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日報の「空」「雨」「傘」が仲間や社員を成長させる、かもしれない。

多くの会社で日報と呼ばれるその日の活動を上司や同僚に報告する仕組みがあります。

日報を読むと、良い日報と、あまり参考にできない日報に分類できます。この違いは、「読んで役に立つかどうか」にあると思っています。

役に立つ日報が増えれば、日報は現場を成長させるツールになるはず!と信じています。

#ちなみに当社では営業日報はありませんが 、SFA(営業支援システム)で個々の営業活動や商談を記録いただいております。


営業はデスクで起きない。現場(外)で起きている!

会社が営業日報を書かせる理由は、とても簡単です。

営業活動は経営レベルで大切ですが、営業活動は社外で発生する性質を持つため会社からは見えません。だから報告させる必要があるのです。

営業は、唯一の顧客接点です。お客さまの声、ニーズ、市場の競合など、さまざまな変化が営業現場を通じて確認できます。会社経営は市場の変化に追従していればなんとか回ります。

それくらい大事である日報。日報を書くこと・書かせることは難しい。書いてある日報を読んでもよくわからない、営業活動を通じてみた市場を正しく会社に伝えていない。こんなコミュニケーションに係る問題があります。

その「多くの」は、本当に多いのか?

コミュニケーションは情報伝達の1つ手段です。仕事では情報伝達が不可欠ですので、コミュニケーションが頻繁に発生します。日報もその1つ。わたしたちは日常からコミュニケーションについて相当訓練されているはずです。

しかしながら、思っている以上にうまくコミュニケーションできない。言い換えると、無意識レベルで上手なコミュニケーションができていないことが原因ではないかと考えています。

仕事におけるコミュニケーションでは、事実→解釈→行動、の流れをそれぞれわけて説明するとわかりやすい。いわゆる、コミュニケーションのロジックです。

反対に、わかりにくいコミュニケーションでは、事実・解釈・行動のそれぞれがうまく分類できていない事実とは異なる解釈や行動をとる、などの事象が見受けられます。

コロナによる自粛も一段落し、多くのお客さまがテレワークからオフィス出社に急速に移行しているため顧客営業訪問が欠かせなくなってきました。当社の顧客訪問禁止令は、早急な解除が必要です。

という1文が営業日報にあったとしましょう。

このレポートの場合は、「多くの」が事実なのか、それとも事実からは導き出すことが難しい営業の解釈なのか。ここの見極めが重要です。

100の担当顧客を持つ営業であっても、たった2,3のお客さまがオフィス出社を始めたという情報を得ると、なぜか「多くの」にすり替わってしまうことがあります。コミュニケーションのロジックを意識しないと、このような発言や日報を書いてしまいます。

思わず微笑んでしまうこのミス。あるあるですね、自分にも。営業活動は経営レベルで重要な話。営業日報から誤った経営判断にいたってしまう可能性を秘めています。注意しなきゃです。

「空」「雨」「傘」でコミュニケーションの質を高める

コミュニケーションのロジックの説明として有名なメタファーがあります。「空」「雨」「傘」です。

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当社が運営する「マケフリ」の記事から図を借りてきました。「空」「雨」「傘」については、リンクの記事をお読みいただければ幸いです。

「空」が事実、「雨」が解釈、そして「傘」が実行です。

空(事実):雲が多いな。
雨(解釈):午後から雨が降りそうだ。
傘(行動):傘を持っていこう。

たったこれだけです。

にもかかわらず、事実と解釈を混ぜてしまう、事実から導き出されない解釈をする、解釈と行動がちぐはぐしている、などのミスがあります。

「雲が多いので、傘を持っていった。」

少しだけ違和感ありますよね。上の例には、解釈が抜けているからです。

◯◯さんを訪問。久しぶりに1時間ほど会話。来週あたり、▲▲について提案する流れとなった。

営業日報ではよく見かける例ですが、理解しようとしてよく読むと違和感が残ります。

訪問した、会話した、という事実はあるものの、行動に至るまでの解釈と、その解釈を裏支えする事実が足らないため、「なんでわざわざ来週提案する必要があるのだろうか?」という疑問が生じます。

◯◯さんを訪問。久しぶりに1時間ほど会話。テレワークに伴う営業のあり方が経営課題として持ち上がっている。担当として情報収集し、再来週には上司に報告しなければならないとのこと(ここまでが事実)。当社の▲▲が、その解決方法の1つとして検討の余地が大きいと見た(ここが解釈)。そのため、再来週の上司報告前に当社▲▲を提案うかがいのアポを取った。今週で提案書を作成する。(これがアクション)


日報は、読んだ人を教育するかも知れない

本来なら日報は経営レベルで重要な営業活動の状況を会社に報告することが目的ですが、日報を通じたコミュニケーションの質が良くなると、会社への報告以外の効果がみえてきます。

他の営業が書いた営業日報を読むと、営業活動のノウハウが営業部門内で横展開できます。「そういう解釈があるのか」「その手は使えるな」など、と。

加えて、「ここはもう少しこうしたほうが良いのでは?」「過去にこうやったらうまくいきましたよ!」などと、日報から発生するコミュニケーションによって、営業どうしのノウハウの共有につながる可能性があります。

質の高いコミュニケーションを基盤とした営業日報には、営業どうしの教育という側面が隠れていると信じています。

日報の営業どうしの教育という側面は、新しい営業メンバーの入社が多い企業では有効です。営業は社外で発生するという性質のため、現場を見て慣れる・覚えるためにはOJTが欠かせません。

お客さまからどのように事実を聞き出し、どのように解釈し、行動していく。これって、車の運転でもありますよね。認知して判断し実行する。

その会社の営業活動を理解するためには、この流れを営業現場で見て理解できる営業OJTは効果があります。

しかし事実→解釈→アクションと分けて日報を書けば、日報を読むだけで、あるべき営業活動が理解できるようになります。OJTのための時間をとって外出しなくてもPC上で学べます。こちらのほうが、入社してからのキャッチアップが早い。

余談ですが、営業日報は営業担当者別に情報が整理されがち。SFA(営業支援システム)の場合には、商談や顧客が軸となりますので、日報よりも営業活動のシーンを理解しやすいと思います。


コミュニケーションの質を高めることで組織は成長する

日報でコミュニケーションの質を高めると、他の場面でも「空」「雨」「傘」のように整理されたコミュニケーションが増え始めます。

営業日報が営業どうしの教育に発展する可能性と同じように、日報のような報告やコミュニケーションが営業以外の組織にもプロジェクトでも教育の効果を発揮することが期待できます。

非常にシンプルにコミュニケーションの質を高める工夫をして、日々の業務に取り込んでいけば、組織の生産性や業務効率の改善につながるでしょう。その結果、組織は成長する可能性が大きくなると考えています。

コミュニケーションの質が組織に定着すること。こちらも大切ですが・・・難しいチャレンジだな、と思っています。


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