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飽きとは何か

飽きるって、どうしても避けられない現象ですよね。人間って慣れる生き物だから、同じことが続くと新鮮さが薄れてしまう。例えば、最初は面白かったインタビュー企画も、回数を重ねるうちに「これ、また同じパターンだな」と思われがちです。これは、好きな食べ物を毎日食べて飽きる感覚に似ていますよね。

じゃあ、どうやったら飽きを防げるのか。同じことでも、やり方次第で新鮮さを保つことができるんです。例えば、毎回同じ質問を繰り返すのではなく、「前回はこうおっしゃってましたが、今回はどうですか?」と少しずつ掘り下げていく。また、角度を変えて質問することで、新しい視点が見えてきます。そして何より、自分自身が「これ、面白いな」と思って取り組むことが重要。自分が退屈していると、それが見ている人にも伝わります。

ただ気をつけたいのは、内輪ノリ。仲の良い人たちだけで盛り上がっていると、外の人から「なんか勝手にやってれば?」と思われてしまうことがあります。だから常に「外から見てどう感じるか?」を意識することが大事です。

頻度についてもよく議論されますが、頻度が高くても「淡々と続ける」やり方なら意外と飽きないんです。派手さを狙うとマンネリ化しやすいけど、毎回少しずつ違う視点を加えれば、「お、今回はこうきたか」となる。白ご飯の例が分かりやすいと思います。ビーフストロガノフみたいな派手な料理は飽きやすいけど、白ご飯は淡々としているから飽きにくい。同じように、主食のように地道に続けるやり方が大切です。

今の社会はアテンション(注意)を奪い合う競争が激しい。メディアもSNSも、いかに注目を集めるかで成り立っています。でも、これに振り回されると「自分は何を大切にしたかったんだっけ?」と思うことになりかねません。だから僕は、「川の底を歩く」感覚を大事にしています。川の上ではいろんな波が起きているけど、自分は底をしっかり歩いていく。地道に、淡々と進む。それが僕のやり方です。

世間との距離感についても、僕自身、競技人生の中で何度も悩みました。注目されるときは冷静に、注目が薄れたときこそ「ここから頑張ろう」と思う。このバランス感覚が大事です。世間の波に乗りすぎると、自分を見失いがちだからです。

飽きを防ぐには、少しずつ変化を加えながら淡々と続ける。そして、自分が本当に集中したいことを選び、外の波に振り回されない。これが長く楽しむための秘訣なんじゃないかなと思います。


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Dai Tamesue(為末大)
為末にコーヒーなどを奢る制度です。 コーヒー 300円 ビール  500円 ラフロイグ1000円