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伴走支援の成果と団体のコミット/センス・オブ・ワンダーこそ読書 − NPOコンサルタントの働き方月次レビュー(2021年9月分)

こんにちは。少しずつ過ごしやすい日が増えて外出の少ない日々の中でも少しずつ秋を感じる最近でしたが、今日は台風一過で暑い青空な一日です。緊急事態宣言も解除されましたし、感染対策には気をつけつつも季節を感じたり、遊びにいったり楽しむことを大切にして2021年の残り3ヶ月も過ごしていきたいですね。ということで、月替りですので月次レビューをお届けします。

9月の仕事の振り返り

稼働時間推移

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業務内容内訳推移

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業務内容の予定と実績

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8月、9月の稼働時間は以下のようになりました。

8月
時間枠 140.0h
予定  146.0h
実績  133.6h
9月
時間枠 140.0h
予定  132.0h
実績  146.8h

予定していた時間よりも10時間以上少なく着地した8月に対して、9月は一転して予定時間よりも10時間以上多めの稼働となりました。8月の振り返りでは、集中力やモチベーションの低下、という話をしていました。そこから一ヶ月、集中力やモチベーションは上がっています。

何か気持ちや考えを整理する大きなきっかけがあった、というよりは、仕事が忙しくなって目の前の仕事に没頭せざるを得なくなったことにより結果的にモチベーションが戻ってきたという感覚です。低下した仕事の集中力やモチベーションが仕事することによって上がるというのもよくわからない自体な気もしますが、やる気を出すにはまず動くことが大切、といいますしね。

身体感覚としては疲労感はそれ程感じてはいないのですが、単純に仕事量が多く忙しさを感じている、という感じ。現時点では疲れは感じていないけど、この先もしばらく忙しい時期が続きそうなので「身体や気持ちが保つかな」と自分で若干の不安を感じています。こういうときは休みの日などにすっきりリフレッシュすることが大切かなと思いますので、ダラダラと休みを消化しないように意識していきたいです。


案件状況

コンサル・業務代行など個別伴走案件
 ファンドレイジング   3件(うち1件休止中)アドバイザリー的契約1件、デジタルFRの施策ディレクション1件
 Webマーケティング    2件(うち2件休止中)
 マーケティング     1件 広報・マーケティング戦略全般
 中期事業計画策定    2件 中期事業計画策定ワークショップの企画・ファシリテーション(9月で終了1件、10月開始1件)
 組織基盤・マネジメント 1件 ボランティアマネジメントや人事周りのご相談
研修講師
 NPOマネジメント    2件 地球環境基金若手PL研修講師(7月〜1月)、第5期アクサ地域リーダープログラムwithブラサカ(11月〜5月)
 ファンドレイジング   1件 NPOサポートセンター「デジタルファンドレイジング基礎ゼミ」(9月〜10月)、某県FRセミナー(11月〜3月)
 マーケティング     1件 某市マーケティング講座(11月〜3月)
 Webマーケティング    1件 にいがたNPOカレッジ2021(9月単発)
 ABD           1件 CRファクトリー『コミュニティマネジメントの教科書』ABD(10月単発)
新規ご相談(お問い合わせなど)
 Webマーケティング    1件 SNS研修年内実施時期調整中
 ABD           3件 実施時期、内容ご相談中
 NPOマネジメント     1件 新規ご相談中 
 その他         1件 他の支援者の方と共同でNPO支援の固定プログラムを開発中
 研修講師        3件 講座企画内容についてメールで相談中1件、年明けの講座・登壇が決定2件

個別団体への支援では4月から半年程かけて中期事業計画策定に伴走してきた団体さんのご支援が9月で一段落となりました。これまでにも中期事業計画策定の支援は経験してきましたが、期間や関わり方なども含めてこれまででも一番手厚く(とはいえ私の支援スタイル上そこまで手取り足取りではなく、あくまでワークショップのファシリテーションを中心とした伴走重視ですが)関わらせていただき、とても楽しくお仕事をさせていただきました。

私との最後のワークショップ以降も団体内でもう少し議論を続けていただいたり、外部発表向けには見せ方なども含めて検討や準備が必要になるので、まだ団体さん側として最終完成には至ってはいないのですが、それでも団体さんとしてもある程度納得いくところまで議論を深めることができたことを、お互いに感じて最終回を終えることができ、良かったなと思っております。

一方で、今回のご支援でそれなりの成果を出せたことには、私の力というよりも団体側のコミットが高かったという要因が大きいようにも感じています。この点については後半のコラムで改めて記載します。

研修講師業の方は、10月以降に本格化していきます(毎年10月〜3月が研修シーズン)。3ヶ月以上の期間の連続講座型・伴走支援型の研修が今シーズンは4本並行していくことになります。しかも地球環境基金若手PL研修と某市のマーケティング講座は完全新規の書き下ろしですので、事前準備に相当のパワーが必要となります。また、ブラサカと某県FRセミナーは昨年以前からの引き続きのお仕事ではありますが、それぞれ前年度までの改善点を踏まえて大なり小なり設計をし直していくことになります。それぞれに準備時間が必要になるので単純に物理的に忙しくなるのですが、頻度もまちまちなので頭の切り替えも大変になりそうだなと感じています。各参加団体さんの取組状況や課題などを記録しながら進めていくなど、これまで以上に工夫しながら進めていく必要があるかなと考えています。


最近考えていること

【伴走支援の成果と団体のコミットの関係】

案件状況のところで触れた、中期事業計画策定が終了した団体さんの支援で感じたことです。
団体のコミットを感じた点は大きく2点ありました。

①団体側でワークショップ以外にも定期的な会議で議論・検討を進行
月一回の講義&ワークショップ(オンライン・4時間)を実施することを基本としていたのですが、各回のワークショップだけでは議論が収まりきらず、毎回宿題をこなしていただくことが必要となりました。これはどの団体の場合でもそうで、支援開始前に各回の間で団体内議論が別途必要になることはどの団体さんにも事前にお伝えしているのですが、今回は相当にコミット高く実施いただいていました。もちろん団体の通常の活動も進めながらそれだけの打ち合わせや調査検討の時間を数ヶ月間に渡ってとるというのは簡単なことではありません。でも、それだけの熱量でアウトプットやあるいは疑問点を次々とぶつけてきていただけるので、私も自然と熱をもってそこに返していくことになりました。

②月一のメインのワークショップ以外に、定例の打ち合わせを実施
当初私からのご提案は月一のワークショップのみ(メールやチャットでのやりとりはプラスαで含む)だったのですが、団体側からの希望により定例で打ち合わせも実施(もちろん打ち合わせの費用も別途いただいた上で)することになりました。
これは、中期事業計画策定を団体内で確実に進めていくために、ワークショップでの検討内容やその進捗を都度理事などにも共有しながら進めていく際に、理事からのフィードバックや課題になる部分を私と相談しながら解消していきたいという希望が団体側にあったことから実施することになったものです。
月一回のワークショップの間で実施するので、ちょうどワークショップから2週間後に打ち合わせを実施し、その2周間後に次のワークショップを実施、という間隔になります。この打ち合わせが非常に有効だったと感じていて、理事さんたちとの議論の内容の他に団体内での宿題議論の進捗をお聞きした上で、次回のワークショップの内容や議論のポイントなどを双方ですり合わせを行い、その上で私の方で各回のワークショップの設計を検討することができたので、より細やかに必要な情報提供や問いかけの視点を検討できるようになりました。

今回のクライアントさんはもともとこのような団体内での丁寧でコミット量の高い進め方に慣れているところが大きかったのだと思っています。コミットの高い団体の成果が出やすいのはある意味当たり前の話で、私が意識しなければならないのは、今後同じように中期事業計画策定等にワークショップ主体で伴走していく際に、今回のクライアントさんのような「ワークショップ外の団体内議論の定例化やそこへのコミット」を私からの働きかけでどのようにあげていくことができるのか、ということとそれに付随して「ワークショップ以外の定例打ち合わせの有効性・必要性」をどのように伝えていくか、ということかと感じています。でもそれって難しい。何を、どう、どこまで伝えていくのが良いのだろう。

団体のビジョン・ミッションにしろ、それに根ざした中期事業計画にしろ、本来そんなに簡単に明確になるわけではないのですよね。コンサルタント・伴走支援者として、ワークショップで団体内の議論の活発化を促すことはそれなりの自信をもって「できる」と思っていますし、だからこそこのような仕事をしている訳ですが、だからといって、コンサルティングを受ければ、ワークショップを実施すれば必ず明確な答えが出るというものでもないはずです。そんなに簡単に割り切れなかったり、答えが出せない問題だからこそNPOとして取り組んでいるはずですもんね。コンサルタントとしてできることと、団体のメンバーの力があって初めて進むことと、ワークショップやコンサルティング自体の効果や役割と。どのようにお互いに意識しながら支援を開始し、進めていくのか。支援開始前のコミュニケーション、支援中のコミュニケーションはどうあるべきなんでしょう。

ここら辺はまだまだ経験値が不足しているところでもあるので、目の前の支援を毎回最高のものとなるよう丁寧に力を込めながらやっていきたいですし、それと同時に支援経験を積みつつ少しずつ学びを積み重ねて、より確実により深く団体の変化という成果を創出していけるように成長も続けていきたいなと結局毎回こんな感じの決意表明で着地します。少なくとも決意を常に新たにしていることは大切であると信じながら進んでいきます。


【センス・オブ・ワンダーこそ読書の楽しみだった】
読書が趣味で本を読んでいない時期なんてほとんど無いのですが、特に最近面白い本に出会う率が多いです。
最近特に良かったのは、

若林正恭『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬
劉慈欣『三体Ⅲ(上・下)』
吉川浩満『理不尽な進化 増補新版 −遺伝子と運のあいだ』(まだ読み途中ですが)

ありがたいことに仕事が忙しいこともあって、研修等の講義スライドの作成やコンサルティングの参考資料としてマーケティングや社会的インパクト、あるいは社会学政治学などの本を読む比率がここ何年か増えていました。こうした本の間に小説なども読むのですが、仕事関係の関心から読む本が重かったりする関係で小説は軽いものを選びがちだったりしますし、小説でもなく仕事にもまったく関係ない本に気の向くままに手を伸ばすということが減っていたんだなということに、最近の読書の中で「本っておもしれー!!!」と感じる中で最近そういう読書ができてなかったんだな、と改めて気づきました。

センス・オブ・ワンダーという言葉というか感覚はSF作品の中で出会う感覚として使われることが多いですが、『三体』はまさにセンス・オブ・ワンダーの連続、てんこ盛りという作品でした。特に『三体Ⅲ』は時間的、宇宙的なスケールの広がり方があまりに壮大で素晴らしく、細かいことはどうでも良くなるぐらいにSFの楽しさを詰め込んでいて、SF史の歴史に名を残す作品になるでしょうし、SF的規模感で発想をすっ飛ばしてから自分の生活のことや身の回りの社会のことを改めて見返してみると、何も変わりはしない退屈だったりたまによりは多い頻度で窮屈だったりする社会の見え方捉え方がスッと変わって、新たな気持ちで日々を生きていけるような、そんな気がしてきます。

そしてもう一つ、まだ半分ほどしか読んでいないのですが、『理不尽な進化』。たまたま本屋で平積みになっているのを見かけて気になって、そのときは(仕事関連の関心で)すぐ読まないといけない本も溜まってるし、今読んでる場合じゃないなと買わなかったのですが、一週間経っても二週間経ってもどうしても気になっていて、我慢しきれずに買ってしまいました。そして買って良かった!!面白い!この本が割り込んできているので研修資料作成に参考にしようと思っていた本を読み進めるのがぜんぜん進んでいないのですが、そんなことは些細なことだと思わせてくれるぐらいに面白いですね。
もともと進化論というテーマ自体にそこまでの興味があった訳ではないのになぜにこんなに興味を惹かれたのかはわからないですが、読んでみると進化論というのが(正確には進化論の名をかたった進化論風の言説が)現代社会でいかに根強い常識となっていて、自分の発想の至るところにも顔をのぞかせていたことに気づきましたし、もともと自分はこういうまったく分野関係ない本を読んで、それと社会問題の関連を考えたり、自分の思考のフレームや視点の持ち方を俯瞰的に修正していくのが好きだったなということを思い出しました。思えば楽天時代には、マーケティングやデザインの本を読む一方で、歴史学や文化人類学、宇宙論や哲学に文学などを次々と読み替えながら、あれとこれって分野は違うけど実は同じこと言ってるかもとか、思ってもみなかった分野がつながったな、というのを楽しみながら読書や知的冒険を楽しんでいたし、そういう楽しみ方が仕事や生き方にもつながる発想の転換や新たな視点をもたらしてくれているのでした。

直接的に必要そうな知識を求めて読む読書も必要だし、それも楽しいことではあるけれど、自分の趣味としての読書のあり方をもう一度作り直したいなと考えている最近です。

アクティブブックダイアローグのファシリテーションの機会もまだそこまで告知しているわけではないのにチラホラいただいていますし、ABDでの読書の楽しさもまた感じつつ、読書という趣味であり私の人生の一部を再構築していきたいです。


最後までお読みいただきありがとうございました。

NPOコンサルや伴走支援者になりたかった数年前の私のような方に向けて仕事をする中で感じたことや考えたことを書いています。 支援者育成やNPO支援の仕組み化などに取り組んでいくために、もしいいなと思ってもらえたら、サポートしてもらえると嬉しいです。