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【27枚目】Marvin Gaye『What's Going on』

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Marvin Gayeの11枚目のアルバム『What's Going on』(1971)

関連:【20枚目】Marvin Gaye『I Want You』

ローリングストーン誌による「歴代最高のアルバム」500選が8年ぶりに改定されたそうだ。
前回の1位は ザ・ビートルズ『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』ネタバレになりますが、今回の1位はマーヴィン・ゲイ『ホワッツ・ゴーイン・オン』
納得の1位というかしっくりくる!前回も6位とかなり高いですけど。この順位に文句をつけるの勇気がいりますね(笑)

今回のリスト、賛否両論ですね。前回のリストはガチガチに保守的な(古い...)印象があるんですけど、今回は人種、性別、世代が考慮されたリストという印象で前回よりも視野の広いリストなのでは?無理やり考慮というか配慮されたような点が鼻につくという意見もあると思います。上位陣が割とバラけてるのは個人的に好きです。

※今回のリストはビートルズ無双じゃないのがちょっと寂しい。5位、ザ・ビートルズ『アビイ・ロード』は盛り上がる話題だと思いますね。『アビイ・ロード』なんかい!って意見とかTOP3に入れろ!とかビートルズのガチファンは怖いです。

当時の社会問題を歌った『ホワッツ・ゴーイン・オン』

アルバムを通じて貧困、警察の横暴、ドラッグ問題、児童遺棄、都市の退廃、秩序不安といったアメリカの社会問題について言及されている

モータウンの社長ベリー・ゴーディはシリアスな内容に難色を示しシングルとしてのリリースを拒否したそう。ゲイはリリースしなければ残りのレコーディングをしないと反論、結果リリースされた作品は大ヒット!当時の国民の胸を掴む内容なんでしょうね。英語の詩が理解できない自分はすごくもったいないと感じます。

テーマは重いですが「暗すぎる」「激しすぎる」内容ではないですね。確固たる意志を持って優しく歌い上げているような。ずっと聞けます。暗い気分でも明るい気分でも聞いて心地良い作品というのが「名盤」の基準の一つなのかもしれません。

タイトル・ナンバーのメロディが随所で再登場する構成も相まって、コンセプト・アルバムと呼べる内容である。また、ゲイは自分の表現を妥協せずに貫くべく、モータウンのアーティストとしては異例のセルフ・プロデュースに挑み、同時期にセルフ・プロデュースの路線にシフトしたスティーヴィー・ワンダーにも影響を与えている。

【収録曲】

-A面-
1. What's Going on
説明不要の名曲。哀愁あるサックスによるイントロ。優しく包み込まれるような歌声。文句なしの美メロ。サビで「What's Going on」と声を張り上げる所は言葉が分からなくて訴えてくるものがありますね。バックコーラスも民衆の声のようで曲のイメージを形作っている。じっくり聞くとベースラインがかっこいい!

ゲイは当時、ベトナム戦争から帰還した弟から戦場の様子を聞き、反戦曲「ホワッツ・ゴーイン・オン」をモータウンの専属作家のアル・クリーヴランド、フォー・トップスのメンバーのレナルド・ベンソンらと共に書き上げた。

2. What's Happening Brother
1曲目より落ち着いて色っぽい曲に感じる。バックコーラスのまったりした歌声とドラムの柔らかいタッチが良い。ドラムと合わせてパーカッションの音もミドルテンポに奏でられていて心地いいリズム。この曲もベースが暴れてますね。

2曲目の「ホワッツ・ハプニング・ブラザー」は、タイトル曲に引き続き弟に捧げられた反戦歌

3. Flyin' High (In the Friendly Sky)
2曲目の延長のような曲。より沈んでいくスローナンバー。少し不穏で怪し気な雰囲気。曲の構成が定まってなく、静かな空間に素敵な音がふわふわしてる印象。

4. Save the Children
曲調が少しずつ重くなってきますね。マーヴィン・ゲイの真摯に語り掛ける声が印象的。のびのびと歌っている個所とのギャップが面白い。2:45~サックスも入ってきて沸々と熱量が高まってくる。またベースがグイグイ来てて好きです。

5. God is Love
曲調が明るく華やかに。ストリングスが良い。ピアノ、タンバリン?も合わさってアップテンポになってくる。1:41と短い曲だけどこの曲でリフレッシュできますね。6曲目への良いつなぎ。

6. Mercy Mercy Me (The Ecology)
明るめで救われるような曲。5曲目より落ち着いた印象。ただ曲の内容は重い「神様、許してください」的な。ディレイのかかった音が心地いい、胸にすーと沁みる。ギターのカラッとしたカッティングも良い。大人の魅力溢れるサックスの演奏が最高!アウトロが不穏、悲惨な現状を嘆いている?

副題に「The Ecology」という言葉が使われているとおり、環境問題をテーマにした楽曲である。ゲイは被害状況を具体的に訴える。「青空は失われ/毒物が北から南から東から風に乗ってまき散らされている」「海は廃油にまみれ/魚は水銀におかされている」

-B面-
7. Right on
ネオ・ソウル?ピアノの軽快な音から始まって作品の印象が変わる。フルートやギロの音もあってアンダーグランドというか少し危ういけど楽し気な曲に聞こえます。マーヴィン・ゲイの歌い方が少しロックな印象で素直にかっこいいですね。後半はまったりバラード風、こっちはA面の曲っぽい。

8. Wholy Holy
ゴスペル風。この作品で一番甘い、メロウな曲に感じる。良い意味で眠くなる。上品すぎるメロディー。マーヴィン・ゲイの歌声を堪能できる3分間。

9. Inner City Blues (Make Me Wanna Holler) 
古さをあまり感じない。妙に現代の曲に感じる。これもネオ・ソウルなのか。クールでオシャレ。またまたかっこいいベース!俺が主役だぜと言わんばかりの存在感。ベーシスト:ジェームス・ジェマーソン、覚えよう。4:20~作品の仕上げにかかってくる、1曲目のメロディーが流れてテーマを歌い上げて終わる。スタンディングオベーション!

黒人街、ゲットー、スラムの貧困を取り上げた曲

※「歴代最高のアルバム」500選ですけど個人的に気になる順位は
2.ビーチ・ボーイズ『ペット・サウンズ』
→前回と同じく2位、これも納得。相変わらず強い。

10. ローリン・ヒル『ミスエデュケーション』
→正直めちゃくちゃ高くないですか?ちゃんと聞きなおそう。

19. ケンドリック・ラマー『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』
→この順位は快挙だと思います。HIPHOP全然聞かないけど、これは好き。

あとはニルヴァーナの順位が上がってるとかプリンスがマイコーより上とか(プリンス派なんです)でもやっぱりビートルズの順位ですよ。

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