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ショート動画の時代、「ショート記事」が流行る! デイリーポータルZが“短い記事”を始めた理由を解説します

 「デイリーポータルZ」は22周年の10月7日、「ショート記事」を始めました。

 じっくり読んでもらう長い記事もいいのですが、動画もショートが流行の時代、短い記事が時流に合っているのでは? そんな思いがきっかけで始めた、1000文字以内の記事シリーズです。

 ルールは、文字数に加え

 ・生活の中でおっ! と思ったことを書く
 ・日を改めて確かめない
 ・食べ比べなど、「展開」しない

 ・自分の“外側”にあること書く(これは普段のデイリーのルールと同じ)
 ・自分なりに解釈する(同上)

 など。

 まず編集長・林雄司が「ようやくリニモに乗った」を、ライター・窪田鳳花が「落ち穂拾いをする」「鳴き声をたよりにして秋の虫を捕まえたい」などを執筆・公開しています。

落ち穂拾いをする」より。読みやすいよ!

 なぜいま「ショート記事」なのか。林さんが解説します。(聞き手と執筆:岡田有花)

最近のデイリー、長くて難しい記事が多いなって

 「最近のデイリー、長くて難しい記事が多いなって」。林さんには、こんな問題意識がありました。短い動画がもてはやされる時代。長い記事だけでは、時代に取り残されるのでは……と。

 デイリーの記事は長いと6000~1万文字のことも。長い記事をじっくり読んでもらうのもいいのですが、メディアが増え、短い記事や日記が流行る中、「6000文字や1万文字の記事だけで、人気サイトになる未来は見えない」と悩んでいました。

人気サイトになりたいんですよ

 そこで思いついたのがショート記事です。1000文字以内なら気軽で、林さん自身も書いていて楽しい。企画を始めた日には思わず「23年目にしてすごいやる気です」と書き、後で恥ずかしくなるほど興奮していました。

短い記事を面白くするには

 筆者・岡田も、デイリーの執筆は「難しい」と感じていました。

 デイリーの企画といえば、いくつも比べたり、何かを作ったり、どこかに行って調べたりする凝ったものが多いイメージ。小さなネタを思いついても、「どう展開すればいいか分からない」とお蔵入りになりがちでした。

 でも1000文字以内で、展開しなくていいショート記事なら、もっと気軽に書けるかもしれません。例えば筆者は「敬七郎」という日本最古のウスターソースがめちゃうまくて気に入ってるんですが、これもいけるかな? でも「このソースがうまい」だけで面白く書ける気もしません。(江ノ島さんはできそう)。

 そういえば林さんは、リニモに乗ったショート記事を「ミニ黒板を持ち込む」というひねりで面白くしてます。窪田さんの記事も毎回、ニヤリとさせる表現がある。さすがです。

写真のパワーがすごすぎる窪田さんの記事

 「書き手の腕に依存するところはありますよね」と林さん。誰でも書けるようにするための工夫も検討しているそうです。

 「食べ物の紹介なら、例えば、“うまかったレベル”とか、レーダーチャートみたいなのがあればいいかな?

 記事の最後に自由研究のまとめみたいな 統一のフォーマットで落とすとか。時間軸グラフが、ぼくは好きなんですけどね」

 なるほど、何らかの型が決まっていて、オチも考えなくてよければ、もっと気軽かもしれません。

デイリーは、動画じゃなくて記事だよね

 デイリーポータルが独立して以降、新しいことを試そうとしてきました。最初は「動画だ!」と思い、記事を動画にする試みを試してきました。

動画記事もいいけれど(細かいけど人に言いたい新宿の見どころ

 「でも、慣れない動画をやるよりも、1000文字で、『日本最古のウスターソースがうまい』とか、知らない美味しいものがいっぱい載ってるサイトがいいかなって

 ブログ文化がすたれてきて、有用な情報もおもしろ情報も、ネット上から消えつつある今。デイリーにそんな情報が集まればいいなと思っています。

 ……というわけで、「ショート記事」が始まりました。

 書いてみたい! 長いのは苦手でも、短い記事なら書ける! というライターさんもお待ちしています。

 私も書こうかな、「日本最古のウスターソースがうますぎる」……。