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SaaS立ち上げ時こそ、GTM ~あるいはPMFの正体について~

SaaSにてPMFを目指す立ち上げ初期こそ、積極的に顧客獲得のためのリソース投下を行うべきではないか、最近ではそんな風に考えるようになった。

「SaaSは解約率の改善から行う(バケツの穴から塞ぐ)」というのが定石だと言われており、自分自身もそう考えていた。
しかし、このメッセージに囚われすぎると、チームとしての「学習機会」が過度に失われ、PMF達成の速度をかえって遅くしてしまうケースがあるのではないか。SaaS立ち上げから4年ほどがたち、PMFと向き合い続ける中でこのようなことを考えるようになった。

今回は、当該考えに至った背景を頭の整理を兼ねて、noteに記す。(未熟者ですが、常体での記載をお許しください)


PMFは後から気づくもの

PMFの定義は、明確な共通認識があるわけではなく、プロダクトがマーケットから受け入れられ、FITとした状態と言われている。Marc Andreessenが考案した概念であると言われており、「The only thing that matters」の記事中にも抽象的ではあるが、下記の定義が記されている。

Product/market fit means being in a good market with a product that can satisfy that market.

また、スタートアップから巨大なIT企業へと進化した企業のCEOは口を揃えて、マーケットからの強烈な"引き"の体験を事後的に表現している。事前に明確に定義した上でゴールテープを切れるものではなく、あくまで事後的に理解するものであり、ある一点から心配する必要がなくなるものだと理解するようになった。

"PMFへの到達の仕方は千差万別"というのが各社の事例を紐解いたときにもわかることではあるが、ことSaaSにおいては、とある顧客セグメントの属性のバーニングニーズ(今すぐにでも対処したい致命的な課題)を発見し、プロダクトでニーズを満たす、基本的にはこの繰り返しの延長戦上に到達しているケースが多いと見受けられる。顧客のバーニングニーズの解決を、マーケットに対しての一定割合でできるようになったタイミングで、口コミなどを通じて爆発的にマーケットに広がっていく様、その状態の総称をPMFを呼んでいる。顧客を増やす打ち手を打つ必要がなくなり、顧客拡大に引っ張られる形で対応が必要になり続ける状態になることがPMFだと言える。


PMFの要素分解

PMFを雑に要素分解すると、下記がある。

・マーケットの探索
・顧客バーニングニーズの発掘
・提供価値の探索
・提供価値の定義及び提供方法の最適化

PMFの前段階にPSF(プロブレムソリューションフィット)という段階があるが、現場感としてはPSFとPMFは横断した行き来を何回も繰り返さないとPMFには到達できないケースの方が現場のリアルであり、一部の稀な成功パターンにおいては、分けて定義してうまくいった事例がある、と理解している。その上で、あえて分けて定義することにどれくらいの意味があるのかは、自分のレベルでは理解に及んでいない。

敢えて分解して定義した時の弊害として、問題とソリューションがFITとしたことを前提にした際に、一度PSFしたと定義した目の前に顧客に固執しすぎてしまうこともある。常に上記の一連のフェーズを所与とすることなく、疑い続けることでPMFに到達できるのではないかと考える。つまり一定量の顧客に導入することができたからPSFフェーズは終わったと決めることで、新たなマーケット自体の探索を忘れてしまうと泥沼にハマるケースもある。


マーケット探索の重要性

陥る罠としては、初期に立てたターゲット顧客の仮説に取り憑かれ、新たなマーケット探索をしないまま、バーニングニーズの発掘と提供価値の模索の沼に深く入っていってしまうことである。一度決めた課題と解決方法のFITにフォーカスすることは大事だが、特に初期は偶発的に遭遇した顧客からバーニングニーズやソリューションのヒントや糸口が見つかることも多い。初期に定めたターゲット以外の顧客から得られる示唆も多分にあるし、当初想定したコア顧客から、GTMする中での気づきからターゲットを変えて成功しているケースも非常に多い。

だからこそ、特に立ち上げ初期は風呂敷を広げ、Go to Marketにも目を向ける必要はあると考える。過度な広告投資をしよう、という話ではなく、マーケットにはさまざまな顧客属性があり、さまざまな顧客に遭遇するための機会を損失していないか?という問いを持つことの重要性を忘れてはいけないと捉えている。積極的なGTMアクションによる機会創出は、事業としての学習機会の最大化につながる。特にBtoB SaaSの場合は、年次契約などをベースとした場合、リアルな結果としてのフィードバックの反映が遅れるため、目の前の顧客にだけ向き合っていて気づけば1年経っていたが、バーニングニーズすら見つかっていない。ということも多分に起こり得る。

顧客の価値提供にはフォーカスするのは前提とした上で、「学習機会を過度に逸するような立ち上げの進め方になっていないか?」という問いは常に持ちながら、事業にこれからも向き合っていきたい。

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。久々にnoteを書きました。昨今の状況もあり、だいぶ外部の方々との接点が減ってしまったので、改めて情報発信を増やした上で、フィードバックを得られる機会を増やし、思考をアップデートしたいと考えています。
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