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髪の毛が、生えてきたーー育毛日記1

自分の日記がどれくらい読まれているかを書くのは下品なんだけど、最近少し増えてきて、10人くらいの方々のうち4人くらいが入れ替わり読んでくれるようになった。平均PV4。短く書いても、長く書いても、風俗レポ文体で書いても変わらない。プロレスの話の時だけなぜか下がるけど、ありがたい限りである。

まだこれくらいの人数なら正直に告白していいだろう。髪の毛が、生えてきた。4人の中に同じ悩みを抱えた人がいないとも限らない。この育毛日記は僕個人の問題でしかないけど、「それは絶望ではない」ということを感じてもらえたら嬉しい。

僕は、中学生くらいのころからずっと、呪いにかけられてきた。父に、母に、友人に、先輩に、美容師に、「お前は禿げる」と。こんな残酷なことはない。いい大学に入ったって、一流企業に入ったって、すごくお金持ちになったって、一流スポーツ選手になったって、たくさんの人を救う新薬を開発したって、すっごくおしゃれになったって、女の子が喜ぶお店いっぱい知ってたって、正義感があったって、優しくたって。夢が広がる僕の未来には、常に禿がつきまとっていたのだ。

呪いとは恐ろしいもので、事実20代後半くらいにして、てっぺんが少し薄くなってきた。僕はすでに、40歳まである程度残っていれば、くらいに悲観していた。せめて前から来てくれればもう少し対応のしようもあったのに、とか、池上彰だってカッパ禿なんだから落ち込むことない、とか。時々、旅行か何かで友人が撮った写真に後頭部が写り込むと、食い入るように見て、ああ、また薄くなっている、と空を見上げた。無論、てっぺんが見られないように背後に人がいないかを確認しながら。気にしすぎだと思うなかれ、それが呪いなのだ。

30代半ばになって、なんだかムカムカしてきた。なぜこの理不尽に自分が翻弄されなければならないのか。この、禿という呪いに、禿という運命に。明日、明日、そして明日と、しみったれた足取りで日々が進み、ゆきつく先は運命に記された最期の時だ。たとえ待ち受けているのがマクベスのような結末だとしても、彼と同じように、自分の運命は自分で切り開く。

僕は戦うことを決意した。

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お金よりも大切なものがあるとは思いますが、お金の大切さがなくなるわけではありません。