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ひとり焼肉でバズりまくったドラマ「ソロ活女子のススメ」第1話。原案公開!

第1話「ひとり焼き肉」


ソロ活ポイント
難易度 ★★☆☆☆
孤独度 ★★☆☆☆

ひとり焼肉できる? できない?

 ソロ活をする上で最大のハードルとなるのは「恥ずかしい」という感情だろう。ソロ活について寄せられる相談の中でも「ほかのお客さんの目が気になる」「店員さんの目が気になる」という人はとても多い。どんなにひとりは楽しい、ひとりは得だ、ひとりは自由だと発信しても、「恥ずかしい」の前には無力。

ひとりディズニーに余裕で行ける人もいる

ファミリー客やカップルで賑わうディズニーランドでも気にせずひとりで遊ぶ人もいれば、個室に入るカラオケでも「恥ずかしい」と思う人もいる。「恥ずかしい」のハードルが人によって異なるのは、そのハードルの高さが各自の先入観によって変わるからだ。
 焼肉にひとりで行けない人は、「焼肉とはみんなで行くもの」と心の中で思っている。焼肉に行けなくても、ラーメンには行けるとしたら、「ラーメンとはひとりで行ってもいいもの」と思っているということだ。「恥ずかしい」「恥ずかしくない」という感情には明確な基準がないため、人によって「どこまでひとりで行けるか」にバラつきがでてくるのだ。

あなたもわたしも、実はモブ

 人はみんな、自分の中に潜む「恥ずかしい」の魔物と戦っている。ひとりラーメンをしたくてもできずに店の前を通り過ぎたことも、ひとり焼肉をしようとしては志半ばでファミレスに入ってしまった夜もあるだろう。
 でも、「恥ずかしがっていた事実」は自分しか知り得ない。いざ店に入ったとして、「恥ずかしさの末の、初・ひとり焼肉です」だなんて、他人にはわかりっこないのである。大丈夫。人は意外と他人に興味がない生き物なんです。

 例えば昨日、友達と食事に行ったとして、店内にひとり客は何人いたか、言えるだろうか。そのひとり客がどんな顔をして、何を食べて、どう過ごしていたか、覚えているだろうか。よほど奇抜な服装や髪型だったり、奇声をあげていたりしたら別だが、普通に客として過ごし、普通に帰っていく限り、すべての他人は背景の一部にすぎない。私から見たらあなたはモブ。あの子もモブ。全員モブ。あなたから見たら、私も、あの子も、誰も彼もがモブなのだ。(2章「ひとりが恥ずかしい」問題より)

焼き加減はお好みで!「欲望に忠実ソロ活」

 私は肉に対する欲が深い。肉が好き過ぎるあまり、肉を前にするととにかく小さなことにケチケチしだすのである。

 例えば、肉の枚数の分け方問題。3人で焼肉を食べにきたのに、1皿頼んだら肉が5枚。あと1枚を、なぜ、追加できなかったのか! 店員さん、あなた、肉を切って5枚お皿に乗せたんでしょう! 仁義なき戦いが起こることくらい、わかっていたでしょう!その分の料金を追加していいから!と心の中でひとりごちるわけだ。

 胃袋の容量を無駄にしたくない問題、というのもある。誰かがなんとなく頼んだそのサラダ、冷麺、ホルモン……それに割く胃袋でカルビをもう一皿食べたいよ、と思ってしまうのだ。

 ひとり焼肉はそんな悩みから解放された自由な世界。欲望のおもむくままに、好きな肉を頼み、野菜は一切頼まない。出された肉は俺のもの。頼む肉、焼くペース、食べる量、すべてを自分で決められる。

 ところで、ひとり焼肉ができるかできないかは、ひとり気質か否かを分かつ分水嶺になると私は思っている。ひとりカラオケやひとりラーメンが徐々にメジャー化していったように、今後ひとり焼肉人口は増えていくのかもしれない。けれど少なくとも、2019年時点では、ひとり焼肉できる派とできない派の間に大きな溝がある。

 できる人は「余裕でできる。何がダメなの?」と言い、できない人は「絶対できない!」と言い張る。体感値では、できる派が4割、できない派が6割くらい。
 今、「自分の周りはできる人ばかりなのに」と思ったあなた、それはこの世の中が類は友を呼ぶ形式で回っているからであります。逆も然しかり。基本的にはできる人の周りにはできる人が集まり、できない人の周りにはできない人が集まるのだ。
 なお、都心が中心にはなるが、昨今はひとり焼肉専門店が店舗数を増やしている。こういった店は単純に「ひとり焼肉は恥ずかしい」としり込みする人々の受け皿になっているだけでなく、すべてのソロ活民にとって嬉しい、ひとりに特化した注文スタイルを導入している。
 例えば、あるひとり焼肉専門店は、肉1枚から注文することができる。普通の焼肉屋では、1皿あたりの肉の枚数は5枚くらい。ひとりだけど、たくさん種類を食べたい、というニーズに合わせてくれているのだ。ひとり客ばかりだが、友達同士でひとり客のふりをして別々の席で食べても楽しいのでは……と思うくらい、1枚から注文できるのはありがたい。メニューの端から端まで1枚ずつ、と全種類を食べ比べる注文だってできてしまう。
 専門店以外の普通の焼肉屋でひとりデビューしたい方には、登竜門としてランチタイムをオススメしたい。ランチタイムなら、お肉1皿とウーロン茶だけをサッといただいて帰るひとり客がたくさんいる。
 平日の16時や17時、0時以降といった空いている時間帯を狙えるならば、夜に行くのもオススメ。人目が気にならない時間帯から入っていき、徐々にソロ活に体を慣らしていこう。


 また、チェーン店と個人経営店では、チェーン店のほうが店員さんとの距離感が遠いので、幾分かハードルが下がる。ちなみに私の場合は、その昔仕事の打ち合わせで行った焼肉屋があまりにおいしくて、もう一度あの味を食べたいという欲求を抑えきれず、個人経営の小さな店で鮮烈なひとり焼肉デビューを果たした。しかも、ランチタイムではなく夜。
 我ながら、よくもまあいきなりエベレストに登頂したものだと思う。登りやすい国内の山脈は全部すっ飛ばし。それでも私は行きたかったのだ。ある瞬間に、「どうしても食べたい」という感情が、「恥ずかしい」という感情を上回ったのである。
 食べたい、やってみたい、行ってみたい、と自分の欲望に素直になることこそが、ソロ活の「恥ずかしい」を乗り越える一番の方法なのだと思う。

こんな人にオススメ!
★食べたい肉だけを自分のペースで焼きたい!
★ひとり専門店で全種類の肉を制覇したい!



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