズマ&ハラ型でも採用しないと思います.

9. 最後に

かなり長くなってしまいましたが書きたかったことは以上になります.この構築のアイデアは2021年1月上旬ごろから存在していて数ヶ月かけて少しずつ煮詰めることができたのでよかったと思います.

LOS MajorというBO3でSwissを戦う大型の大会では3-3dropと,結果が振るわなかったのでBO3形式には不向きな構築である気がしています.またLOS Weekly #21では最終戦のCentiVMAX戦で致命的なプレイングミスをしてしまい,勝ちが確定していた試合を落としてしまいました.最終戦の敗戦が原因でTop Cutを逃してしまったため,かなり悔しい思いをしましたがそれが今の実力だと認めまた精進しようと思います.

メインの記事はここで終了となりますが最後におまけとして,先日優勝することのできた Il Covo di Weavile #2 (ADPに加えCrushing Hammerも禁止カードとして設定された特殊ルール)におけるメタゲームの事前考察とそれに伴うデッキリストの微調整について書きましたので興味がある方はぜひご覧ください.

また記事を読んだ上で疑問・質問があればコメントいただけましたら対応させていただくのでお気軽にどうぞ.それに伴い必要があれば適宜修正・加筆を行います.

ここまで読んでいただき本当にありがとうございました.では良きPTCGOライフを.

10. おまけ(BAN ADP and Crushing Hammer)

2021/3/7に Il Covo di Weavile #2(参加者144人)が開催され,ルールがユニークだと感じたため参加しました.

Format:Standard
Suspended Cards:Arceus & Dialga & Palkia GX,Crushing Hammer

Ban ADP and Crushing Hammer ルールです.基本的にはBan ADPを採用しているLOS環境がベースになりますが,Ban Crushing Hammerによって相対的な強化を受けて数を増やすアーキタイプを理解し,またそのアーキタイプに強いアーキタイプと弱いアーキタイプを整理することで新たにメタゲームを予測する必要がありました.

□ 環境予測
Crushing Hammerが禁止されたことにより元々Crushing Hammerを苦手としていたEternatusVMAXが相対的に強化されました.これによりEternatusVMAXに勝てないアーキタイプは絶対数が減るか,存在しても途中でEternatusVMAXに敗北し上位には残らないことが予想されます.

数を減らすアーキタイプの具体例としてPikarom,DragapultVMAX,Mad Party,blownsなどが挙げられます.blownsに関しては構築やプレイヤーの練度にも依存するため一概に不利とは言い切れませんが,主観とLOS Matchups DataからEternatusVMAX側が有利だと考えています.

一方でLucmetalZや闘タイプ軸の構築はEternatusVMAXに有利に戦えるため上位帯でのシェア率が高いと予想されます.特にLucmetalZはEternatusVMAXに相性上有利が取れるCoalossalVMAXに対しても有利に戦えるため非常にいい立ち位置にいます.大会全体で最も勝率の高いアーキタイプはLucmetalZであると考えられます.

[Swissでのマッチング予想]
EternatusVMAX(3),LucmatalZ(2),Fighting(CoalossalVMAX,Excadrill etc...)(1),Welder(1),others(1)

Total(8)

以上の環境考察を踏まえて実際にIl Covo di Weavile #2で使用したリストが以下のものになります.

画像11

□ LOSで使用したリストからの変更点
・ミュウ→おおきなおまもり(2枚目)

変更したカードは1枚だけですが非常に重要な変更でした.
環境予測で言及したようにLOSに比べてPikaromやblownsとマッチングする可能性が低いためタッグボルトGX+やウッウVの対策として採用していたミュウを不採用にしました.

代わりにEternatusVMAXと複数回当たる可能性が高いため,序盤からEggRowに付けられるようにおおきなおまもりの枚数を1枚増やしました.この変更のおかげで比較的序盤からおおきなおまもりを手札に引き込めたためよい変更だったと感じています.

当日の実際のマッチングは以下の画像の通りです.

画像12

実際はEternatusVMAXとはSwissで2回対戦しただけでしたがLucmetalZとは複数回対戦し,Top Cut 3戦は全てLucmetalZでした.

Top Cutで対戦した3名ともvsRillaBoxにおける立ち回りが徹底しており上手なプレイヤーでした.常にトロピカルアワーGX+を警戒し,場のエネルギーが全て山札に戻されてもすぐに復帰できるよう,メタルソーサーを温存しながら特性ふとうのつるぎでZacianVを育てていました.お互いフルメタルウォールGX+とトロピカルアワーGX+を牽制し合いながら戦っており,駆け引きがとても楽しいTop Cutでした.

以上が Il Covo di Weavile #2の考察・構築及び簡単な対戦レポートでした.ここまで読んでいただいた方は本当にありがとうございます.今月末には新弾が来るので環境が大きく変化することが予想され,今から楽しみです.この記事は新環境ごとに書きたいと思っているので次記事を出すとすれば3ヶ月後だと思います.また次回も読んでいただければ幸いです.

お疲れ様でした.では.


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