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ステロイド使いすぎは逆効果

こんにちは!

体調不良・病気で苦しむ人を1人でも減らしたい
東大薬学部卒アンチエイジングアドバイザー
福嶋大介です。

今回は「ステロイド使いすぎは逆効果〜炎症は抑えるべき抑えないべき?」について記事を書きました。

●はじめに


皮膚科症状、喘息症状でステロイドや炎症を抑えるアレルギー剤を多用するのをよく見ます。

薬剤師の国家資格をもつ僕の目線から

なぜ薬で症状が治らないのかを考察しました。

●炎症は悪いものなの?


腫れているなら腫れを抑えないと!
と昔から思われてきたのではないでしょうか。

今回は炎症がないと
修復が遅くなるという研究を紹介します。


結論→ほどほどの炎症が大事

腫れを抑えすぎると治りにくくなる研究はたくさんあるのですがごく一部を紹介していきます。

●研究例その①


(以下引用)
東京工業大学生命理工学院の川上厚志准教授らの研究グループは、ゼブラフィッシュを用いた解析により、組織再生が起こるにはちょうど良いレベルの炎症が重要であることを明らかにした。

川上准教授らは以前の研究で、マクロファージなどの免疫細胞を欠くゼブラフィッシュ変異体は再生細胞が細胞死を起こして組織を再生できないことを発見した。

今回、細胞死の誘導メカニズムを調べたところ、再生組織でのインターロイキン1βの過剰な作用と炎症が原因であることが分かった。

一方で、炎症応答をなくした場合にも正常に組織再生が起こらないことから、炎症そのものが組織再生に必須の役割があることも示された。


https://elifesciences.org/articles/22716


https://www.titech.ac.jp/news/2017/037577


●研究例その②


「IL-6が細胞老化と関わる過程において、細胞周期停止と組織再生を調節する」

この研究では、炎症性サイトカインIL-6が細胞老化に関わる過程で、組織再生に重要な役割を果たすことが示されています。

○実験方法:
1. マウスモデルの使用:
研究では、野生型マウスとIL-6を欠損させた遺伝子改変マウスを用いました。これにより、IL-6の存在が細胞老化と組織再生に及ぼす影響を比較しました。

2. 加齢モデル:
マウスに放射線照射を行い、老化促進モデルを作成。これにより、細胞老化を誘導し、IL-6の役割を解析しました。

3. 炎症応答の評価:
炎症性サイトカインの発現を解析するため、リアルタイムPCRやエライザ法などの技術を用いてIL-6の発現レベルを測定しました。

4. 組織再生の評価:
組織再生能力の評価として、皮膚創傷治癒モデルや肝臓再生モデルを使用し、組織再生の速度や質を観察しました。

5. 細胞周期停止の評価:
細胞周期停止に関与するp53やp21などのマーカーの発現を、免疫染色やウェスタンブロット法で評価

○実験結果

1. IL-6の欠損が細胞老化を促進:
IL-6欠損マウスでは、細胞老化の指標であるp53およびp21の発現が増加し、細胞周期が停止しました。これにより、細胞の増殖が抑制され、組織再生が遅延しました。

2. 炎症が組織再生に必須:
IL-6が正常に発現している野生型マウスでは、炎症反応が適度に誘導され、組織再生が促進されました。特に、皮膚の創傷治癒や肝臓の再生において、IL-6が再生過程を加速させることが確認されました。

3. 過度の炎症が有害:
逆に、過剰なIL-6発現は組織損傷を悪化させる可能性があることも示されました。炎症反応が強すぎると、組織再生よりも損傷が優勢になり、治癒プロセスが妨げられることが観察されました。

○結論
適度な炎症が修復には必要

Embo Journal, 2014, 33(19), 2215-2236

●研究例その③


「創傷治癒におけるマクロファージの役割」

マクロファージが適度な炎症反応を維持し、創傷治癒を促進する役割を持つことを示しています。マウスモデルを用いた研究で、マクロファージが欠如すると創傷治癒が遅れることが示されています。

○実験方法:

•遺伝子改変マウス: マクロファージが欠損したマウス(遺伝子ノックアウトマウス)と野生型マウスを比較。
•創傷モデル: 皮膚創傷を作成し、治癒の過程を観察。
•炎症マーカーの測定: IL-10やTNF-αなどの炎症性サイトカインのレベルをリアルタイムPCRやエライザ法で評価。

○実験結果

•マクロファージの欠如による治癒遅延: マクロファージが欠損したマウスでは、炎症反応が弱まり、創傷治癒が著しく遅延しました。
•適度な炎症が重要: 野生型マウスでは、マクロファージが適度な炎症反応を維持し、これが組織修復を促進しました。

○考察

マクロファージが適切な炎症レベルを維持することで、創傷治癒に重要な役割を果たすことを示しています。炎症が不足すると治癒が遅れることから、炎症の適切な制御が重要であることが示唆されています。

Cell Stem Cell, 2009, 5(1), 50-63

●研究例その④


「過度な抗炎症治療が組織再生を阻害する」
この研究は、抗炎症処置が過度であると、逆に組織再生が遅延する可能性があることを示しています。適度な炎症反応が再生プロセスに必須であることが確認されています。

○実験方法:

•マウスモデルの使用: 炎症を抑制するために、抗炎症薬を投与したマウスと、対照群のマウスを比較。
•組織再生の評価: 皮膚創傷モデルや肝臓再生モデルを使用し、再生の速度や質を観察。
•炎症マーカーの測定: 炎症性サイトカイン(IL-6, TNF-α)のレベルを解析。

○実験結果

•過度な抗炎症が再生を遅延:
抗炎症薬を投与したマウスでは、炎症反応が過度に抑制され、組織再生が著しく遅延しました。

•適度な炎症が再生に必須:
対照群では、適度な炎症が維持され、組織再生が正常に進行しました。

○考察
この研究は、抗炎症治療が過度に行われると、逆に組織再生が阻害される可能性があることを示しています。適度な炎症反応が組織再生に不可欠であり、炎症のバランスが重要であることが確認されました。

Journal of Clinical Investigation, 2017, 127(1), 98-108

●まとめ


腫れを抑えすぎると治りにくくなる
でも
腫れすぎていても治りにくくなる

つまり
ステロイドなどで症状を抑え込みすぎると逆効果である
ということです。

●補足:なぜ病院や薬局では強い薬を出し続けるのか


○強いと思っていないから
○ルールを改正するが大変だから


例えば
気管支喘息が悪化する原因は、
「きちんと症状を抑えていないからだ、だからきちんと薬を使い続けなさい」という医学的な見解が数十年前にありました。

しかし
これに対してステロイド抵抗性があがるから逆効果という研究も出ていますが

過去に一回つくった日本中のルールをまた改正するのは大変です。

「ごめん、昔作ったルール、間違ってて180度真逆だった!」て言わないといけないので。


さらには
○ないと信じたい利権問題

これあるかもしれませんよね

このルール改正をやればやるほど
大損をこく人たちがたくさんいます。

ルールが改正できない理由として
利権問題が絡んでいないことを望みますが

過去にも
薬、食品、大学や研究施設、政府
ここのお金関連の利権問題は明るみになってきています。

ここが明るみになっても
数十年前のことをいまさら問題にできない

世間の"これはいいらしい""これは悪いらしい"というイメージを払拭するのは難しい

例)卵はたくさん食べると良くないらしい
例)低カロリーなら健康らしい

何事も極端ではなくて
今回の炎症のことも

・ステロイドは適度に使う、使いすぎない
・医療従事者は医療マニュアルをもとに解説するしかない

ということを理解して自分の知識をきちんとつけていきましょう。

以上です。

福嶋大介

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