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指導者はこうなれ!

私は中学、高校の部活動を6年間監督し、今現在クラブチームのコーチ歴が3年目となりました。U-15のクラブチームでは全国大会に参加したこともあります。その経験を活かし、指導方法を確立させてきました。もちろん、現時点での考えが最高というわけではなく、今後も成長していきます。

自己紹介

私は中学1年生のときにスラムダンクに憧れてバスケットを始め、コーチや監督といった存在のいない中、先輩や同級生と練習をしていました。部活を始めたすぐは何一つわかりませんでしたので、NBAを見て、ものまねのようなシュート練習から始めました。今思うと、ドリブルやハンドリングのスキルを磨くことも必要だったとは思いますが、当時の私はシュート練習が大好きでそればっかりしていました。誰よりも早く体育館に来て、ただひたすらペイントエリア内のシュートを繰り返す。フォームも何かにこだわったようなことはなく、思いのままにシュートをしていました。

元々身体能力は高かったのと、上級生が少なくチームが弱小だったため、1年生の途中から試合に出してもらえました。全く活躍することが出来なかったのを覚えています。

そして、朝練ではシュート練習と併用して先輩に声をかけられて1対1の練習をするようになりました。どうすれば勝てるのか必死にもがきました。なにもわからなかったけど、色んなことにチャレンジしていくとドライブやジャンプシュートの練習が必要だとわかりました。それからは、ただひたすら朝早く来て自分に必要だと思ったドライブとジャンプシュートの練習を繰り返しました。みるみるうちに上達して先輩達に1対1で勝てるようになりました。

そして、それからもがむしゃらに個人練習をし続けて、高校では1試合60点取ったこともあるようなプレイヤーになりました。

そのあと、医療系の大学に進学して社会人チームでバスケットを楽しみました。色々なものを色々なところから吸収しようという姿勢を貫きました。社会人チームでも県下で1番強いリーグの得点ランキング3位に入るくらいの点取り屋になりました。そして、社会人チームと並行して中高一貫高の監督もさせていただきました。更に、大学では人体構造なども詳しく勉強し、バスケットの指導に活かせるようになりました。

今は自分自身のバスケットは引退をして、バスケットの指導に専念させていただいています。

第1章 怒鳴る指導者は無能

今まで数々のバスケット指導者を見てきました。部活動によくいる指導者は、とりあえず怒鳴りつける。中学生年代の指導者には特に多いイメージです。皆さんも選手を怒鳴りつけている指導者を少なからず見たことがあると思います。中には、親からも怒鳴ってくださいとお願いしている方もいました。こんなふざけた話はありません。

①小さい時に怒鳴られたことはありますか?

読者のみなさん、あなたは小さい時に怒鳴られたことはありますでしょうか。怒鳴られた時になにを思っていましたか?そして、怒鳴られた後になにが残りましたか?

現実は、怒鳴られ始めた瞬間に思考が止まります。そして、怒鳴られている内容を理解しようとすることなく、怒りや悲しみ、憎しみが湧いてきます。そして、怒鳴られ終わった後に残るのは膨大なストレスだけです。

そもそも、球技というのは発想が豊かでないと上達はしませんし、一流にはなれません。相手を騙すような発想、咄嗟の判断をするには、バスケットを楽しむ姿勢でいないと不可能です。

怒鳴るという行為はこのバスケットを楽しむという行為をストップさせます。こうしろと怒鳴ることによって、その一つの動きは出来るかもしれませんが、ほかの柔軟な発想を持ったプレーをすることが出来なくなります。

冷静に物事を判断し、簡潔に言葉を発せない人間は自分の能力の低さを誤魔化すために他人を怒鳴りつけます。無能極まりない指導者なのです。バスケット指導に限った話でもなく、ほかのスポーツや仕事でも同じことです。

ですが、例外的に怒鳴っていいとするならバスケットに関係ない、社会的にやってはいけないことをやっている時だと思います。逆にこの時は恐怖を教え込むべきです。例えば、選手がいじめや万引きをしているのを見かけたら怒鳴ってください。悪いことをすれば、こうなるんだと恐怖で教え込むべきです。

②怒鳴るな、教えるな

怒鳴るという行為がいかに愚かだということはわかっていただけたと思います。やる気のある選手の気持ちを確実に削ぎ落とし、プレーの幅を制限するからです。

そして、次にして欲しいことは答えを教えないということです。

例えば、トラベリングというルールを選手に教える時は、わかりやすく身振り手振りなどを使って教えてください。これは教えるべきです。

ですが、プレーの動き方やシュートフォーム、ドリブルのつき方などは極力教えないでください。この場合の教えないという言葉はすごく難しく、複雑であります。

練習メニューでドリブルをしていたとしましょう。強く小さく20回、強く大きく20回という内容だったとします。この時、ドリブルがかなり上手くできている子は何も言わなくても自分で考えてできている可能性が高いです。ですが、あまり上手くなく、強くついたらボールをコントロールできない子がほとんどだと思います。そういった子にどうすれば強くついてもボールをコントロールできるか考えていただきます。手のひらをつけない、指の腹で手を広げてボールに触れている面積を増やすということが答えなのですが、これをすぐに選手に伝えてしまっては意味がありません。今後、理論的に物事を自ら考えて行動できるようになって貰わないと困ります。ですので、どうすればうまくてドリブルできるか考えてもらいます。ただ、放置するというのは時間がかかるのであまり良くないですが、考えさせずに教えるよりはよっぽどマシです。

教えるなとは言うものの、ヒントは与えてください。この場合、ダメな例はこれだ!と言って、あえて手のひらを小さくしてドリブルをして見せたりします。

教えられて、一旦その境地に辿りつくことは容易かもしれません。ですが、それでは一時的に知識を獲得しただけであり、今後一生使える能力になったわけではありません。自分で辿り着いた場所こそが自分の能力になるのです。

バスケットに限った話ではなく、いかなるスポーツや仕事であっても同じです。本質を自ら考えさせることが本当に大事なのです。知っている知識をぶつけ続けられた選手は、指導者を超えていくことは難しいです。思っていた遥か高みの答えを期待して質問を投げかけ続けてください。

第2章 言語化

よく学生時代にこんな話を聞きませんでしたか?他人に説明することで自分の理解を深めると。

これはすごく的を得ていて、私の指導の根幹になっています。もちろん、私が説明して自分の理解を深めるという意味ではありません。選手にプレーの解説者になってもらい、言語化させるという意味です。

よく私が保護者や選手に言うのは、家でご飯を食べる時にNBAの試合を見るのもいいけど、練習試合の次の日は自分の出場した部分のプレーを解説しなさいと。保護者はそれを聞いて質問を投げかけてくださいと。

自分の考えを言葉にして話すことで正しかったプレーや上手くいったプレーは、より自分の中に浸透します。そして、失敗したプレーは客観的に見ることで改善策が思い浮かぶ可能性が高くなり、さらには自分のプレーの選択肢を増やすことが出来ます。それを解説できるようになれば、理解しているということです。

こういったことをルーティン化させ、自分の考えを整理する癖をつけさせます。私はこの指導を小学生にも行います。大人になってもできない人はもちろん沢山います。いつまで経っても訓練しなければ、自分の考えを簡潔にまとめて他人に伝えることなんて出来ないのです。

試合の途中であれ、ベンチに選手を戻しては言語化を繰り返させます。最初はうまく言語化できる選手は少ないです。ですが、訓練すればほぼ全員が言語化を行い、自信を持って話すようになります。間違えたことを話していても話している途中で正解に気付く事もあります。

そして、この言語化で最もやりがいを感じる瞬間は、私の想像を超えてくる発想を教えてくれる時です。私を追い越して、私を成長させてくれる最高の瞬間でもあります。指導者としてこの上ない至福の時です。自分の意見を押し付けるのが指導ではない。とんでもないところまで選手が連れて行ってくれる、それが指導なのです。

第3章 常に理論を

2章の言語化に近いものはあるのですが、自分自身の経験上、身体能力任せの感覚プレーではよくないということが言えます。怪我や何かの影響によって、出来ていたことが出来なくなるという経験はありませんか?その原因の多くは、自分のプレーに理論がなくて出来なくなる事が多いです。もちろん怪我で物理的に出来なくなることもありますが、治っているはずなのに出来なくなったということが問題です。

では、どうすればそういったことを避けられるのか。

答えは簡単です。常に理論的に上手くいったプレーを解説させることです。「さっきのプレーすごいなあ。どうやってやったの?他の子にも教えてあげてよ。」などの声かけはすごく大事です。他にも、私のチームの選手には家族でご飯を食べている時に自分のプレーしている試合の動画を見ながら解説をさせています。こうすることによって、常に理論的に考えることが出来ます。

体のどこに力が入っていて、どこに体重が乗っていて、相手がこうしたからこのタイミングで、など事細かに考えることが重要です。新しい発想にも繋がりますし、出来ているプレーが間違いなく自分のものになる瞬間です。

私は、おおまかなルールだけ作り、あとは自由にプレーさせます。いろんなプレーにチャレンジさせます。ですが、どのプレーも言葉で説明できなければダメです。我々、指導者は話を聞くだけで、選手が変な考えをしている時に修正すればいいです。たまに新しい発想を植え付けるために講義することもありますが。

皆様の愛情で大卒ジョッキーは作られております。愛をいただけたら幸いです。