危険は現実、恐れは物語
映画『アフター・アース』の中でウィル・スミスが息子に言う言葉がすごく
印象的なんです。
「危険は現実だけど、恐れは物語だ」
これがすごく深いなと思っていて。特にアスリートにとっては現実と自分が作り出すストーリーの違いをどう扱うかが大事なんですよね。
たとえば試合に挑むとき、現実は「結果がどうなるかはわからない」というだけ。でも人はそこに「自分は調子が悪い」「前にも似た状況で負けた」みたいな物語を作ってしまう。
そうするとその物語に影響されて本来の実力を発揮できなかったりするわけです。でも、強いアスリートはこの物語を自分で断ち切ったり、ポジティブに書き換えたりできる人なんです。
「前は負けたけど今回もそうとは限らない」「今日は自分がコントロールできることだけに集中しよう」といった具合に。
この考え方はスポーツだけでなく、社会にも通じると思うんですよ。たとえばコロナ禍。最初は未知のウイルスで、わからないからみんな極端に避ける行動を取った。
でも時間が経って情報が増えると、リスクの範囲が見えてきますよね。そのときに現実に近づいていかないと、ただ避けるだけでは動けなくなるし、それが一番のリスクになってしまう。でも、恐れがあるとそれがなかなか難しい。だから恐れと現実のギャップを埋める作業が必要なんです。
結局、自分の認識を変えるしかない。私自身、オリンピックで転倒した経験からハードルに対して恐れを感じたことがありました。でも少しずつ「これくらいなら大丈夫かな」と試して、恐れは危険ではない、恐れ自体が間違いだったと体験で書き換えていきました。
恐れは人間にとって自然な感情だけど、それをどう克服するかが成長の鍵となります。特にスポーツにおいては、危険と恐れの間が成長の場なんです。そこに踏み込まないと人は成長しない。
だからみなさん、自分なりの方法やチームのやり方で、この恐れと危険の差を埋めていく方法を見つけることが大切だと思います!