EP22 謝罪という手段

EP21で話したように、僕は不本意なかたちでMKを怒らせた。MKはその後、口を聞いてくれなくなった。僕が彼を怒らせた後の行間休み。いつものように4人組(ノッポのH、MK、TO、僕)で集まって話していてもMKは僕にだけ明らかに冷たい態度をとる。少し前まではノッポのHに蔑まれてすねたような態度をとっていたのにも関わらず彼はノッポのHとはいつも通り話している。特になにもしていない、TOとも然り。僕にだけ冷たいのである。

MKは僕が話しかけても、シカト。ノッポのHとTOにはいつも通り。そして、MKをまねてか、ノッポのHもTOもいつもより僕に冷たい。僕が一人悪いことをしたように外形が構築されていった。不遇でしかなかった。僕はこの4人組のなかでこれまでに感じたことのない疎外感を感じた。そして、ひどく傷ついた。

一緒にいても、傷つくだけだ。距離を置こう。そのような決意をした僕はその後2日間、まるっきり3人のもとを離れ、休み時間も何もかも一人で過ごした。一人で弁当を食べ、行間休みは一人でいることを紛らわすために机に突っ伏して眠たくなくても寝る。3人が僕によって来てくれることは一度もなかった。

僕はこの一人でいる日々も耐えられなくなった。誰に何を言われたわけでもない。只、「ボッチ」の自分を見る他人の目を想像して嫌になったり、「ボッチ」=「ダメ人間」と自己否定してしまったりするのである。いざ4人組から離れて、一人になってみると自分というものが確立できなくなった。やがて、僕は一人でいることが怖くなった。

4人組を離脱してから、2日間が経った夜。僕は自己否定をしながら、MKにLINEをした。「俺の調子にのった行動で怒らせてしまってごめんね。以後気を付けるわ。」とにかく、居場所が欲しかったのだ。流動的にグループを行き来できるほど人脈を持ち合わせていない僕は1人を回避するためには嫌でも4人組に戻るしかなかった。

次の日から、MKはわかればよろしいと言うがのごとく、僕に話しかけてくれるようになった。そして、ノッポのHもTOも同じであった。MKには少なくとも悪いことをしたので謝罪するのは良いが、それに乗じてノッポのHやTO、特に一番の加害者であるノッポのHも謝罪された気になっていることに腹立たしさを感じたものの、1人になることから救われた安心感がそれを上回った。

僕は再び4人組の一員となった。

僕は1人が怖くて、1人にならないために謝罪という手段をとったのである。

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