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【Vol.24】『モンスト』緒方雄一流・イラストで10年食っていく方法!

こんにちは
DRAW A LOT Collegeです!

DRAW A LOT Collegeはクリエイティブの仕事だけで、まだ生活ができていないクリエイターさんに『クリエイティブで飯を食う』きっかけを提供すべく生まれたプロジェクトです。
(詳しくはこちら↓)


今回はStage1の締め括り、第2回 特別講義の様子をレポートします。
講義のテーマはこちら!

テーマ:「イラストでまずは10年飯を食う!」


DRAW A LOT Collegeでは「自己のスキル・特性を活かす」ことに長けた、クリエイティブ界の第一線で活躍する講師をお招きし「College」でしか聞くことのできないオンラインセッションを開催しています。


今回の講師を務めてくださるのはこの方!

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緒方 雄一
漫画家、イラストレーターとして活動。
コロコロコミックやマンガワンなどで漫画の連載、アプリ『モンスターストライク』メインキャラデザイン。現在もゲーム会社に所属し、イラストチームのリーダーポジションで勤務中。最近ではNFTアートでも活動中。
(YouTubeチャンネル「緒方雄一のマンガ×イラスト塾」


1回目の講義では、イラストやキャラクターにまつわる仕事の豊富さについて学びました。今回の講義では、より具体的に「ではイラストを描く力で生きていくには?」という経験者でしか語れない内容をお話しいただきます。


■キャリアについて

エスカレーター式に大学まで進学した緒方さん。それまで「絵の練習をするなんてダサい」というような当時の世間の雰囲気もあり、絵の勉強は一切したことがなかったそう。

(緒方さん)
「自分のやりたいことって何かな」と考えたときに、「絵が描きたい」「漫画家になりたい」と思いました。
そこから大学の授業にも出ないで1年間漫画を描いて持ち込みをしました。そして、ありがたいことにデビューが決まって二年生で大学を中退しました。

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デビューが決まるまでの1年間、色々な漫画を読み、そのページを丸々トレースしていたそうです。

(緒方さん)
自分の戦略としては、絵が上手くないからギャグ漫画で笑わせたもん勝ちだろうと思っていました。だから、絵の練習はそこそこに持ち込みって感じでしたかね。
でも、色々な漫画を読んでページを丸々トレースしていました。絵をトレースするのではなく、コマ割り、構図、セリフをトレースするのですよね。そうすると、「このタイミングでボケが来てツッコミが入る」や「この構図でツッコミが入ると理解しやすいのか」ということの勉強になります。


毎月ペースで漫画を描き、持ち込みをしていた緒方さん。ギャグ漫画を描き始めてから8ヵ月で少年サンデー月例賞の努力賞を受賞します!

(緒方さん)
最初に持ち込みをしたときの担当さんにギャグ漫画のほうがよいと評価されたので、ギャグ漫画で描いていこうとなりましたね。賞を取るまでの間は毎月くらいのペースで描いて持ち込みをしていました。ギャグ漫画なので短くて、15ページでよかったので。

賞を取って、そのときに(次の月に持ち込みしようとして)描いていた漫画があったので、これをどうしよう、と。そこで読み切りとして載せようかという話になってデビューとなりました。そこから連載までは長かったですね。結局サンデーでは連載することはなかったのですが、ギャグ漫画を描いているので同じ小学館のコロコロコミックで連載をすることになりました。連載までは6年かかっています。20歳から26歳の頃です。でも「もうやめようかな」はなかったですね。

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■連載までの6年間 連載をした半年間

受賞してから連載が始まるまでに6年かかったという緒方さん。その間はどのように過ごしていたのでしょうか。

(緒方さん)
連載が決まるまでは『絶対可憐チルドレン』の椎名高志先生のところでアシスタントをしていましたね。3巻~30巻くらいまで背景を描いていました。賞を取っても取らなくても、出版社の方から「アシスタントをやらないか」というお話が出るのはよくある話です。
僕は当時、構図の取り方などもめちゃくちゃだったけれど、アシスタント先で色々教わって絵の勉強をしたという感じです。なので、実践あるのみですね。


そして、連載をしていた半年間。緒方さんは比較的珍しい「タイアップ漫画」で連載をしていたそうです。

(緒方さん)
お菓子とのタイアップ漫画で、最初から連載は半年間だけと決まっていました。
原稿料は描いた度に頂く形で、どこも大体1万円前後ですね。青年誌のほうが若干高いと言われたりもしますけれど。読み切りだと8千円前後で連載だと1万円前後、これくらいだと思いますね。


アシスタントを辞めて連載漫画を描き始めた緒方さん。それでも、漫画の原稿料だけで暮らしていけるわけではなかったそうです。

(緒方さん)
全然(暮らしていけない)ですね。でも僕は結構、運の巡り合わせが多くて。僕はずっとネットゲームをやっていたのですが、そのボイスチャットでゲーム会社の方から「漫画家さんなら今度キャラクター描いてよ」というお話をちょうど連載が決まったタイミングで頂きました。それでガラケーのときのmixiのゲームのキャラクターを描いていましたね。

イラストの仕事は漫画の連載と違って単発です。単発は大きいですね。キャラクター1体につき何万、みたいな。


■絵で食えない!時代と『モンスト』

アルバイトをしながら次の漫画を描く、という「絵で食えない」期間もあったという緒方さん。当時を振り返って語っていただきました。

(緒方さん)
今思えば1、2年なので短いなと思うのですが、(当時の自分にとっては)仕事がなくて不安な時代でしたね。スーパーで品出しのアルバイトをしながら、次の漫画を描くという生活をしました。

途中で1本連載をさせてもらって、その期間が1年半くらいありました。毎月原稿料だけで20数万円頂ける状態が続いていたけれど、その連載は雑誌がなくなるという形で終了になりました。そんな危機的なタイミングでmixiのプロデューサーから「今度はスマホでゲームを出すから描かないか」と言われたのですよね。それがモンスターストライクだったのです。

『モンスターストライク』ロゴ 出典:(https://xflag.com/news/20180927_545/

(緒方さん)
2ヵ月弱で200体キャラクターデザインを描けるか、と言われて無理だと言わなかったイラストレーターが僕だけだったのです。だから僕に仕事が来た。元々ネットゲームをしていてゲーム会社の方と知り合い、そこからmixiと繋がり、またmixiのプロデューサーから声がかかる。という繋がりでした。
だから「声かけられたものは何でもかんでも食らいついていけ」というのは教訓かなと僕は思います。「どんなものにも手を出しておけ」ということですね。

僕はネットゲームをやっていたから声をかけられました。ずっと家で漫画を描いていたらどこにも声をかけられることはなかったです。声をかけられるためには「外のネットワークで何かとにかくやっておく」、「人とコミュニケーションを取っておく」ということが大事なのかなと思います。今は色々SNSもあるので繋がりを持つチャンスはあると思います。とにかく幅広く自分の露出を増やす。絶対やるべきだと思います。


■埋もれないイラストレーターになるためには

今は誰でも当たり前のようにインターネットを使っている世の中。露出のチャンスもあれば、埋もれてしまうこともあります。そこで埋もれないイラストレーターになるためにはどうすればよいのか、緒方さんに伺いました。

(緒方さん)
(モンストのキャラクターデザイン200体を描いたとき)当時あった他のアプリはキャラクターの属性によって色が違うだけで同じポーズのものが多かったのですが、僕はそれが嫌だった。だから僕は全部のキャラクターでデザインを変えました。絵が下手だろうが新しい、ということでそれが追々評価されていったのですよね。大変かもしれないけれど、しっかり知恵を絞って「なんとかこのゲームをよくしよう」というしっかりした考えがあると生き生きして活かされるのかなと思います。

重い仕事の話が来ると作業量やコスト、スケジュールなどを想像してしまいますよね。そうすると少し逃げ腰になってしまう。でも折角のチャンスだと思うので、できる限り尽力するのがよいかなと僕は思います。

(緒方さん)
生き残る方法は埋もれないことだと思います。自分の好きな絵ばっかり描かない。色々な絵が描けるほうが仕事の幅は広がるし、武器になります。どんどん挑戦してどんどん露出していく。「全然テイストが違うよ」ということなら、アカウントを分けて投稿すればよい。このアカウントは背景だけ、モンスターだけ、アイテムだけ……色々やりようはあります。そういうところで(クライアントは)検索をかけて見つけに来るので、どれかが引っかかってくれればよいのです。「女の子」だと(投稿数が)多くて埋もれてしまうので、「獣人」などコアなところを狙うのもよいかもしれませんね。

僕の場合、「イラストと漫画が描ける」というだけでも引っかかりやすくなっています。そこからさらに「ギャグ漫画とストーリー漫画のどちらも描ける」などと色々武器を持つようになりました。そんな中、新しい武器としてNFTをやっています。NFTの中でも埋もれないように、白黒の絵だけ投稿しています。というように、他の人がやっていないことをやっていくと生き残りやすいかなと思いますね。常に「自分がどう目立つか」を考えるとよいかもしれません。

「これを続けてよいのかな?」と思うということは、自分の中で「これを続けていったらきっとダメだ」とわかっているのですよ。だったら、(今までとは)違う絵のジャンルや方向性を考えるべき。「このままじゃダメ」と思うのなら、自分の中でそこを変えようとしていくのがよいと思います。常に進化していくのが大事かなと思いますね。
今回のテーマは「イラストで10年食っていく」ですが、まずは1年食っていく。そこから10年20年と伸びるように常に試行錯誤、常に新しいこと、自分だけ見てもらえるように、これからも成長していけたらよいと思います。
頑張りましょう!


♢♢♢


以上、「イラストでまずは10年飯を食う!」の講義でした!

武器を増やして埋もれないイラストレーターになり、イラストで飯を食っていく術を体験談を交えて語っていただいた特別講義。まさに特別なエピソードでどれも他では聞けないお話ばかりでした。

緒方さんのチャンスを大事にしてアクティブに食らいついていく姿勢にカレッジ生たちも刺激を受けたようです。
どんどん露出して埋もれないイラストレーターになれ、カレッジ生たち!

次回のレポートはカレッジ生の個人インタビュー 第4回目を予定しています。



次回もお楽しみに!


By. DRAW A LOT College


(前回の特別講義は↓)

(続けて読むなら↓)


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