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売上分析:NPOコンサル独立二年目の振り返り

研修シーズンで怒涛の忙しさだった3ヶ月をどうにか乗り切り年内のご支援、打ち合わせ等のアポをすべて消化しました。メールやメッセなどのやりとりは止めていませんが、昨年から年末は少し長めにアポを入れない期間を取るようにしています。運動をしたり、本を読んだりしながら、心と身体を落ち着かせる時間です。そして、普段はクライアントワークばかりで自分の仕事全体やこれからのキャリアについて考える時間もなかなか取れないので、ゆっくりと考える時間にもしています。

ということで、仕事の振り返り作業の一環として、売上の分析を行い、その内容を本記事にて公開します。一年前に同様の趣旨で「売上分析:NPOコンサル独立一年目の振り返り」という記事を作成し、有料記事であったにも関わらず多くの方にお読みいただきました。私と同じようにNPOを支援する仕事に就いている方(主にこれから志す方に向けていますが、現時点での同業の方にも)や、外部支援者・専門家を活用することのある非営利組織の方に読んでいただければと思っております。

主に売上の面からの分析の記事ではありますが、どのような依頼が多いのかといったことにはNPO業界、支援者業界の状況も多少なり反映されているかと思いますし、特に2020年は新型コロナウィルスの影響により昨年までとは変わった部分も多いですので、そうした社会的な変化と売上の関係について感じるところもお伝えしていければと思います。

なぜ売上の分析を公開するのか

なぜこのような記事を公開するのか。それは売上、もっと言えば収入というものがソーシャルセクターへ参入することの障壁となっているからです。「障壁」といってもそこにもいくつかの種類というか段階があります。まず1つには「収入が低い」ということ。そしてもう一つには「実態が見えにくい」ということ。

ソーシャルセクターへの関わりも色々とあります。NPOを立ち上げたり既存のNPOに入職(つまり「NPOで働く」)したり、NPOを支える立場として働く(広義の中間支援。NPO「と」働く)など。このうち「NPOで働く」については、ある程度実態自体は見えるようになってきていると感じています。昨今、NPO法人による求人情報は非常に多く出ており、その採用情報には給与を含めた雇用条件がしっかりと開示されていますし、実際にNPOセクターで働く人が経済面を含めたキャリアについて開示したり、インタビューを受けたり、といった記事や書籍の情報も少なくありません。

つまり、「NPOで働く」ことの収入に関する参入障壁は実態はすでにある程度明らかになっており、端的に「収入が低い」に集約しているといえるでしょう(あくまで「収入」に限った話です)。実際に様々な職種、業種の採用情報が出ていますが、営利業界と比べると非常に低い給与水準に留まっているものがほとんどですし、せっかくNPOに入職しても、給与面が厳しく他業界へ転職してしまう人も少なくありません。給与水準を上げることや例えば寄付金などの財源を人件費に充てることを良しとしない考え方が、寄付者側のみならず一部NPO業界側にもありますが、今のままでは極端に言えば「夢と理想のためなら金はいらない」という清貧の価値観を持つ人しかNPO業界で働き続けることができないということになってしまいます。それでは解決できる課題も解決できなくなってしまうのではないか、と私は思います。もちろんあくまで「非営利」の組織なので、金儲けのためにという発想では困るわけでですが、それでも一定水準以上の給与があるからこそ働き続けられるし、人を惹きつけられるという点から目を背けてはいけないはずです。

続いて「NPOと働く」仕事について。私の仕事であるNPOコンサルなどのNPO支援業については、「NPOで働く」とは少し違い、そもそも「実態が見えにくい」ことが問題だと感じています。そもそも業界と呼べる程の大きさにもなっていません。「中間支援」と括ると少し大きくなりますが、いわゆる市民活動センターやNPOセンター等の「中間支援組織」と私の仕事は異なりますし、そうした中間支援組織の給与面での実態は運営主体によって行政寄りになるか、NPO法人もしくは公益法人等の公益組織寄りになるかはありますが、どちらかというと前述の「NPOで働く」と問題構造は似た形になるのではないかと思います。

私がこの記事を作成し、公開しようと思っているのはコンサルティングあるいはその他の専門性(例えばデザイナーやITエンジニアなど)でNPOを支援するような関わり方をしている仕事についての実態をお伝えすることが必要であると考えているからです。伝えることで、NPOを支援することを仕事としたい、もしくはできる、と考える人が増えると考えているからです。根本的には収入が高いことを示していけるようになることが必要だと思っていますし、そうしていきたいと願っていますが、まずは実態を見せることができれば参入してくれる人は増えるはずだとも考えています。「NPOで働く」側には収入が低くても参入する人がきちんといます。もちろんそれで十分だと考えていないのは前述の通りですが、「NPOと働く」側についてはその状態にすら至っていないです。NPOを支援するという仕事の必要性は高まっていると私個人は感じており、私個人の仕事を伸ばすだけではなく、業界として形作り成長していくことが社会全体の課題解決スピードを上げることにつながると考えています。

また、もう少し言えば、「NPOと働く」については、実態さえ見えてくれば問題は解決するのではと感じている部分もあります。どういうことかというと、「NPOで働く」でもう一つの問題であった「収入が低い」について、NPO支援の仕事については働き方や提供できる専門性によるのは間違いないですが、クリアできている支援者の方も少なくないと考えています。まだまだNPO支援者としては未熟な私が、高給とは言えないまでもそれなりに食べていける(まだまだ奨学金は山盛りに残っていますが)水準にまで稼ぐことができるようになっているのですから。

ということでかなり前置きが長くなりましたが、このような考えからこの記事を作成しています。細かな情報までできる限り公開していますので、ここから先は有料記事とさせていただきます(クライアントに関する情報や守秘義務違反に関するような情報は一切ありません)。

なお、記事の章立てについては基本的に昨年のものを踏襲している関係で、概要説明の部分などは昨年の記事の文章をそのまま再利用していますことはご了承ください。今年は二年目の記事ということで、前年比較や変化から感じることについてなど、追加的な視点での記述もありますので、昨年分をお読みいただいた方にも、今年分のみお読みいただく方にもお楽しみいただけるのではないかと思います。

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NPOコンサルや伴走支援者になりたかった数年前の私のような方に向けて仕事をする中で感じたことや考えたことを書いています。 支援者育成やNPO支援の仕組み化などに取り組んでいくために、もしいいなと思ってもらえたら、サポートしてもらえると嬉しいです。